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2015年5月 1日 (金)

オペアンプを単電源で使う方法 - 5 (RS232CインターフェースICのチャージポンプを使う)

正負電源用のオペアンプにしろ単電源用のオペアンプにしろどうしても正負電源で使いたいときがあります。でも正負電源を用意するのが面倒くさいというときの“対策”を以前記事にしました。

オペアンプを使って電源の中点を安定させるという方法でした。スイッチング・レギュレータを使う方法なんかに比べるとノイズが出ないので使いやすいのですが、正負電源のグランドともとの電源のグランドが同じではないので用途に制約があります。グランドレベルが違うのを忘れ間違って接続して事故というのも経験しました。

これもまた邪道だという気もしますが、あんまり電流が必要でなければ比較的簡単に正負電源を作る方法があります。作り方と実験結果を紹介しようと思ったのですが、記事を書く前にググったらちゃんと実験されている方がいらっしゃいました (^^;;

====

RS232Cは基本カレントループなので比較的電圧の高い正負の電源(ただし出力抵抗は大きい)が必要になります。RS232CインターフェースICというのがありますが、あれは正負の電源を内部で作っています。そしてそれを外部から使えるようになっているものがあります。

これを使えばあっさり単電源から正負の電源を作ることができます。内部的にはチャージポンプを使ってもとの電源の二倍の電圧を作り、さらにチャージポンプを使ってそれから負の電圧を作るという仕組みになっています。つまり5Vの電源に対し(負荷が小さければ)±10V近い電圧が得られます。RS232CインターフェースICにはコンデンサが四個(他にパスコンも)必要ですが、あれがチャージポンプ用のコンデンサです。

秋月で使えそうなものが三つあります。

  A. RS232CインターフェースIC ADM3202AN \200._
    「ADM3202AN
     (これは正負電源として実際に使いました)

  B. RS232CインターフェースIC ICL3232CPZ \110._
    「ICL3232CPZ
     (これは本来の目的で使ったことがあります)

  C. RS232CインターフェースIC MAX232N \70._
    「MAX232N
     (安いのでこの目的に買っておこうかと思います)
    作ってみました。
      「RS232CインターフェスICで作るオペアンプ用正負電源 - 定電圧機能つき」 

  
ここから製作・実験記事を書くつもりだったのですが最初に書いたように記事にされている方がいらっしゃいました。

趣味の電子工作の部屋byすん

  2007.5 負電源の実験
    
 1)MAX232を負電源にする実験
     2)ADM3202を負電源にする実験

私がこれから記事を書くとするとB.のCL3232CPZでしょうか (^^;;

-----

正負の電源はすでに二系統あるのですが、今回はインスツルメンテーションアンプ(計装アンプ)用に別系統の電源が必要になり作りました。
(「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)」の話)

チャージポンプ方式だからノイズは気になるほどは大きくないだろうと思ったのですがやっぱりあってそれなりの対策は必要になりました。

それから上のリンク先には四つのコンデンサーは10μFまでと書いてあります。データシートの最後の方にも確かにそう書いてあるのですが、はじめの方を見るとC1、C2は47μFまでOKと書いてありました。まあそんなにたいした話ではないのですが。

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オペアンプで電源の中点を安定化 ±2.5Vとか±4.5とか用
電流はオペアンプに依存
電圧安定性:元電源に依存
ノイズ:小さい
アイドル時電流:小
元電源とグランドレベルが違うのは用途によっては致命的ですが箱物(?)にはいいかも。
ADM3202AN等 ±5Vとか±9Vとか用
電流はあんまり取り出せない
電圧安定性:よくない
  電流を取り出すと電圧がどんどん下がる
ノイズ:ある
アイドル時電流:小
ちょっとした電源がほしいときけっこう便利かも
MAU109
(5V入力、±15V 34mA)
電圧:モデルによる
電流:モデルによる
電圧安定性:よくない
  無負荷時の電圧がすごい!
ノイズ:けっこうある
アイドル時電流:大きい(左のモデルで無負荷30mA)
入出力が絶縁されている。
使ってはいますがちょっと中途半端な気がします。
MCW03-05D15
(5V入力、±15V 100mA)
電圧:モデルによる
電流:モデルによる
電圧安定性:定電圧機能あり
ノイズ:けっこうある(MAU系よりひどいような)
アイドル時電流:大きい(左のモデルで無負荷70mA)
入出力が絶縁されている。
無負荷電流が大きいのである程度大物が対象でないと使う気にならないです。
ノイズ対策が重要です。

--------

関連

  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算

  趣味の実験
  趣味の気象観測
  趣味の電子工作
    PIC

  「オペアンプを単電源で使う方法 - 1
    抵抗分圧による二電源化の問題点
  「オペアンプを単電源で使う方法 - 2
    抵抗分圧でなんとかするいろんな方法
  「オペアンプを単電源で使う方法 - 3
    抵抗分圧による方法のまとめ
  「オペアンプを単電源で使う方法 - 4
    一歩進んだ単電源の二電源化   

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コメント

RS232C用のICって±6Vを作ってくれるものとして使ってます(例によってトラ技の付録ですが^^;)。
規格上は±5V以上だったんですね。
そして、なるほどこれをオペアンプの電源供給に使うとは目からうろこです^^。
MAU106より電流が欲しくなったら使いたいですね。

あの規格の件はちょっと気になります。EIA/TIA-232Eと書いてあったので違うのかもしれませんがRS232Cはカレントループなので単純に電圧だけでは規定されてないはずです(私の記憶だと3kΩの負荷に対し最低±3Vの電圧降下が起きればOK__つまり±10mAの供給能力があればいい__だったと思います)

この方法は用途はかなり限られますが使った感じは割りといいです。マイナスだけこれで作って定電圧化しプラスはもとの電源を使うという方法もあるように思います(マイナスはプラスから作っているので取り出せる電流も少しは増えるのではないでしょうか)
-------

規格の件、確認してみました。
受信側の入力抵抗 3kΩ~7kΩに対し±3V以上
(最大±25V)

これを満たすように送信側は次にように規定されています。
開放電圧±25V以下
短絡電流 500mA以下
(通常の負荷に対し)信号電圧±5V~±15V


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