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2015年5月26日 (火)

熱電対起電力を直接測定できる22bit(20.6bit)ADコンバータMCP3553

これまで熱電対の起電力を測定するために高精度オペアンプOP277や計装アンプLM1167を持ち出し、さらに自動オフセット調整まで試みて悩んでいたのですがどうやら解決したみたいです。

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22ビット(20.6bit)ADコンバータMCP3553の使い方」に書いたMCP3553なのですが、この二三日測定結果が安定せず(自動オフセット調整機能があるのに)数百μVのオフセットがあるという状況だったのですが、昨日対応策が見つかりました。

さっそく熱電対の熱起電力を測ってみます。基準電圧はREF5030の3Vを1/11に分圧して使います。これで0.27Vフルスケールで0.1μVの分解能が得られます(実際にやってみると実質的な分解能はさすがにそこまではないですが)

実験結果
(ほんとは縦軸は温度(温度差)にしたいのですが校正が終わっていないもので...)
Mcp3553_

まず最初に熱電対をはずし入力をショートしオフセット電圧がないかチェックします。
わずかにあるのですがグラフを見るとわかるように数百μVの測定ではまったく問題にならない程度です。

次に冷接点を室内(23℃くらい)におき熱接点を口にくわえます。熱接点のシースを舌下に安定しておくというのは意外にむずかしいです。途中で温度(起電力)にディップ、ピークがあるのはくわえなおしたところです。

途中で熱電対の極性を逆にして測定します。何かの理由でオフセットが発生していないか確認するためです。グラフで赤くなっているところが逆極性で測定したところです。ここはマイナスなのでグラフは符号を変えて作ってあります。

口の中から出し温度が下がっていく(起電力が小さくなっていく)のを確認したのちふたたび入力をショートしオフセットがないことを確かめます。

分解能1μV(1/40℃くらいに相当します)の測定であれば問題なくできそうです。
これは今使っている白金測温抵抗体+MCP3425の分解能とほぼ同じです。

ということは白金測温抵抗体+MCP3553の組み合わせだと1/400℃くらいの分解能になりそうです。

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