K型熱電対による温度測定の課題 - 2
引き続き秋月で買ったK型熱電対で実験しています。
解決すべき課題は相変わらず多いです。
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実験条件
符号 | 熱電対冷接点 | 熱的に結合した熱電対熱接点とPt100 |
A | 氷水の中 | 室内空気中 |
B | 氷水の中 | 氷水の中 |
C | 氷水の中 | 水中(お湯の中) |
“氷水”というのはほんとに氷水で氷点(0℃)にする努力はあんまりやってません。
今考えるとちゃんと氷点を作って実験すべきでした(「氷点 - 摂氏0度の作り方」参照)
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実験結果
Bのところで“し“の形の動きが何度もあるのは撹拌したりセンサーの位置を変えたためです。また途中結果が荒れているのは(手当はしたのですが)発振あるいはそれに近い状態になっているためのようです。
気になるのはBで冷接点と熱接点を同じ状態にしてあるはずなのに熱起電力が発生していることでしょうか。撹拌したり冷接点と熱接点の位置を変えたりして後半ではだいたい一致していますが、一定の温度に保つためにはそのための“努力”は欠かせないようです。(この問題はその後も発生しています)
二回目のAとCのところは熱接点とPt100(白金測温抵抗体=白金薄膜抵抗)はまったく同じ温度になっているはずなのですがPt100の測定温度(青い線)に比較し基準電圧から計算した熱電対の示す温度(赤い線)がかなり低くなっています。
Pt100はBタイプのもので校正なしで使ってもこの温度帯であれば確度は±0.5度にはなっているはずです。このセンサーに関しては氷点での校正を確実に行っており確度±0.05℃の体温計との比較も行っているので少なくとも±0.2度程度の誤差に収まっているはずです。
基準電圧から温度を計算するのは正確でないとしてもここまで違うとは考えにくいです。ほんとに熱起電力が基準電圧より小さいのか、測定手順や算出方法に何か間違い勘違いがあるのかがこれからのもっとも大きい課題です。
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参考
「岩手大学農学部 岡田益己 - 温度の正しい測り方(3)熱電対の作り方・使い方」
この論文は熱電対を扱う上で参考になると思ういます。
「株式会社東京熱学 - 2-3 熱電対の許容差」
次のような記述があります。
JIS C 1602 で規定された熱電対には、それぞれに規準熱起電力が規定されています。この熱起電力に実際の製品の熱起電力をあわせる事は非常に困難なため、ある一定の幅を決めて誤差を許容しています。
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