« PICとMCP3425で作るK熱電対温度計 - OPA277PAでプリアンプを作る | トップページ | 熱電対素線(タイプK、クロメル=アルメル)をハンダ付けしてみた »

2015年5月10日 (日)

高精度オペアンプOPA277PAのオフセット電圧の温度特性を調べてみた

熱電対温度計用のプリアンプのオフセットの温度特性を調べてみました。
ここでいうオフセット(電圧)というのは前記事

  「PICとMCP3425で作るK熱電対温度計 - OPA277PAでプリアンプを作る

にある回路の出力電圧のオフセットを増幅率57.1で割ったものです。ですからバイアス電流の影響なんかも含まれています。さらにオペアンプ自身のものでないオフセットも含まれてしまっています。そういう意味ではデータシートでいう入力オフセット電圧とは違いますしタイトルも間違ってるわけですが、実用的な意味では役にたつと思います。

=======

基板を断熱容器(要するに発泡スチロールの箱)に入れヒータで温めます。35℃を超えたあたりでヒータを切り冷まします。これを二回繰り返しました。

OPA277PAのパッケージに白金測温抵抗体(白金薄膜抵抗)を入れたアルミパイプを貼り付けて断熱容器内の温度を測ります。OPA277PAの出力は16bitADコンバータMCP3425の内部アンプを増幅率8にして測ります。
Opa277pa_offset_1

おおまかに見ると温度が上昇すればオフセット電圧も大きくなり、温度が下降すればオフセット電圧も小さくなっています。だいたい10℃の変化で2μV変化しています。真ん中あたりで考えれば±5℃の変化に対し±1μV変化することになります。

タイプKの熱電対の電圧は40μV/Kくらいですから、オフセット電圧の影響は±0.025℃ということになります。熱電対で0.01℃の不確かさを追求しようという気持ちはもともとないですしこれだったらふつうに使う分には(気温の変化する方向を意識して)最初に一回オフセット電圧を調整しておけば問題なく使えそうです。どうやら自動オフセット調整は作らなくても済みそうです。また室温があんまり変化するようなら室温にあわせて結果を補正してもいいかもしれません。

この結果にはいろいろな“教訓”が潜んでいます。わかりやすいようにグラフを温度=オフセット電圧の形にしてみます。
Opa277pa_offset_2

まず一回目と二回目で同じ温度でもオフセット電圧に違いがあることです。
0.2μV~0.3μV(K熱電対だったら0.01℃以下に相当)くらいですが、これは電源を投入してすぐに測定を始めたためではないかと思います。二回目だけでなく三回、四回とやってみるべきでした。これは反省点です。

次に温度の上昇時と下降時でもオフセットの値が違うことです。
これは温度特性の実験をしているとよく見られる現象です。
温度の上昇時は測定対象をヒータで加熱しているわけですからヒータの方がとうぜん測定対象より温度が高いです。それらの中間にある温度計は温度も中間になります。つまり
  温度計 > 測定対象
となります。一方下降時は熱は容器の中心部から外部に向かって流れて行きます。このときは
  測定対象 > 温度計 あるいは 測定対象 ≒ 温度計
となるはずです。このため上昇時と下降時でオフセット電圧が違うという現象がおきます。
これは最初のグラフをよく見るとオフセット電圧と温度のピークがずれていることからも説明できると思います。
じつはこれには(現実に発生しているかどうかはわかりませんが)もう一つ理由が考えられます。

それからヒータをオンにしたときとオフにしたときちょっと奇妙な動きがあります。
ヒータオンのときつまり上昇時の最初に温度が上昇しているのにオフセット電圧が下がる現象が見られます。またヒーターオフのとき温度はたいして上昇していないのに急激にオフセット電圧が上がります。
これはおそらく温度変化が逆転するとき基板の温度分布も逆転するので基板上の異種金属の接合点の熱起電力も逆転するためではないかと思います。LT1167で実験しているときまだ入力切替をスイッチにしておらずパーツや配線を手でもって切り替えていました。そうするとオフセットが変化し、しばらくしてもとに戻るという現象がありました。手で持っている時間やつまんだ位置でオフセットも変化していたので基板上のあるいは部品内部での温度差がオフセットに影響を与えるのは間違いないと思います。

これから考えると温度の上昇時と下降時の差は温度計と測定対象の温度差だけではなく基板上の温度分布が違うということも原因かもしれません。これが上に書いた“もう一つ”の理由です。

---------

関連

  「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)
    温度、気圧をはじめいろんな物理量の測定方法について

  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

  「PICとMCP3425で作るK熱電対温度計 - OPA277PAでプリアンプを作る
  「熱電対による温度測定の課題 - K型+インスツルメンテーション(計装)アンプ編
  「K型熱電対による温度測定の課題 - 2
  「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換

  「正確な温度を求めて (1)
  「氷点 - 摂氏0度の作り方

  「サーミスタや白金抵抗温度計の自己発熱の影響を補正する方法
  「(趣味の)白金抵抗温度計の製作 - 準備編
  「16bitADコンバータMCP3425とPICで作る白金抵抗温度計 - 1
  「(趣味の)白金薄膜抵抗温度計の作り方 - 誤差について
  「自己発熱を測定してわかる白金測温抵抗体の扱いにくさ
  「白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1

  「サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた

  「温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)

  「PIC/16F1705のオペアンプをDACのバッファとして使ってみた
  「
PIC16F1705のDAコンバータを使った正弦波発振器(発生器) - 改良版
  「
オペアンプの特性比較(オフセット電圧、バイアス電流、スルーレート他)
  「
PIC16F1705のオペアンプの周波数特性

  「オペアンプのバイアス電流の測り方 - バイポーラLM324編
  「
CMOSオペアンプNJU7034Dのバイアス電流を測ってみた
  「オペアンプの特性比較(オフセット電圧、バイアス電流、スルーレート他)
  「
オペアンプのオフセット電圧とバイアス電流の測定 - PIC16F1705
  「
高精度オペアンプOPA277PAのオフセット電圧の温度特性を調べてみた
  

« PICとMCP3425で作るK熱電対温度計 - OPA277PAでプリアンプを作る | トップページ | 熱電対素線(タイプK、クロメル=アルメル)をハンダ付けしてみた »

趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« PICとMCP3425で作るK熱電対温度計 - OPA277PAでプリアンプを作る | トップページ | 熱電対素線(タイプK、クロメル=アルメル)をハンダ付けしてみた »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ