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2015年5月16日 (土)

サーミスタ/白金測温抵抗体/pn接合による温度測定のための定電流電源(バイラテラル回路)

電気抵抗から(電流を流したときの電圧降下から)温度を測定することができるセンサーがいくつかありますが、そういうときのために安心して使える定電流電源(実際は電圧電流変換回路)を作りましたので紹介します。

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本やネットで利用できそうな回路を見つけると作ってみるわけですが、なかなか期待通りに動作しないことが多いです。機能的に今一つ、安定しない、などいろいろですが、「思わぬところで見つけた負性抵抗 - 定電流回路(バイラテラル回路)」に書いた定電流回路は“おおあたり”でした。

定電流回路の評価としてはまず出力抵抗がどれほど高いかが重要ですが、サーミスター/pn接合用の条件(Vref=2.5V、Rs=40kΩ、60μA程度)で測定したところ数百MΩありました(もちろん使用する抵抗は徹底的に選別したものです)

動作も安定しています。16bitのADコンバータで測っていても最後の桁までふらつきがないですし、ちょっと場所を動かすと電流が変化するなんてこともないです。

今回は概要について書きます。回路は基本「思わぬところで見つけた負性抵抗 - 定電流回路(バイラテラル回路)」にあるものを使っています。手直ししたとこもあるのでまたあらためて回路については記事にする予定です。。
Imgp96001000

電圧電流変換回路(VIコンバータ)ですからまず基準電圧が必要になります。

A.の“基準電圧ダイオード【LM4040AIZ2.5NOPB】”で2.5Vを作ります。三和電気計器のDMM、PC700で測ったら2.498Vでしたが、このあたりになってくるとどちらが正しいのかよくわかりません(どちらとしても許容誤差内に入ってます)

必要な電流(の変化)はさほどでもないのでそのまま使ってもいいのですが、ここではいったんB(OP07CP )のボルテージフォロワーを介して使っています。これは最後に書きますが基準電圧を変化させられるようにするためです。
電流(の変化範囲)にかなり余裕が出るので基準電圧はCのコネクタから外部に取り出せるようにしました。
逆に外部の基準電圧もDのコネクタから取り込んで使えるようにしてあります。これはpn接合の順方向電流と電圧の関係を調べるようなときに使う予定です。
通常は内部の基準電圧を使うのでDはジャンパーをつけてあります。

Eの二つのオペアンプ(OP07CP)が(基準電圧に比例した電流を作る)定電流回路を校正しています。

定電流値は基準電圧をFのターミナルブロックに取り付けられた抵抗Gの値で割ったものになります。ここは基準電圧とともに全体の安定性にかかわるところなので「金属皮膜抵抗(0.1%)の温度係数を測ってみた - タクマン電子 RN14C2B 10kΩ(千石電商)」に書いたタクマンの抵抗を使っています。

こうやって作られた電流はNのコネクタに接続されたセンサーに流し、その電圧降下をJのコネクタからADコンバータに送るようになっているのですが、実用面を考え少し回路を加えてあります。

まずセンサーと別に基準になる抵抗についてもどうような測定ができるようにしてあります。これによってセンサーの抵抗値を基準抵抗に対する比として求めることができるようになります。つまり電流計や電圧計の不確かさには依存せず基準抵抗の不確かさに基づく測定ができます。

LとKがそのためのスライドスイッチです。Lはどちらに電流を流すか決め、Kはどちらの電圧降下を測るかを選びます。いっしょに切り替えないのは3回路のスイッチを持っていなかったということもあるのですが、切替時の事故(ADコンバータに過大な電圧がかかる)対策という面もあります。

Hのターミナルブロックに取り付けられた抵抗Iが基準となる抵抗です。写真では白金測温抵抗体のとき使う“1000B”(100Ω、±0.1%)を取り付けてあります。ただこれでも“不満”で100Ω、±0.01%の抵抗を探しているわけです(「100Ω、0.01%の精密抵抗も五年に一個くらいは売れるらしい」)

次にMのタクトスイッチはセンサーと直列に抵抗を入れておきこれをバイパスするためのものです。これはテストのためのもので定電流回路の出力抵抗を測定し回路に異常がないかチェックするために使います。ふだんは必要ないのでOのコネクタにあるジャンパーでセンサーと直列に入っている抵抗は常にバイパスするようにしてあります。

最後にPのタクトスイッチなんですが、これは“ターボボタン”です。このタクトスイッチが押されると基準電圧のバッファに入っているボルテージフォロワーは非反転増幅回路に切り替わり基準電圧を増加させます。これにともなって定電流の値もおおきくなるのですが、これはサーミスタや白金測温抵抗体の自己発熱の影響を調べるときに使います。

あと最初に書くべきでしたがQが電源のコネクターです。今は±5Vで使っていますが±15Vまで想定しています。必要な電源電圧は基準電圧+負荷での電圧降下+マージンなのですが、基準電圧を高くするほど出力抵抗を大きくできるので高い電圧でも動作するようにしておいた方が便利でしょう。

どうでもいいですが、基板の裏側です。最近ポリウレタン線での配線に習熟(?)したので以前よりだいぶきれいになっています。
Imgp96011000


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コメント

 今日は、時々寄せてもらってます。本ページのバイラテラル回路の定電流回路について、是非試してみたいと考えて回路図がどこかに載せてあるのか検索しましたが見つかりませんでした。
 まだ、掲載されてないのでしょうか、是非掲載頂けないでしょうか。宜しく御願いします。

コメントありがとうございます。返信が遅くなり申しわけありません。
ここで使った定電流源の回路図は下記にあります。
それぞれの記事にある外部リンク(「参考」としたところにあるリンク)を参考に作ったものです。
使用する部品は信頼できるものからさらに選別するくらいやらないと納得できるものにはならないようです。
高性能の定電流回路(バイラテラル回路) - 思わぬところで見つけた負性抵抗
http://seppina.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/--7927.html

お返事ありがとうございます。早速試してみたいと思います。こっそりですがいつも楽しく読ませてもらってます。またよろしくおねがいします。

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