(白金)測温抵抗体の氷点での抵抗値を測ってみた
これまで測温抵抗体(白金薄膜抵抗)を使って温度計を作ったもののめんどうな校正作業を必ずやっていました。
測温抵抗体Pt100は氷点(=0℃)での抵抗値は100Ω、温度係数は3851ppm/K(正確には0℃以上で二次式、0℃以下で三次式四次式)と決まっているわけで校正をしなくても抵抗値を測ればそれなりの精度で温度がわかるはずです。それができなかったのは抵抗値を正確に測定する手段がなかったためです。
最近やっと100Ω±0.01%の精密抵抗を入手したのでさっそく測温抵抗体の抵抗値を測ることにしました。手始めに氷点での抵抗値を測ってみます。
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対象にする測温抵抗体は次の三つです。
R0K1.232.6W.B.008(101)
PTFA101B000(101)
362-9856
最初の二つは秋月電子通商で売っているものです。いずれもClass Bつまり0℃で±0.3℃、25℃で±0.4℃くらいの許容誤差のものです。
最後のはRSオンラインで見つけたものです。1/3 DINつまり許容誤差がClass Bの1/3とされるものです。お値段も秋月のに比べてちょっと高いだけですしほんとうかなあとも思ったのですがつい買ってしまいました (^^;;
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測定結果です。
(基準とした抵抗(アルファエレクトロニクス100R00)の許容誤差が±0.01Ωであることを考慮しても)秋月で買った二つの測温抵抗体の成績は優秀です。600円のPTFA101B000(101)がClass Aなみの結果を出しており、350円のPTFA101B000(101)はなんと1/3 DIN程度の結果です。
362-9856も別に結果が悪いわけではないです。きちんと1/3 DINのスペックを満たしていますし他の二つより結果がいいです。ただ秋月で買ったものがいいのでちょっと影が薄くなってしまっています。
まだ温度係数を調べる必要はあるのですが、いずれも安心して使えそうな雰囲気です。
なお今回は氷が足りず完全に氷点が実現できていなかったようです。いっしょにサーミスタを入れて抵抗値を測っておりそれからするといつもより0.02~0.03℃高くなっていたようです。もしそうだとすると上のグラフで言うと一目盛り分下に、つまり“いい方”へずれることになります。
測定方法については下記のリンクのうちイタリックのものをご覧いただければと思います。
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