Pt100(白金測温抵抗体)の校正状況 - 氷点=0.0℃編
現在温度測定の基準としてはPt100(白金測温抵抗体)を用いています。(趣味の電子工作レベルで考えると)サーミスタや熱電対ほどの分解能はありませんが、これらと比べると精度がよく校正もやりやすく安定度もいいからです。
最近確度・分解能が要求される実験が多く、またPt100の測定用の基板もハンダ付けをやり直しました。以前と比べると“測定装置”も測定データをSDカードに記録できるなど進化しています。
そこで再度校正をしてみることにしました。今回は氷点=0.0℃です。
どんな感じで温度計を設置してあるかは
「体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編」
にあります。
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氷点の作り方は「氷点 - 摂氏0度の作り方」にあります。
氷点を作りアルミパイプに封入した白金薄膜抵抗を入れて落ち着かせます。しばらく経ってから白金薄膜抵抗をいったん取り出し室温の水に入れ再度氷点に戻すというのを二回行っています。
0.1℃の不確かさというのが目標ですから問題ないと言えば問題ないのですが、どうやら1bit=0.03℃低めに出ているようです(測定はPt100に1mA弱の電流を流し16bitADC・MCP3425、PGA=8で測定しており、8μV(0.03℃相当)の分解能があります)
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もっともこのあたりになると何が正しいのかよくわかりません。
不純物が混入して凝固点降下が起きている可能性も考えられます。
温度センサーとして使っているサーミスタの今回の抵抗値は27.09kΩでした。これまで27.10kΩになったら氷点達成と判断していましたのでそれからすると今回はちょっと高めということになります。この0.01kΩの差は温度にすると0.01℃にすぎないのですが....
今回は定電流源と100Ωの精密抵抗(1000B、±0.1%、温度係数はデータシートでも50ppm/K以下、実際はもっとずっと小さい)があるのでPt100の0.0℃の抵抗値も算出してみました。電圧降下は
1000B 0.108538V
Pt100 0.108585V
でしたので1000Bの抵抗値を100.00Ωと仮定するとPt100@0.0℃の抵抗値は100.02Ωということになります。とは言え1000Bの抵抗値は100.0Ω±0.1Ωであるわけでこういうのをやっているとやっぱり±0.01%、2.5ppm/Kの金属箔抵抗器(「精密抵抗のお値段 - 抵抗器の精度と価格の関係」参照)がほしくなります (^^;;
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その後の校正状況です。0.01%ものの抵抗を入手したので0℃での抵抗値を決定するための測定を行っています。分解能は1/400℃です。
(「(白金)測温抵抗体(白金薄膜抵抗)の使い方 - 基礎編というか入門編というか....」)
(「PICで作ったPt100(白金測温抵抗体)温度計の校正状況 - 42℃編」
「体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編」へ続く)
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関連
「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
趣味の実験
趣味の気象観測
趣味の電子工作
PIC
「温度計のセンサー比較(温度センサ、サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、pn接合など)」
「正確な温度を求めて (1)」
「氷点 - 摂氏0度の作り方」
「(白金)測温抵抗体(白金薄膜抵抗)の使い方 - 基礎編というか入門編というか....」
「(趣味の)白金抵抗温度計の製作 - 準備編」
「16bitADコンバータMCP3425とPICで作る白金抵抗温度計 - 1」
「(趣味の)白金薄膜抵抗温度計の作り方 - 誤差について」
「サーミスタや白金抵抗温度計の自己発熱の影響を補正する方法」
「白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1」
「サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)」
参考
「白金抵抗温度計の校正とその使い方 - JCSS:計量法認定」
「JEMIC 計測サークルニュースVol.26, No.2 ~ 4 連載(1997) - 浜田登喜夫 - 白金抵抗温度計の校正とその使い方」
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