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2015年5月18日 (月)

脇の下恒温槽と体温計で白金抵抗温度計を校正してみた

以前と「体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編」いう記事を書いたとき
  Right Stuff - 熱電対温度計の製作
という記事があることをedyさんから教えていただきました。

熱電対温度計の校正をするのに脇の下が一定温度であることを利用するという話です。
そこで私も白金測温抵抗体(白金薄膜抵抗)で作った温度計の校正をやってみました。

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ちょっと余談になりますがRight Stuff - 熱電対温度計の製作や他の記事を拝見して感心したことがあります。それは測定するとき誤差をかなり意識されていることです。
どうみても2桁の有効数字しかないだろうという実験方法で4桁も5桁も計算してあるのを見るとうんざりするのですが、この方のブログは自分の方法でどの程度の精度が得られるかを考えながら書かれているようです。
もっともお仕事に関連する内容も多いようなのでこういう書き方をしてしまうのは失礼だったかもしれません。

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さてまず体温を体温計で測ります。
Imgp96061000

この体温計の許容誤差から言うと 36.08±0.05℃ということになります。意外と体温が低いです。早朝だからでしょうか。

ところでこの体温計は“口中専用”です。脇の下で測っていいのか気になりますが、温度計には間違いないので少なくとも“脇の下の温度”は測れるはずということで進めます(“口中”と“脇の下”の違いは後述)

次に自作Pt100温度計で脇の下の体温を測ってみます。
Pt100

温度は毎秒ディスプレイに表示しておりそれをみながら平衡状態になったと思われるまで待ちます。途中ではさみ方を変えて二度測っています。

36.24~36.27℃を示しています。ちょっと高めです。「体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編」では0.1℃弱高めだったのですが、今回は0.2℃近く高くなっています。

そこでもう一度体温計で測ってみます。
Imgp96071000

今度は36.23℃になっています。温度を測るのに右往左往したり温度が上がったり下がったりするのを見て一喜一憂している間に体温が上がってしまったようです。

じゃあもう一度Pt100で、となるわけで、温度測定はこうやって無限地獄に陥っていきます  (^^;;

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実験後気になって“口中”と“脇の下”の違いについて調べてみました。どうみても実験前に調べておくことだったんですが....

イメージとしては“正しい体温”というのがあってそれを測るときどういう方法で測ったら“正しい体温“に近い温度になるのかということなんでしょうが、この考え方が間違っているような気がします。人間の体は部位によって温度は違うわけで“正しい体温”がどこかにあるということではないでしょう。

メーカの資料が参考になると思います。
  「シチズン・システムズ - よくあるご質問(Q&A) - 電子体温計

こういうのを見るとけっきょく体温というのは

  脇の下に体温計を入れ5分後の体温計の指示を体温と定義する

というようなものだと理解した方がいいように思えます。

人によって程度の差はあるものの“口中”の方が“脇の下”の方が多少温度が高いようですが、“口中”と“脇の下”には大きな違いがあります。それは平衡に達するまでの時間です。“脇の下”が平衡に達するまで10程度かかるのに対し、口中であれば5,6分で平衡状態に達するようです。

“口中専用”というのは平衡状態に達する時間が短い“口中”で測り、毎日の“温度”を平衡に近い状態にして精度よく比較できるようにしましょうということではないか思います。

なお上の資料によれば日本人の脇下で測った健康時の平均体温は36.89±0.34℃だそうです。これは“脇下平衡状態”の温度のようです。

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関連

  「Pt100(白金測温抵抗体)の校正状況 - 氷点=0.0℃編
  「PICで作ったPt100(白金測温抵抗体)温度計の校正状況 - 42℃編
  「体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編

  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算

  趣味の実験
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  趣味の電子工作
    PIC

  「正確な温度を求めて (1)
  「氷点 - 摂氏0度の作り方
  「サーミスタや白金抵抗温度計の自己発熱の影響を補正する方法

  「(趣味の)白金抵抗温度計の製作 - 準備編
  「16bitADコンバータMCP3425とPICで作る白金抵抗温度計 - 1
  「(趣味の)白金薄膜抵抗温度計の作り方 - 誤差について
  「自己発熱を測定してわかる白金測温抵抗体の扱いにくさ
  「白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1

  「サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた

  「温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)

  参考
    「白金抵抗温度計の校正とその使い方 - JCSS:計量法認定
    「JEMIC 計測サークルニュースVol.26, No.2 ~ 4 連載(1997) - 浜田登喜夫 - 白金抵抗温度計の校正とその使い方

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コメント

氷の温度校正 簡単な発泡スチロールで冷蔵庫角氷を3~4個積み上げられる容器を作り、下の氷をのけてドリルで穴を開けます。
氷は少しずつ溶けるので、溶けた水が排出できるように隙間を作っておきます。
この状態で風と光を当てないように段ボール箱などに入れてやると、ほとんど正確に、
+0.01℃になります。

精度を考えて、1mAの電流で、4線式,PT100Aを使うとしますと、
アンプの精度が、難しい計算式など以前に、問題になります。
100℃を考えると100.01℃では0.037%の変化しか無いので、アンプの電圧ドリフト、電流ドリフト、入力バイアス電流が大きな問題になり、普通の回路ではまず無理でしょう。
https://www.analog.com/media/en/technical-documentation/data-sheets/1052fa.pdf

全体の基準電圧は安価でありながら変化の少ない、LM399-2ppm/℃
https://www.analog.com/jp/products/lm399.html#product-overview

バッファが付いていないので、その後ほかのメーカーに替えました。
https://www.analog.com/jp/products/adr4525.html#product-overview

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