« ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る | トップページ | I2C温湿度センサーAM2321の湿度をPIC/熱電対乾湿球湿度計とくらべてみた »

2015年6月 2日 (火)

湿度の計算方法 - K型熱電対とPICで作る乾湿球湿度計

前記事で熱電対と(白金)測温抵抗体を使って湿度が測れそうな目処がついたわけですが、一点問題があります。

(相対)湿度を求めるためには乾球温度と湿球温度での飽和水蒸気圧が必要です。前記事では気象庁 - 気象観測の手引にある表から飽和水蒸気圧を求めたのですがPICで作ろうとすると表をプログラムの中に持つというのは手間ですしメモリももったいなくてやりたくありません。

計算式があればいいのに、と思ってググったら簡単に見つかりました。

========

必要とする式は

  「中川清隆@立正大学地球環境科学部環境システム学科 - 飽和水蒸気圧と水蒸気量の計算

にありました。“Tetensの式”というものがあるそうです。説明書きを読むと高温での計算結果が実際と違ってくるようですが、そんなに高い温度の飽和水蒸気圧が必要があるわけではないので試しに計算して気象庁 - 気象観測の手引や理科年表の値と比較してみます。

温度/℃ 計算値
/hPa
気象庁 - 気象観測の手引
/hPa
理科年表
/kPa
差/hPa
0.0 6.11 6.11 0.00
4.85 8.63 0.8632 0.00
10.0 12.28 12.27 0.01
14.85 16.89 1.6886 0.00
20.0 23.39 23.27 0.02
24.85 31.40 3.1403 0.00
30.0 42.44 42.43 0.01
34.85 55.78 5.5800 -0.02
39.9 73.38 73.38 0.00

※ 理科年表の値は t68/Kに対するものと記されています。

25℃近辺で温度が0.1℃変化すると飽和蒸気圧は0.2hPaくらい変わります。それを考えるともう完全に一致していると受け取ってよさそうです。

-------

ここまでくると(相対)湿度の計算ができます。

まず室温T(=乾球温度、測温抵抗体で測定)と乾湿球温度差ΔT(熱電対で測定)と気圧P(室温程度であれば測定値が信頼できるI2C/SPI大気圧センサーLPS331APで測定)を測ります。

乾球温度から飽和蒸気圧を求めます。

   E = 6.11*10^(7.5*T/(T+237.3))    Tetensの式(「飽和水蒸気圧と水蒸気量の計算
より)


湿球温度から飽和蒸気圧を求めます。

   E' = 6.11*10^(7.5*(T-ΔT)/((T-ΔT)+237.3))    Tetensの式(「飽和水蒸気圧と水蒸気量の計算」より)

蒸気圧を求めます

   e=E' - A /755 * P * ( ΔT )    スプルングの式(「気象庁 - 気象観測の手引より
    A=0.5 ( 湿球が氷結しない場合)

(相対)湿度を求めます。

   Hr = e / E

-------------------

ついでに書いておくと絶対湿度は乾球温度と蒸気圧から求めることができ

  Ha = 217*e/(T+273.15) (g m-3 ) (「飽和水蒸気圧と水蒸気量の計算」より


となります。

--------

関連

記事一覧(測定、電子工作、天文計算

  湿度
    「相対湿度を測ってみた - K型熱電対とPICで作る乾湿球湿度計
    「I2C温湿度センサーAM2321の湿度をPIC/熱電対乾湿球湿度計とくらべてみた
    「通風乾湿球湿度計をありあわせの材料で作ってみた
    「I2C温湿度センサーAM2321の湿度を通風(熱電対)乾湿球湿度計とくらべてみた


  温度
  「正確な温度を求めて (1)
    温度センサ
    「PICで作る温度計のセンサー比較(....、熱電対、白金測温抵抗体、....
      白金測温抵抗体(白金薄膜抵抗)について
      「(趣味の)白金抵抗温度計の製作 - 準備編

      熱電対
      「熱電対起電力を直接測定できる22bit(20.6bit)ADコンバータMCP3553
      「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」 (-20℃~120℃編)
         じつは今回使った熱電対の測定値はちょっとあやしいです。
         「熱電対の規準起電力はあてになるか?

  気圧
    大気圧センサ
      LPS331AP
      「PICでI2C - 大気圧・温度センサーLPS331APの使い方

« ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る | トップページ | I2C温湿度センサーAM2321の湿度をPIC/熱電対乾湿球湿度計とくらべてみた »

趣味の気象観測」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 湿度の計算方法 - K型熱電対とPICで作る乾湿球湿度計:

« ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る | トップページ | I2C温湿度センサーAM2321の湿度をPIC/熱電対乾湿球湿度計とくらべてみた »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ