サーミスタの抵抗値とB定数の実測値(55℃編)
25℃での抵抗値とB定数を測りましたので今度は(もう一つの重要ポイント50℃に近い)55℃です。
測定条件その他「サーミスタの抵抗値とB定数を実測する(25℃編)」と同じですのでまず結果を書きます。
抵抗値の測定結果は
R=3.520kΩ ±0.022kΩ (k=2)
でした、これと25℃での測定結果
R=9.974kΩ±0.045kΩ (k=2)
からB定数を計算してみます。
B=3397K ± 26K
となります。データシートの3380Kとよく一致するメーカー資料にある抵抗典型値から算出したB定数3391Kとよく一致する結果です(注)
前回と同様このサーミスタで温度計を作りR=10kΩ、B=3380K(25℃~50℃)で計算して55.0℃で温度を測ることを考えます。そうすると温度計の示す温度は
55.3℃(55.0℃~55.5℃)
となるはずです。ちょっと高めに出そうですがこの温度であればまあまあ正確だと思います(この高めに出る理由としては25℃の抵抗値が10kΩより小さいこともあります。「サーミスタの抵抗値とB定数を実測する(25℃編)」参照)
55℃になると今回の測定に使った測温抵抗体の不確かさも大きくなってきます。カッコ内にあるようにこの温度計を実際に作ったら55.0℃を示す可能性も残されています。
いろんな温度のデータが集まったら連続性をチェックして確定値を出したいと思います。
だから今の段階で合っている合っていないと騒ぐのは早すぎますが....
注 B定数は抵抗値の変化にとても敏感です。温度とB定数の関係式に対数関数があるためです。したがって一回の抵抗の測定値からB定数を求めるというのはリスキーです。B定数の確定値はかなり実験データを積み重ねないと得られないと思います。これはpn接合の電流と電圧の関係に似ています。抵抗値が電圧、B定数が電流と考えればわかりやすいと思います。pn接合の電流・電圧の関係には対数が出てきます。
(今回は20回の測定データを使って抵抗値を求めています)
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測定条件は同じでもバジェットシートの内容はちょっと変わります。
温度に依存する項目がいくつかあります。
“注”については「サーミスタの抵抗値とB定数を実測する(25℃編)」にあります。
今回はB定数の分も作ります。
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「サーミスタの抵抗値とB定数を実測する(25℃編)」
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