K型熱電対 ステンレス管タイプ(秋月電子通商)の誤差を考える
前記事で(少なくとも私が持っている)秋月電子通商の“K型熱電対 ステンレス管タイプ”では補償導線が使われていることがわかりました。前記事の実験では温度の測定値に1.5℃の誤差が発生しており、それが補償導線の影響と考えるとうまく説明できたからです。
ところでこの1.5℃の誤差というのはけっこう大きいです。これだけ誤差があると用途によっては“使えない”ケースも出てくると思います。でもじつはこれはそんなに気にすることはない場合がほとんどでしょう。この熱電対を使っていらっしゃる方の中には私の記事を読んで心配になる方がいらっしゃるかもしれないのでこのことについてちょっと書いておきます。
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K型に限らず熱電対の起電力は熱接点と冷接点の温度差で発生します。
熱接点(40℃)--------(K型)-----------冷接点(0℃)
この場合40℃の温度差に対する起電力が発生します。補償導線を使った場合はこうなります。
熱接点(40℃)------(K型)-----補償接点----(補償導線)----冷接点(0℃)
熱接点と補償接点の間ではK型熱電対の起電力が発生し、補償接点と冷接点の間では補償導線の起電力が発生します。一般に熱電対とその補償導線とでは起電力に差がありますので補償接点と冷接点の温度差に応じた誤差が発生します。
ただ補償接点と冷接点の間の温度差が大きければ大きいほど誤差も大きくなるかというとそれは違っていて補償導線の種類・特性によって異なります。今回の熱電対に使われている補償導線がVXタイプとすれば冷接点が0℃、補償導線が80℃のとき誤差が極大になり-3℃前後の誤差が発生するようです(「株式会社福電 - 熱電対用補償導線説明資料」によります)
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どういう特性を持つにしろ補償接点と冷接点の温度差が0℃になれば補償導線による誤差は発生しません。一般的な使い方では冷接点は室温におき冷接点の温度を他の方法で測るやり方でしょう。例えば
熱接点----(K型)----補償接点---(補償導線)---冷接点--(サーミスタ) ---0℃
この場合補償接点と冷接点の温度が同じになるようにできれば補償導線による誤差はなくなります。一方冷接点測定の誤差つまりサーミスタの確度が問題になってきます。
つまり“ふつうの”温度測定では補償接点(ステンレス管の上部にあります)と冷接点の温度ができるだけ同じにすればいいわけです。
水温を測るときステンレス管をできるだけ水の中に入れたくなるのですが、あんまり深く入れるのはやめた方がいいのかもしれません。補償接点の温度の上昇/下降を招くからです。
もっとも金属シースの場合は最低管径の40倍の深さまで液中に入れろと「田中貴金属工業株式会社 浜田登喜夫 - 白金抵抗温度計を用いた精密温度測定」には書いてありました。測定精度のレベルが違いますが....
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私の場合熱電対による測定がサーミスタなどの確度に依存するのがいやなので冷接点を氷点にしているわけでこうなるとどうしようもないように見えますが“対策”はあります。
熱接点(40℃)------(K型)-----補償接点(0℃)----(補償導線)----冷接点(0℃)
こうすれば補償導線の影響はなくなりますが“K型熱電対 ステンレス管タイプ”では熱接点と補償接点が一体になっているのでできなさそうに見えます。
以下おバカなことを考えてました (^^;;
しばらくこちらの方は封印して補償導線を使っていない“K型熱電対プローブ”の方で遊びます。でもこうすればこの問題は解決します。
冷接点(40℃)------(K型)-----補償接点(0℃)----(補償導線)----熱接点(0℃)
つまりプローブ(ステンレス管)の方を(防水した上)氷水の中に沈めてしまい、冷接点の方で温度を測るようにします(ほんとは基準となる0℃になっている方を冷接点というわけですが....)
これで補償導線の影響を受けずに温度が測れるようになるはずです。
近々実際にやってみる予定です。
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「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」 (-20℃~120℃編)
参考
「学習院 - 仲山英之・石井菊次郎 - 2-1 温度測定」
「岩手大学農学部 岡田益己 - 温度の正しい測り方(3)熱電対の作り方・使い方」
「アナログ・デバイセズ - 熱電対温度計測に関する不明瞭な部分の理解」
「株式会社東京熱学 - 2-3 熱電対の許容差」
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