あんまり違いがないK型熱電対とT型熱電対の熱起電力
前記事(「じつはT型のような気がする秋月のK型熱電対」)に書いたようにこれまで一年近く私はT型(銅-コンスタンタン)熱電対をK型(クロメル-アルメル)熱電対と思い込んで使っていたことになります。となると違いに気が付かなかった私はまぬけとかおバカと言われてもしようがないダメなオトコのような気もしてきます。
でも調べてみたらそんなに落ち込むこともなさそうです。
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と書いたのですが、これにはさらに勘違いがあって秋月のステンレス管タイプのK型熱電対は“K型だけど銅・コンスタンタンの補償導線が使ってある”というのが正解のようです。
そしてその事実は“K型熱電対と銅・コンスタンタン補償導線の熱起電力が違う”ことで確認しました(「K型熱電対 ステンレス管タイプ(秋月電子通商)による温度測定」)
となると(この記事に書いたことを前提に)銅・コンスタンタンの組み合わせでも熱電対と補償導線では熱起電力が違う、ということになります。
コンスタンタンの組成が違うから、ということだとは思いますが、このあたりになるとよくわかりません。
なおK型熱電対にしても実測すると熱起電力は基準起電力とは違ってました(「K型熱電対プローブ(秋月電子通商)による温度測定」)
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理科年表にある“熱電対の規準起電力”を使って二つの熱電対の熱起電力を比べてみました。
この二つは熱起電力の温度特性がかなり違うようなので熱起電力もそれなりに違うものだと思っていましたが実際はそんなに差はないようです。
さすがに400℃ともなると相当違ってきます。
-20℃~120℃の範囲がよく分かるような形にして横軸を起電力にして比較してみます。
これを見ると少なくとも-20℃~60℃では起電力を見てT型かK型か判別するのはまずできなさそうです。T型熱電対の起電力をK型熱電対の起電力の規準起電力をもとに温度に変換すると80℃でも2℃しか違いがありません。
結論としては
T型熱電対をK型と言って渡されても気がつく人はあんまりいなさそう
ということになります。安心しました (^^;;
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関連
「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「PICで作る温度計のセンサー比較」
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「氷点 - 摂氏0度の作り方」
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「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換 (250℃~1300℃編)」
「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」 (-20℃~120℃編)
参考
「学習院 - 仲山英之・石井菊次郎 - 2-1 温度測定」
「岩手大学農学部 岡田益己 - 温度の正しい測り方(3)熱電対の作り方・使い方」
「アナログ・デバイセズ - 熱電対温度計測に関する不明瞭な部分の理解」
「株式会社東京熱学 - 2-3 熱電対の許容差」
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