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2015年6月 7日 (日)

pn接合順方向電圧(VBE)の理想係数や温度特性の測定装置(12bitDAコンバータMCP4726)

これまで何度かVBEの温度特性や理想係数(と飽和電流)について記事を書いたのですが、これらをまとめて測定しようと思っています。温度を変化させながらさらに順方向電流も変化させて測定しようという意味です。

そうなると電流と温度の両方を連続的に徐々に変化させていくというのは現実的ではありません。そこで電流の方を離散的に__具体的には1/2ずつ減らしていきます__測定するための“実験装置”を作ってみました。

今回はどうやって実験するかという話で理想係数がどうだという話ではないのですが、いちおう結果は出してあります。

また実験に使う12ビットDAコンバータMCP4726の使い方(回路、ソース)については別に記事にします(MCP4725というのもありますが、たぶん同じようなものだと思います)

<=== MCP4725/MCP4726についてはきむ茶工房ガレージハウス さんの記事がありました。

  きむ茶工房ガレージハウス
    - マイコン使用による電子部品の使い方
      -   DAコンバータ MCP4725/6(I2C)を利用しD/A変換を行う

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今回はこんな構成にしてあります。
Photo

基準電圧源の3Vの電圧をもとに12bitDAC・MCP7426で離散的に変化する電圧を作ります。だいたい3Vから1/2ずつしていって13mVくらいまで作ります。

この電圧を電圧電流変換回路(バイラテラル回路)に与え電流源とします。この電流をpn接合に流し順方向電圧を20.6bitADコンバータMCP3553で測定します。

また電圧電流変換回路に与える電圧は12bitADコンバータMCP3208で測定します。20.6bitと12bitでは釣り合いがとれていないようですが、pn接合の電流電圧特性を考えるとそうでもないです。とは言ってももちろん16bitDAコンバータMCP3425を使った方がいいのですが、2V以上は測れないという単純な理由でこうなっています。ここは実験条件を見直し改善予定です。

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実際に測った結果です。
Test

左半分がpn接合(対象は1N4148)の実験結果です。右半分はただの抵抗をつなぎ電圧電流変換の特性を調べています。

電流が等比数列的に減少するのに対し電圧は等差数列的に減少していくのがわかります。

これを電流・電圧の関係を示すグラフにしてみました。
Test2

こちらは片対数グラフです。実験データは9個しかないように見えますが、実際は上の実験結果6回繰り返した54個のデータすべてをプロットしてあります。実験の再現性が良好であることがわかります。

せっかくですので「pn接合の理想係数を測る」にあるExcelのシートで飽和電流と理想係数を求めてみました。
Test3_2


実験条件、実験方法の検討が不十分なのでこの結果がどこまで信用できるかわかりませんが、飽和電流4.2nA、理想係数1.9が得られています。この値は最小二乗法(に近い方法)で求めています。理想係数はかなり大きくなっています。

温度が“推定”となっているようにまだまともな実験ではないです。

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関連

  「
pn接合(VBE)の理想係数と飽和電流の簡単な求め方
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pn接合の飽和電流と理想係数を測定する - ダイオード・1SS355
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pn接合順方向電圧(VBE)の温度係数を測ってみた(高精度版)

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pn接合の飽和電流と理想係数の温度特性(を調べる準備)
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  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

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  「22ビット(20.6bit)ADコンバータMCP3553の使い方
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  「サーミスタ/白金測温抵抗体/pn接合による温度測定のための定電流電源

測定した結果を表示することについて(いずれもI2Cデバイスです)
  「I2Cのソース - PIC12F1822/16F1705/16F1938/18F26K22 - LCD(ACM1602)を例にして
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測定した結果を保存することについて
  「PICでSPI SDカードを読み書きする

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