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2015年7月21日 (火)

脇の下と口の中の体温をいっしょに測ってみた - 腋窩温と舌下温

腋窩温と舌下温がどう違うかということはもう何度か書いたのですが、腋窩温を測ってから舌下温を測るというようなことをやっているので今一つ説得力がありませんでした。

そこで今回は二つの測温抵抗体を使って同時に測ってみました(四線式抵抗計用マルチプレクサの応用です)
1

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最初の60分が腋窩温(青)と舌下温(赤)を測っているところです。その後のA、B、Cは二つの温度計の示す温度に差がないことを確かめるためそれぞれ舌下温、水温、気温を測っているところです。

測定は測温抵抗体(Pt100、白金薄膜抵抗)を5mm径のアルミパイプにシリコングリスとともに封入したものを使っています。氷点や高精度体温計を使って校正してあり0℃~50℃くらいの範囲であれば誤差は0.1℃におさまっていると思われます。

ひと目で見てわかるのは舌下温が数分で平衡状態になるのに対し腋窩温が数十分かかることです。温度計のレスポンスの違いと思われるかもしれませんがAのところを見ると腋窩温を測定した温度計も舌下温であれば2分で平衡状態に近い状態になっているので、これは温度計の違いではなく測り方の違いが理由であることがわかります。

拡大図を見てみます。
2

舌下温は測定開始2分後には平衡状態と0.1℃しか違わない温度になっています(温度の記録を始めてから温度計を脇の下、口の中と入れていますので実際には2分もかかっていません)
ここからは平衡状態になるまでちょっと時間がかかります。口の中に入れて2分後の温度を測りそれに0.1℃をプラスするというのが舌下温の測定方法としては実用的でしょうか (^^;;

一方腋窩温はだらだらと上がり続けます。30分くらいのところで段差ができていますが、ここで配線材が二の腕が脇腹の間におさまるように脇をしめ直したからです。最初からそうしていれば30分か40分くらいで平衡状態に達したような気がします。

私はふだんの体温がかなり低く、体温が低い体質なんだ、と思っていたのですが、脇の下でもちゃんと36.6℃ありました。体脂肪が多いと平衡状態になるのに時間がかかるんでしょうか (^^;;

腋窩温と舌下温の違いについてはいろいろ書いたものがあるのですが、腋窩温も時間をかけて測れば舌下温とたいして違わないような気もします(腋窩温と舌下温の違いは今回の測定を含めこれまで0.4℃、0.1℃、0.2℃という結果が得られています)

次は左右の脇の下で腋窩温は違うか?というテーマをやってみたいと思っています。
  ==> 「腋窩温(脇の下で測る体温)は左右で違うか?

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参考

  「大学病院医療情報ネットワーク研究センター - 人体のしくみと働き 2015年度版 - 体温の調節
  「シチズン・システムズ - よくあるご質問(Q&A) - 電子体温計

関連

  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)

  「なぜ左右の脇の下で測った体温(腋窩温)が違うのか - その理由を調べてみた
  「左脇の下の体温は右より0.3℃高かった - 腋窩温の測定
  「腋窩温(脇の下で測る体温)は左右で違うか?

  「脇の下と口の中の体温をいっしょに測ってみた - 腋窩温と舌下温
  「2分で終わる舌下温、30分はかかる腋窩温 - 体温を測るのにかかる時間
  「舌下温(口中温)と腋窩温(脇下温) - 測定方法による体温の違い

  「温度計のセンサー比較(温度センサ、サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、pn接合など)

  「(白金)測温抵抗体(白金薄膜抵抗)の使い方 - 基礎編というか入門編というか....
  「脇の下恒温槽と体温計で白金抵抗温度計を校正してみた
  「体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編

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趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

室温が高いですね~^^。
それはそうと、舌下温というのがこんなに早く収束するのは意外でした。あまり一般的でないのは清潔さが保てないからなのでしょうか。超音波式(?でしたっけ)の耳の穴にあてて測る体温計も気になります。

はい、我が家は原則冷房禁止で....
もう人間が棲息できる環境じゃないです。今日も朝から30℃あります (^^;;

舌下温の収束早いですよね。こういうのをやってみると脇の下で体温を測る理由なんかないように思えてきます。
衛生面というか精神衛生面の問題でしょうか。

耳の穴というと放射温度計なのでしょうか?
メーカーの資料を見たら鼓膜の温度を赤外線センサーで測るとありました。
放射温度計、熱力学温度計は構想はあるのですが、いつまで経っても現実のものになりません。

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