はんだの融点/共晶点と過冷却現象 - 熱電対温度計の校正に向けて
補償導線で作ったT型(もどき)熱電対温度計の校正をするのに“はんだ”の融点を利用しようとしたのですが難航しています。でもちょっと光も差してきました。
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はじめ“はんだ”の相図(状態図)を見て溶けたはんだが固まるときはこのような温度変化をするのだと早とちりしました(Sn60-Pb40のはんだの場合です)
でも実際にはんだを溶かして温度を測ったらぜんぜん違ってました。
どこが190℃でどこが183℃だかさっぱりわかりません (^^;;
補足 はんだの融点と言う場合メーカーの説明書を読むとこのSn60-Pb40の場合 183℃-190℃と書いてあったりします。一方共晶点というのは183℃のことで、これは錫/鉛の比率にかかわりなく一定です。というか比率にかかわりなく183℃というところが共晶点なんでしょう。
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あらためて相図やその説明を読んでみると本来はこのような温度変化になるようです。
液相(液体)のはんだが冷えて190℃になると固溶体が析出し始めます。温度はさらに下がり続け温度に応じた成分比の固溶体が析出していきます。そして183℃ではんだはすべて固相(個体)になります。
つまり、さらさら=>どろどろ=>かちかち、というように状態が変化します。
実際にはこうならないのははんだ(というより錫やその合金)は過冷却が起きやすい物質だからのようです(過冷却が起きやすい液体として“水”がありますが、はんだはもっとすごいです凝固点らしきところから液体のまま10℃くらいヘーキで下がります)
つまり固溶体が析出し始めるはずの190℃になってもさらさらのまま温度が低下していき、“何か”をきっかけに固溶体の析出が一気に始まります。そうなるとその分凝固熱が放出されるので温度は急激に上昇しその後も固溶体の析出が続いたあと固相に移行するという挙動を示すということのようです。
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実際に温度変化を測ったものです。温度はK型熱電対のVXタイプと思われる補償導線つまり銅=コンスタンタンを利用して作った熱電対で測っています。この校正のために実験をしているのであって熱起電力と温度の関係はよくわかっていません。だから、熱起電力は温度に比例する、という荒っぽい仮定をしており、温度は推定値です。
Aは液相で温度が低下しているところ、Cは固相で温度が低下しているところ、Bが液相から固相に転移しているところです。
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AのところとBのところは単に“自然空冷”で温度が下がっているだけですからどちらも温度の変化は
T(t) = (T0 - Te ) exp( - kt ) + Te (Te:周囲温度、T0:初期値、k:定数)
の式にしたがっているはずです。そこで実際の温度変化にフィットする係数を求め、それから計算した温度を上のグラフに緑の線でプロットしてみます。
AのところもBのところも温度変化は“現実”とけっこうよく一致しています。
次の記事「はんだの融点/共晶点での相転移と過冷却現象 - 熱電対温度計の校正に向けて」ではこれをもとにどこが190℃でどこが183℃なのかを考えてみることにします。
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ところでAのところはk≒0.17、Bのところはk≒0.15でした。これからすると理屈の上では液体のはんだの方が固体のはんだより比熱が小さいということになります。ほんとにそうなのかはまだ確認していません。単に液体と固体では熱伝導率が違うということかもしれませんが。
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参考
「学習院 - 仲山英之・石井菊次郎 - 2-1 温度測定」
「岩手大学農学部 岡田益己 - 温度の正しい測り方(3)熱電対の作り方・使い方」
「アナログ・デバイセズ - 熱電対温度計測に関する不明瞭な部分の理解」
「株式会社東京熱学 - 2-3 熱電対の許容差」
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