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2015年7月29日 (水)

水深と水圧の関係 - 海面下6500mでの水圧は? (1)

(PCで読んでいる方しかご覧いただけませんが)記事の右側の方にある“新着記事”に“おち研”さんのブログへのリンクがあります。

科学関係の記事というとニュースや専門家の書いたものをコピーしたようなものが多くて読みたくなるような記事はほとんどないのですが、“おち研”さんのは独自の視点と考察でユニークな記事を書かれておりおもしろいです(=勉強になります)

その“おち研”さんの最新の記事「『海に降る』を深海の入門書にする聖地巡礼のススメ」にいちゃもんをつけてしまいました。

このままじゃ自分がいつか記事にした「こまったちゃん」になってしまうわけで、そうはなりたくないので急遽“水深と水圧の関係”について研究(?)してみたいと思います。

理屈はいいから水深から水圧を計算する方法を教えろという方は

  「水深から水圧を求める計算式(海水編) - ρghでは計算できない深海用

へ。

 
========

例えば水深(海面下)6500mでの水圧はどのくらいかと考えるときふつうは10m=>1気圧から650気圧とします。

なぜ4000mでもなく6000mでもなく6500mで考えるかというとこの水深での水圧について専門家が書かれたものがあるから、つまり正解がわかっているから、です。

熊本大学大学院自然科学研究科 - 横瀬久芳 - 水深4000mの世界にようこそ

によれば

  水深6,500mでの水圧は約680気圧

だそうです。上の計算とは30気圧も違っています。

最初に見つけたのが横瀬先生のものだったのでそれを引用したのですが、この約680気圧というのは標準大気圧(atm)ではなく工業気圧(at)のような気もします。水深6500mでの水圧については専門家でも違う数値を示しています。
  「
水深6500mの深海の水圧は何気圧? - 専門家でも意見が違う?

------

まず海水の密度(と重力)が水深に無関係に一定値ρ(kg m^-3)であれば話は簡単で水深6500mでの水圧は

     ρ * 6500 * g / 101325

       ρ  水(海水)の密度(kg m^-3)
       g   標準重力加速度(9.80665(m^2 Pa kg^-1 あるいは m s^-2)
       101325(Pa)          標準大気圧

で得られます。上の650気圧というのはρを適当に(適切に?)仮定し重力加速度が一定であるとして得られた結果と言えます。

ですが実際には密度が一定値ということはありえないでしょうから

    ∫ρ(x)g(x)dx / 101325

ということになります。

ρ(x)(と重力の分布g(x))が具体的にどういう形をしているのかわかれば水圧はわかります。ρ(x)g(x)が解析的に積分できない、あるいは表で与えられている場合でも数値積分すればいいのですがρ(x)がどうなっているかさっぱりわかりません。

-------

いろいろググってみたら海水の密度は“海水の状態方程式”というもので表されるようです。

“海水の状態方程式”の具体的な形を示しているものとして

  「Little Waves - 海水の密度

というのが見つかりました。これは「UNESCO(1981)の海水の状態方程式」によるそうです。

その後さらに詳しい資料が見つかりました。詳しくは
  「
水深と海水の密度・水圧の関係 - 海水の状態方程式
にあります。


“海水の状態方程式”については

  「日本海洋学会 海の研究 - Vol.19-2 新しい海水の状態方程式と塩分の定義

によればもっと新しいものがあるようですが、これには具体的な数式はありません。

いずれにしてもρ(x)を計算するためには水深に対する塩分濃度が必要なのですが、これがまだ見つかっていません。強いてあげれば理科年表にある“海水の含有元素濃度”でしょうか。ただこれは“水深にかかわらず一定”、“水深が大きくなるに連れて増える”、“水深が大きくなるに連れて減る”が記されているだけです。

これは勘違いで、理科年表には水深に対する水温、PSU(塩濃度)の表があります。ただ水深は1500mまででした。

おそらく成分が大きく変化するのは水深400mくらいまでの表層の部分で、それより深い深層の部分はあんまり変わらないようにも思えます。だったら塩分の濃度については深層のものを見つけそれを全水深に適用しても(今は深海の水圧を問題にしておりわずかな表層の部分の計算が多少間違っていても影響は小さいので)そんなに問題ないような気がします。

状態方程式には他に水圧や温度が必要なのですが、水圧は上の積分を計算を行いたい部分まで行えばいいわけですし、温度は深層部分はほとんど1℃~2℃ということのようなのでこれは一定ということでよさそうです。

ということで具体的な塩分濃度の数値を入手(あるいは仮定)した上で実際に水圧を計算してみたいと思います。

その後実測データが入手できることがわかりました。
  「
海水の塩濃度(PSU、塩分)、水温と水深の関係

(「海面下6500mの水圧は680気圧? - Excelで水深と水圧の関係を計算する」へ続く)
--------

関連

  「水深と水圧の関係 - 海面下6500mでの水圧は? (1)」 (この記事)
  「海面下6500mの水圧は658気圧 - Excelで水深と水圧の関係を計算する
  「水深6500mの深海の水圧は何気圧? - 専門家でも意見が違う?
  「しんかい6500の耐圧殻の真球度はどれくらい? - 水深6500mの水圧 (4)
  「水深と海水の密度・水圧の関係 - 海水の状態方程式
  「水深から水圧を求める計算式(海水編) - ρghでは計算できない深海用
  「水深と水圧の関係のグラフ(海面~水深12,000m)
  「しんかい6500の受ける(水深6500mの)水圧 - 文部科学省『どんな?文科!』編
  「続・しんかい6500の受ける(水深6500mの)水圧 - 文部科学省『どんな?文科!』編
  「海水の塩濃度(PSU、塩分)、水温と水深の関係

  「測定対象別記事一覧とリンク集
  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)
  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)

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