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2015年7月18日 (土)

サーミスタ等の熱放散定数・熱時定数と熱抵抗・熱容量 - 熱と温度の公式

サーミスタ/測温抵抗体(Pt100、白金薄膜抵抗)/pn接合など発熱をともなう温度センサーを使うときに気になる特性として熱放散定数と熱時定数があります。
これらの定数とサーミスタ等センサの挙動(温度変化)の関係を考えてみました。

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参考 pn接合順方向電圧の温度特性を利用した温度計の実測値分析例
    (ダイオードをケースに収めたものを水中においたケース)
Pn2

  

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まずサーミスタ(等)の“モデル”を次のように考えます。
(恒温槽にセンサーが入っているケースは「恒温槽は万能か? - 温度センサーと測定対象の温度差」に、氷点測定のモデルは「氷点を電気的モデルで考えてみた - 摂氏0度の作り方と使い方」にあります)
__2

サーミスタに電流を流すことによって毎秒Isジュールの熱が発生します。Isの単位は“J/s”つまり“W”です。この熱で熱容量C(単位はJ/K)のサーミスタが加熱されます。

これだけだとサーミスタは一定の早さで温度が際限なく上昇して行きますが、実際は温度Te(Kあるいは℃)の外気、水槽に熱が逃げて行きますのである一定の温度までしか上昇しません。

平衡状態になったときのサーミスタの温度をTtとすると

  Tt - Te = Is * R

の関係が成り立ちこのRを(外気・環境とサーミスタの間の)熱抵抗といいます。

  R = (Tt - Te ) / Is

とも書けます。Rの単位はK/Wということになります。

サーミスタの熱特性を言うときは熱抵抗ではなく熱放散定数を使います。熱放散定数は

 k = Is / ( Tt - Te )

と定義されますから、これは熱抵抗の逆数になります。つまり熱伝導率ということになります。

熱伝導率なら単位も熱抵抗の逆数で W/K ですが、熱放散定数の単位はふつう mW/K が使われます。

熱放散定数がよくある1mW/Kだとすれば、熱抵抗は1000K/Wということになります。無風の空気中におくという条件ですからけっこう大きいです。

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次に過渡的な状態を考えます。熱が流れ込んだ分だけ(熱容量に応じて)温度が上がるので
    dTt/dt = i / C

ということになります。流れこむ熱量 i は

    i = Is - ( Tt-Te)/R  (自己加熱の場合)
    i = (Te-Tt)/R      (環境の温度が変化した場合)

です。この式を

    i = ( Is*R -(Tt-Te))/R  (自己加熱の場合)

として

     Tm =  Is*R -(Tt-Te)  (自己加熱の場合)
     Tm =  (Te-Tt)      (環境の温度が変化した場合)

  と置き換え

    i = Tm / R

とします。このTmというのはサーミスタが最終的に到達する温度と現在(時刻t)の温度の差を意味します。また自己加熱の場合Is*Rはすでに出てきていますが環境の温度とサーミスタが最終的に到達する温度との差になります。
環境の温度が変化した場合は最終的に到達する温度は環境温度そのものです。

これらの式と dTt/dt = i / C から

    dTm/dT = -Tm/(C*R)

となります。この方程式を解けばいいのですが、一般的には熱容量Cは温度の関数です。そうなると私の手には負えないのでCは温度にかかわらず一定ということにします。そうであれば簡単で

    Tm =  Is*R * exp( - t /(C*R) )  (自己加熱の場合)
        (Tmの初期値が環境の温度と同じと仮定すれば)

    Tm =  (Tm-T0) * exp( - t /(C*R) )  (環境の温度が変化した場合)
        (T0はサーミスタの初期温度)

が得られます。ここで t = 1 /(C*R) のときの温度を考えます。

    Tm = Is*R * exp(-1) = 0.3679 = 1 - 0.6321  (自己加熱の場合)
    Tm = (Tm-T0) * exp(-1) = 0.3679 = 1 - 0.6321 (環境の温度が変化した場合)

となりますが、これは 1/(C*R) 秒後に最終的に到達する温度差の63.2%のところまで達したことを意味します。この 1/(C+R) が熱時定数と言われるものです。

メーカの資料だと“最終的に到達する温度差の63.2%に達するのに要する時間を熱時定数という”と定義してありますが、上に書いたようなことが根拠(?)になっています。

現実のサーミスタの熱時定数は4秒程度のようです。1mW/Kの熱放散係数だとすると熱抵抗R=1000K/Wですから

   1/(C*R) = 4

からこのサーミスタの熱容量が

  C = 1/4 / R = 1/4/1000 = 0.00025(J/K)

であることがわかります。熱容量がとても小さく熱抵抗が大きいためサーミスタは1mWというような微小な電力でも温度が目に見えて上がることになります。

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サーミスタを冷やしたり温めたりする例として例えば25℃の室温にある0℃の部屋(あるいは屋外)に持って行ったらサーミスタと0℃の部屋・屋外との温度差が0.01℃になるのにどのくらいかかるかというと

  25 * exp( -t /(C*R)) = 0.01

からもとめることができます。

  t = -ln(0.01/25) * C*R = 7.82 * 4 ≒ 31秒

ということで30秒ちょっとかかることがわかります。

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以上の話を発展させると、恒温槽/断熱容器の温度を1時間に1℃上昇させたとき室温とサーミスタの温度差はどのように変化するかというようなことが推定できることになります。

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