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2015年7月31日 (金)

水深6500mの深海の水圧は何気圧? - 専門家でも意見が分かれる水圧

おち研”さんの記事「『海に降る』を深海の入門書にする聖地巡礼のススメ」に触発されて始めた水深と水圧の関係の研究(?)ですが、ググってみると諸説あっておもしろいです。

(私のは違いますが)公的機関やメーカー等たいていの人はそこに書いてあることは正しいと信じるようなサイトから6500mでの水圧を拾ってみました。

水圧順にソートしてみました。

表を作っているうちに自分の考えにだんだん自信がなくなってきます (^^;;

念のため理科年表にある圧力の単位の換算のところを紹介しておきます。

  1 kgf/cm^2 = 98066.5 Pa (“標準のg” 9.80665 m/s^2 を前提としています)
  1 atm = 101325 Pa (標準大気圧)

ここから

  1 kgf/cm^2 = 0.9678 atm(気圧)
  1 atm(気圧) = 1.0332 kgf/cm^2

ということになります。

なお気象庁の技術報告を見たら水圧の単位がbarになっていました。これは年寄りには親しみのある表現で

  1 atm = 1.01325 bar = 1013.25 mbar

です。

一覧を見ると 1 kg/cm^2 = 1 atm(気圧) という誤解・思い込みがあるようです。
どうしてこういう誤解が生まれるかというのは「Wikipedia 重量キログラム」を見るとわかります。

=====>  記事の最初に追記しましたが1 kg/cm^2 = 1 at(工学気圧)というのがあります。以下これを前提に修正してあります。
  

サイト・記事 水深
6500mの
水圧
備考
文部科学省 - どんな?もんか!
ちょっとめんどうですが、一覧から“681”という数字があるコンテンツを探します。

681気圧
(681atm)

工学気圧であれば
681at
(659atm)

681気圧と“約”を付けずに三桁目まで示すというかなりの自信です。

でも681気圧という記述とこれと矛盾する“これは1平方メートルに681トンもの重さがかかるという計算で、指先に軽自動車を乗せるような圧力です。”という681kgf/cm^2であることを示す表現が混在しています。 そもそもこの681トンというのは6810トンの間違いなんですが....

このことを文科省に質問しようと思って内容を再度確認したら「水深6,500メートルであれば水圧681気圧。これはB4サイズの面積に681トンもの重さがかかる」となっていました。見間違いだったのかなあ....

<=== これは私の勘違いじゃありませんでした。
   コンテンツによって書いてあることが違っていました。
続・しんかい6500の受ける(水深6500mの)水圧 - 文部科学省『どんな?文科!』編

ただB4サイズの面積は935.5cm^2です。「B4サイズの面積に681トン」から素直に計算すると水圧は728kgf/cm^2、705気圧(atm)になります。

単に「水深6,500メートルであれば水圧700気圧。これはB4サイズの面積に700トンもの重さがかかる」と書けばいんじゃないでしょうか。

------

ここでいう気圧は標準大気圧(atm)ではなく工学気圧(at)なのかもしれません。

ただ工学気圧はSIとは無関係な単位だと思うのでそういうのを文部科学省が使ってもいいんでしょうか。
よく考えたら(標準)大気圧もSIとは無関係な単位でした。ここは取り消します。

参考
しんかい6500の受ける(水深6500mの)水圧 - 文部科学省『どんな?文科!』編

熊本大学大学院自然科学研究科 - 横瀬久芳 -
水深4000mの世界にようこそ
約680気圧
(約680atm)

工学気圧であれば
約680at
(約658atm)
実際にしんかい6500に搭乗された方なのでひょっとしたら実測値なのかも

これも工学気圧では?
Wikipedia しんかい6500 約68MPa
(約671atm)

これは1 atm あるいは 1 kgf/cm^2を 1000 hPaと換算してしまっているような気がします。
正しくは1 atm = 1013.25 hPaあるいは1 kgf/cm^2 = 980.665 hPa です。
いずれにしても正しい水圧ではなさそうです。

マイナビニュース - もしも科学シリーズ(30):もしも深海で暮らすなら 681kg/cm^2
(659atm)
およそ軽トラック1台が乗るのと同じ力が加わる”という表現がありますがこれは文科省にあるのと同じです。
文科省の表現を引用しながら文科省の説明にある誤解を招きそうな記述を削除したのかも....
海洋研究開発機構 -
有人潜水調査船「しんかい6500」
約680kgf/cm^2
(約658atm)
680kgf/cm^2は658気圧に相当します。
数値自体は文科省などと一致しているのでうっかり1気圧=1kgfとやってしまったような気もしますが.....
--------
と書いてしまったのですが、冒頭に追記したように今はこの680kgf/cm^2(658atm)というのがいちばんそれらしい気がしてきました (^^;;
国際海洋環境情報センター -
有人潜水調査船 しんかい6500
651気圧
(651atm)
これも“約”を付けずに三桁目まで示していますが、タイトルも記事の内容も海洋研究開発機構 のものと同じようなものなのに、なぜか水圧は違っています。
上に書いたように680kgf=651気圧というわけでもありません。
海洋研究開発機構のをコピーしたとき、水圧が間違っていると早とちりして修正してしまったのかも。
AGC旭硝子 - 水圧に耐える 650kg/cm^2
(629atm)
今回見つけた中ではいちばん小さい水圧です。
水圧を6500/10で求め、さらにそれを工学気圧と勘違いしてしまったという二重の勘違いがあるような気がします。
おまけ

よく見かけるもの
651気圧
(651atm)

6500/10+1=651という計算なんだと思いますが、これはおそらく間違っていると思います。

(1) 圧力をかけてもほとんど収縮しないはずの液体でもさすがに何百気圧もの圧力下にあれば少しは収縮し、これが水圧を増す方に働きます。
海水の密度も680気圧ともなると海面に比べ3%ほど増加するようです。

(2) 深層水の塩濃度は表層水の塩濃度より高いようです。仮に(1)の効果がないとしても水圧は651気圧より高いはずです。
こちらはいったん取り消します。深層水の塩濃度の確実な値が確認できていません。

私の試算では表層水から深層水まで塩濃度が一様に20g/kgのとき651気圧になります。実際の海水の塩濃度は表層でさえも35g/kgくらいあるのがふつうです。

なお重力加速度の影響がありますが、これは今議論している精度だとほとんど無視できると思います。

素人のゴミ記事
セッピーナの趣味の天文計算 -
海面下6500mの水圧は658気圧 - Excelで水深と水圧の関係を計算する
657atm
679kg/cm-2


680atm

657気圧:塩濃度が一様に 35g/kgとしたときの水圧積分値。この塩濃度は表層水のものです。水深が大きくなるにつれ海水が圧縮され密度が高くなる効果のみを考慮したものです(この値は(ゲージ圧ではなく)絶対圧です)

この水圧は679kg/cm-2に相当します。
つまり「海洋研究開発機構 - 有人潜水調査船「しんかい6500」」の示す水圧とほぼ一致します。

--------

680気圧:塩濃度が一様に 80g/kgとしたときの水圧積分値。この塩濃度は結果が680気圧になるように仮定したものです。でも深層水の塩濃度はこんなものだと思います。深層水の塩濃度がこれよりちょっと大きいくらいなら、海面から6500mまでちゃんと積分すれば文科省説とよく一致するはずです。
ここは私の勘違いで深層水の塩濃度もそんなに高くはないようです。
となるとどうして6500mで680気圧になるんだろうという疑問が湧いてきます。

詳細は左にリンクした記事をご覧になってください。

  
多数決じゃ決められません (^^;;
もし賭けるんだったら私は680気圧(あるいは681気圧)に乗ります。
もし賭けるんだったら658気圧(680kgf/cm^2)(あるいは659気圧(681kgf/cm^2))に乗ります。

しんかい6500の耐圧殻の真球度にも諸説あります。
  「しんかい6500の耐圧殻の真球度はどれくらい? - 水深6500mの水圧 (4)

ところで耐圧性能にはとうぜんマージンがとってあると思いますがこんなんでだいじょうぶなんでしょうか。

  ==> 想定水圧の2倍以上で試験しているそうです。
       「
三菱重工 - 三菱みなとみらい博物館 - テクノート 海洋

  
===============
  
水深6500mでの水圧を調べて見ると“68(0)”という数値がよく出てきます。ただこれの単位がサイトによってばらばらです。680気圧、680kgf/cm^2、68MPaの三つともあります。

私は最初(深層の海水の塩分が高いと思い込み)680気圧(atm)が正しいと思っていたので以下の記事はそういうスタンスで書いています。 <== 上の記事の内容も修正しました。

ところがさっきおもしろいことに気づきました。塩分が35g/kg、温度が0℃とし“海水の状態方程式”を使って深層の海水の密度、そして水深6500mの水圧を(自分流で)計算した結果は657atmなのですが、これは679kgf/cm^2に相当するのです。
35pmi2

(水深1000mごとの水圧の試算表が「水深と海水の密度・水圧の関係 - 海水の状態方程式」にあります)

ひょっとしたら680kgf/cm^2というのが正しくてこれを1kgf/cm^2=1気圧と考えた結果が680気圧なのではないかとも思えてきました。つまり1気圧が標準大気圧 1atmとは違う意味(=工学気圧 1at)で使われているのではないかということです。

この推理が合っているとしても少なくとも文部科学省は学術的(?)な立場からきちんと

  1 atm(気圧) = 1.0332 kgf/cm^2

として、気圧で表示するなら659気圧としていただきたいものです。

答えをいただけそうなところにメールして確かめてみようと思っています。

なお水深から水圧を求める計算式だけほしい方は

  「水深から水圧を求める計算式(海水編)

へ。

(2015.08.01 16時)

--------------------

関連

  「水深と水圧の関係 - 海面下6500mでの水圧は? (1)
  「海面下6500mの水圧は680気圧 - Excelで水深と水圧の関係を計算する
  「水深6500mの深海の水圧は何気圧? - 専門家でも意見が違う?
  「しんかい6500の耐圧殻の真球度はどれくらい? - 水深6500mの水圧 (4)
  「水深と海水の密度・水圧の関係 - 海水の状態方程式
  「水深から水圧を求める計算式(海水編) - ρghでは計算できない深海用
  「水深と水圧の関係のグラフ(海面~水深12,000m)
  「しんかい6500の受ける(水深6500mの)水圧 - 文部科学省『どんな?文科!』編
  「続・しんかい6500の受ける(水深6500mの)水圧 - 文部科学省『どんな?文科!』編
  「海水の塩濃度(PSU、塩分)、水温と水深の関係

  「測定対象別記事一覧とリンク集
  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)

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