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2015年7月13日 (月)

pn接合温度計 - 自己加熱と熱放散定数を測ってみた

pn接合温度計というのはpn接合の順方向電圧が温度によって変化することを利用した温度計という意味の言葉で勝手に作ってみました。

これも電流を流して電圧を測るわけですから測温抵抗体(白金薄膜抵抗)やサーミスタと同じように自己加熱が起きるはずです。

具体的にどの程度の自己加熱があるのか、そして熱放散定数はどれほどのものか測ってみました。

容器に収めたダイオードを水中に沈め電流を流し始めたときの電圧の変化を調べます。
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611.96mVになったあと次第に電圧が下がります。0.07mVくらいでしょうか。
pn接合の温度係数が-2mV/Kとして温度変化に換算してみます。
_2

電流を流し始めたときから0.04℃くらい上昇しています。
電圧の測定は0.22秒ごとにやっており電流を流し始めるタイミングは測定とは同期していないので、最悪電流を流し始めて0.22秒後に電圧を測ったというケースが考えられます。その場合は電流を流し始めたときはもっと電圧が高かったということになるので0.04℃以上上昇したと考えた方が安全だと思われます。

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別に同じ実験をしたときの結果です。
_2

これは0.05℃くらい上昇しています。ただこちらは一点鎖線で示したようにじょじょに温度が上昇しているときの測定です。その分を差し引くとやっぱり0.04℃くらいになります。

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ここでは0.910mAの電流を流すと0.04℃上昇すると考えてみます。そうすると

    0.910 * 0.622 / 0.04 = 14mW/K

の熱放散定数が得られます。十分に大きい値です(裸のサーミスタは1~1.5mW/K)

この0.910mAというのは測温抵抗体で測定を行うときに流す電流と同じなのですが、測温抵抗体が室温では0.1V強で100μW程度の発熱しかないのに対しpn接合の方は600μW近い発熱があることになります。さすがにちょっと電流の流し過ぎのような気もしますが、測定値の不確かさを小さくするためには電流をある程度流しておいた方が有利と思われるので0.04℃の自己加熱だったらこれでもいいかなという気になっています。
(ちなみにサーミスタは0.05mAで測定しており10μW~75μW程度の発熱です)

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