(pn接合による)水温測定時の対流の影響?
作った温度計のチェックをするとき正確な温度計といっしょに水中に沈め温度を測るということをよくやります。
水は熱容量が大きくそれなりの熱伝導があるので二つの温度計の温度差が小さい安定した状態を作れると思うからです。
これは気温よりちょっと低い温度の水を魔法瓶に入れ、その中でpn接合(ダイオード)に一定の電流を流しながら順方向電圧の変化を記録したものです。
2時間半かかって6mVくらいつまり3℃ほど温度が上がっています。
タイトルに“pn接合による”と入っていますが、以下に記すことはpn接合で測ろうが他の方法で測ろうが同じはずです。ただセンサーのレスポンス(熱時定数)の影響はあると思うので念のため“pn接合による”という断り書きを入れてあります。
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温度は徐々に上がって行くので順方向電圧は少しずつ低下して行きます。グラフには下降するきれいな曲線が描かれています。
ここまでは納得の結果ですが、魔法瓶に気温より少し高い温度の水を入れ同じことをしてみました。この場合今度は上昇するきれいな曲線が得られるはずです。
実際にはこうなりました。
2時間半ほどかかって3mVくらいつまり1.5℃ほど温度が下がっています。
不思議なことに細かな凹凸が見られます。
まったく同じ条件で測ったはずなのにどうしてこうなるのか?
いくら考えても実験の条件は水温以外同じだったはずです。となると温度の下降時と上昇時で違う現象が発生しているとしか思えません。
水温上昇時は魔法瓶の口に近い部分が暖められ上部の水温が上がるはずです。そして熱伝導でじょじょに下部の水温も上がっていくと思われます。
一方水温下降時は魔法瓶の口に近い部分が冷やされて水温が下がるところまでは同じですが、その後低い水温の水は下部より比重が大きくなるため下部に向かって動き出すように思われます。つまり対流が起きるはずです。
上部と下部の温度差はあまり大きくないので対流が起きる起きないは微妙なところがあると思います。けっきょく対流は大きくなったり小さくなったりしながら魔法瓶の内部の温度分布にムラを発生させ、それが上のグラフに現れている。
と考えたんですがどんなものでしょう。
同じ実験を何度か繰り返したり魔法瓶の底に氷を入れたりヒーターを入れたりして逆の状態を作って見たりすれば結論が出るとは思います。
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