アルデバラン食の撮影条件
これから7月12日深夜、10月2日、11月26日とアルデバランの食(掩蔽、いずれも暗縁出現)があります。
写真に撮ってみたいと思われている方も多いと思います。私もそうなのででどんな機材、どんな条件がいいか考えてみました。
いつ食が起きるかはこちらにあります。
「アルデバラン食出現時刻早見地図(全国版、2015年11月26日)」
「アルデバラン食(2015年11月26日)出現時刻&予測図作成用Excel」
「アルデバラン食(2015年10月2日)出現時刻&予測図作成用Excel」
「アルデバラン食予測図北海道版(2015年10月2日、稚内・旭川・根室・札幌・室蘭・函館)」
「アルデバラン食予測図&等出現時刻線図/首都圏版(2015年10月2日、さいたま・千葉・東京・横浜)」
「アルデバラン星食(掩蔽)予測/明日(2015年7月12日深夜)」
「アルデバラン食予測図東北版(2015年7月12日、青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島)」
10月2日の暗縁出現については動画が撮影できました。
「速報・アルデバラン食観測 2015年10月2日」
「アルデバラン食の動画撮影とその分析(2015年10月2日)」
「掩蔽(アルデバラン食)観測の整約結果 - Occultの濡れ衣を晴らす」
参考
「天文はかせ入門(仮) - アルデバラン食:出現(2015.10.2)」
以下いろいろ書いていますがこのときの動画がいちばんわかりやすいかも
(「速報・アルデバラン食観測 2015年10月2日」より)
PENTAX Q7 + NIKON f=180
F2.8 1/30sec ISO6400 ? <=== あわてていてよく確認できていません。
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アルデバランは一等星で東京で見ることのできる数少ない恒星の一つです。つまり明るいです。でも月の明るさにくらべるとおそろしく暗いです。
したがって比較的焦点距離の大きいレンズ、望遠レンズを使った方がいいでしょう。
また動画のように露出時間に制限があるときはそれなりの口径も必要になります。
下の直前直後の写真では月が画角に入りきれないほどの焦点距離のレンズを使っていますが、慣れていない方はこれはやめた方がいいでしょう。潜入の場合は恒星を追っていけるのですが、出現の場合は位置をいくら確認しておいてもファインダーをのぞいているうちにどこから出現するかわからなくなりがちです。
たいていのレンズはゴーストが出ると思うので月のゴーストがアルデバランの出現点にかぶらないように注意します。ゴーストが月の欠けている側と反対側に出るようにしておけば安心です。
写真を撮るときは必ず恒星側で露出をあわせます。月の出直後の撮影になるのでアルデバランは見えませんから他の恒星で露出をあわせることになります。このとき天頂の一等星で露出を合わせたりしないようにします。地平線ぎりぎりの恒星は天頂にあるときに比較し少なくとも3等級分か4等級分くらいは暗くなるようです。
こうすると月はだいたい白飛びしてしまいますが撮影のチャンスは一回限りですから月のクレータもちゃんと写るようにしようとかヘンな色気を出さない方が安全です。
ピントも短時間でできるだけ正確合わせる方法を探して決めておきます。
出現直前
出現直後
これは4等星の出現を撮影した動画から切り出したものです。
f=700mm F8.75 1/30秒 ISO6400
地平線に近いところではアルデバランもこんなものだと思います。月はこれほど明るくはなくなります。
大口径の天体望遠鏡だったら違ってくるのですが、そういうのをお持ちの方は私の記事を読んだりされないと思うので省略します。
星食/掩蔽の写真となると何もないところから出現するところが撮りたくなる=動画ということになると思いますが、動画の場合露出はふつう1/30秒に制限されます(一部これ以上の露出が可能なカメラもあります)から基本的に絞りは開放、ISOは最高値にした方がいいと思います。
特にこれからのアルデバラン食は三つとも超低空での出現になります。分厚い大気による減光があるのでどんなにがんばっても露出不足になることの方が多いと思います。
参考になる写真があります。
街灯の根本にぼんやり見えているのはカノープスです。この写真を撮ったときのカノープスの高度は1.5度(標準の大気差を考慮すれば2.0度弱)です。これは動画から切り出したもので撮影条件はNIKON F2.8 f=180mm + PENTAX Q ISO1600 1/30secです。
これはカメラが特殊(?)でふつうのAPS-Cのカメラに換算すると1000mm F2.8というありえないようなレンズを使っていることになるのですが、高度が低いとシリウスに次ぐ明るさの恒星でもこの程度にしか写りません。
この写真はISOは1600で写しています。たいていのカメラはISO値をこれよりずっと大きな設定にできると思うのでF2.8の望遠レンズがないから撮れないということはありませんので安心してください。
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今日のは間に合いませんが、撮影を目指すのであれば事前に何度かリハーサルをしておいた方がいいと思います。地平線近くの月や一等星を撮影してみるとか、天頂でも比較的暗めの恒星を動画で撮ってみるとかやっておくとだいたい感覚がつかめてくると思います。
特にどういう設定だと月と恒星を同時に写せるかということをチェックしておくことが大事です。
それから動画とスチールを切り替えて使うような場合カメラの設定が意図したものと異なってしまうことが多いです。これはチェックシートを用意して撮影直前に設定をぜんぶチェックするくらいやった方が安全です。何度も失敗した人間がいうので間違いないです (^^;;
なお掩蔽観測、つまり出現の時刻を正確に知るということについては
「「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集」
にリンクしてある記事を参考にしていただければと思います。
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「アルデバラン食の撮影条件」 (この記事)
「アルデバラン食出現時刻早見地図(全国版、2015年11月26日)」
「アルデバラン食(2015年11月26日)出現時刻&予測図作成用Excel」
「アルデバラン食(2015年10月2日)出現時刻&予測図作成用Excel」
「アルデバラン食予測図北海道版(2015年10月2日、稚内・旭川・根室・札幌・室蘭・函館)」
「アルデバラン食予測図&等出現時刻線図/首都圏版(2015年10月2日、さいたま・千葉・東京・横浜)」
「速報・アルデバラン食 2015年10月2日」
「アルデバラン食の動画撮影と出現時刻の分析(R692掩蔽 2015年10月2日)」
「掩蔽(アルデバラン食)観測の整約結果 - Occultの濡れ衣を晴らす」
「アルデバラン星食(掩蔽)予測/明日(2015年7月12日深夜)」
「アルデバラン食予測図東北版(2015年7月12日、青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島)」
「アルデバラン食予測図北海道版(2015年7月12日、稚内・旭川・根室・札幌・室蘭・函館)」
恒星の位置計算については
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
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立て続けのこの記事は・・・
東の低いところまで開けた場所を確保されたということでしょうか。
それとも遠征でしょうか。
九十九里など太平洋側まで行くのであれば都内からなら近いですよね^^
投稿: ほよほよ | 2015年7月12日 (日) 16時52分
東北東が開けた場所は確保はできていないのですが見つけました。
通報・クレームの可能性を検討中です (^^;;
たまにはブログの趣旨に沿った記事も書こうかと量産中です (^^)
投稿: セッピーナ | 2015年7月12日 (日) 18時01分