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2015年8月 2日 (日)

水深から水圧を求める計算式(海水編) - ρghでは計算できない深海用

任意の水深での水圧を計算できますが、この計算式を使う意味が出てくるのは水深が1,000mを超えてからです。ρghつまり“水圧は水深に比例して増える”という考え方だと水深2,000mで1気圧くらいの誤差が出てきますのでそういうときに使います。

これは近似式ですがちゃんと計算したものと比較してもそれなりの精度があります。
水温0℃、塩分(PSU) 35と仮定しています。つまり深海用という位置付けですが水深100mや200mでも実用的にはなんら問題ない結果が得られます。

使う前に下記注2は必ず読んでください。

水深 d(m) から水圧 P(atm) を求めます。

  P = ( 1029.1 * d + 0.0022 * d^2 )*9.80665/101325 + 1

水圧を kgf/cm^2 (または工業気圧(at))で求めたければ

  P = (( 1029.1 * d + 0.0022 * d^2 ) + 101325/9.80665 ) / 10000

とします。

--------

計算例

  水深 d=6500(m)

  P = 657(atm)  ( 657気圧 )
  P = 779(kgf/cm^2) (779工業気圧)


海洋研究開発機構 - 有人潜水調査船「しんかい6500」」によれば水深6500mでの水圧は約780(kgf/cm^2)だそうです。これを気圧で表すと約658気圧ですから、上の計算でだいたいあっています(下記注2参照)


注1

近似式でなく水圧を計算したい場合は海水の温度分布と塩濃度分布を入手(あるいは仮定)した上で

  「
海面下6500mの水圧は658気圧? - Excelで水深と水圧の関係を計算する

にあるExcelシートを使ってください。

注2

Wikipediaにある式

    ρgh

は水深が小さい(だいたい水深1000m以下)ときにだけ使える式です。


この記事にある式は海洋研究開発機構の水深6500mでのデータと突き合わせていますが、水深6,500mでの水圧については諸説あります。

  「
水深6500mの深海の水圧は何気圧? - 専門家でも意見が分かれる水圧

今後より信頼できると思われる水圧値がわかった場合は計算のモデル、計算式の係数をそれに合わせて変更するつもりです。

  

========

なぜ上の式で水圧を求めることができるかを簡単に説明します。

水圧は測定しようと思う地点の単位面積の上にある水(海水)の重さの合計です(+その上にある大気の重さ)

数式で書けば

  P = ∫ρ(x)gdx  ( x=0, h ) ρ:海水の密度、g:重力加速度

となります(gもxの関数ですが、そこまで考えたからと言って正確に水圧が求まるというものでもありません。つまりgをxの関数と考える前にやるべきことがたくさんあります)

したがってρ(x)の形がわかれば水圧を計算することができます。ρ(x)は水温、塩分、圧力(水圧)によってきまりその計算法もあるのですがとても複雑です。
(「水深と海水の密度・水圧の関係 - 海水の状態方程式」参照)

試しにρ(x)を計算してどういう形になるか調べてみます。
Photo

青い線はその海水が海面にあると仮定したときの密度です。今は水温0℃、塩分(PSU) 35と仮定していますのでとうぜん一定の値になります。
論文や一般向け資料で水深に対する海水密度のグラフがありますが、それが青い線に相当します。そういうグラフを見ると深海では(上のグラフと同じように)だいたい1028(kg/m^3) くらいの海水密度になっていると思います。

赤い線はその水深にあるときの実際の密度です(“現場密度”としましたが“現場水温”という言葉から連想したこの記事だけでの表現で一般的な言葉ではありません)
海水も圧力をかければ収縮し密度が上がります。とうぜん水深が大きいほど=水圧が高いほど海水は収縮し密度は高くなります。

さてこの赤い線を見るとほとんど直線に見えます。

つまり

  P = ∫ρ(x)gdx  ( x=0, h )

の式は

  P = ∫(ax + b) gdx  ( x=0, h )

となり、簡単に積分できて

  P = ax^2/2 + bx + c

となります。

グラフから具体的なaとbの値を求め海面で水圧=大気圧になるようにcを決めた結果が記事の最初に書いた式です。

--------

関連

  「水深と水圧の関係 - 海面下6500mでの水圧は? (1)
  「海面下6500mの水圧は658気圧 - Excelで水深と水圧の関係を計算する
  「水深6500mの深海の水圧は何気圧? - 専門家でも意見が違う?
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  「海水の塩濃度(PSU、塩分)、水温と水深の関係」 (この記事)

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