ケーターの可逆振り子の実験例 - 重力加速度を測る
重力加速度を比較的正確に測る方法としてケーターの可逆振り子があります。
「ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る」に書いたようにネットで探せば詳細な実験手順を示したものもあるのですがそれらは学生実験のためのものでそれなりの実験装置を使ったものです。
アマチュアができるだけ簡単に実験するにはどうしたらいいかということについて書いてみたいと思います。ここで紹介する方法はさほど精度の高いものではありませんが、どういう風に実験するかはわかっていただけると思います。工夫すれば精度はもっと上げることができます。
実験装置(?)はこんな簡単なものです。
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上の装置はこの図のように使います。
おもりの数が上の写真と違いますがこれは支点の位置を調整したためです。以下の説明はこちらの図の方によっています。
ケーターの可逆振り子ですから支点が二つ必要です。ここでは金属プレートに開いた穴を利用しナイフエッジで支点を作っています。また二つの支点での周期がほぼ一致するように錘を付けます。
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錘はX、Yの二種類を用意します(実際にはXにナットを一個追加するとYになります)
錘Xを使ったときはAを支点にしたときの方がBを支点にしたときよりわずかに振り子の周期が長く、錘Yを使ったときはBを支点にしたときの周期がAを支点にしたときよりわずかに長くなるように調整してあります。
じつは、そのために支点をどこにするか、どの程度の重さの錘をつけるのか決めるのが難しいです。これについては
「ケーターの可逆振り子の設計法 - 重力加速度を測る」
を参考にしていただければと思います。。
錘をX、YそれぞれについてAを支点としたきの周期、Bを支点としたときの周期を測ります。周期はストップウォッチで測っても十分なのですが、今回の実験ではフォトインタラプタを使って発生する信号をヴォイスレコーダーに記録し、音声処理ソフトで信号の間隔を読み取るという方法を採りました。これはちかぢかPICで測定結果を記録方法に変えたいと思っています。
測定結果
ケーターの可逆振り子は支点間の距離と二つの支点での周期が一致したとき周期が必要です。これは錘を調整すればいいのですが、めんどうなので上の結果から一致したときの周期を補間して求めます。
錘をYよりちょっと軽くすると周期が一致するようです。そのときの周期は0.9171秒と予想されます。
周期 T=0.9171秒 と支点間の距離 L=0.2334m から重力加速度を求めることができます。
重力加速度= L / ( T / 2π )^2
結果は以下のようになりました。
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関連
「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
重力加速度測定
「ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る」
「ケーターの可逆振り子の間違った作り方 - 重力加速度の測定」
「ケーターの可逆振り子の実験例 - 重力加速度を測る」 (この記事)
「ケーターの可逆振り子の設計法 - 重力加速度を測る」
「重力加速度測定装置 - プロトタイプ」
時刻・時間測定
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