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2015年9月13日 (日)

ケーターの可逆振り子の設計法 - 重力加速度を測る

ケーターの可逆振り子に関する説明はネットでも探せばいくつか見つかります。ただそれらはだいたい

  “ケーターの可逆振り子の原理”

あるいは

  “ケーターの可逆振り子で重力加速度を測る実験方法”

のいずれかのようです。「ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る」にいくつか“参考文献”的なものを紹介しましたが、上の二つについては例えば「東京大学 久我隆弘教授 - ケーターの可逆振り子(重力加速度測定)」が参考になると思います。以下の内容もこれを参考にしながら書いています。

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さて、アマチュアが実験しようとするとまず

  “ケーターの可逆振り子の作り方”

が必要になるわけですが、私が探した範囲ではそういうものが見つかりませんでした。

そこでごくごく簡単に私が“おもちゃのケーターの振り子”を作ったときのやり方を紹介しておきます。

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ケーターの可逆振り子はこういう構造になっているようです。

1_2

ここでは実際に作ったものに合わせて金属プレートみたいなものを使っているとして説明をして行きます。どんなもので作っても以下の考え方は使えます。
“どんなもの”と言ってもあんまりヘンな形のものは使わない方が無難です。最低限左右対称になるように作った方がいいと思います。そうしないと「ケーターの可逆振り子の間違った作り方 - 重力加速度の測定」みたいなことで悩んだりすることになります。
また棒あるいはプレートは太さ・幅が一様なものがお勧めです。そうしないと慣性モーメントの計算がややこしくなります。どんな形でもちゃんと計算できると言う方には余計なおせっかいですが....

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上の図のように二つの支点がある棒があって二つの支点の間に軽いおもり、支点の外側に重いおもりというのがよく見かけるケーターの振り子の構造です。

まず、なぜこのような構造にするかを説明しなければならないのですが、それは省略します。要するに私がよく理解できていないからです。振り子は周期が長い方が正確な測定ができるようです。だから短い棒で周期をできるだけ長くするためだとは思うのですが....

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ケーターの振り子では二つの支点で測ったそれぞれの振り子の周期が一致したとき

  振り子の周期 T0 = 2*pi()*sqrt(L/g)

     ここで g は重力加速度、L=p2-p1 は二つの支点間の距離

が成り立つので、振り子の周期と支点間の距離から重力加速度を求めることができます。

実際に二つの支点での周期が完全に一致するようにすることはめんどうなのでだいたい一致するようにしておいておもりの位置などの微調整を行い補間によって一致したときの周期(と支点間距離)を求めることになります。

したがって“ケーターの振り子の設計”というのは支点やおもりの位置、おもりの重さをどういう値に設定しておけば振り子の周期がだいたい一致するか、を調べておくことと、どのパラメータをどう変化させれば周期を微調整できるかを検討しておくことを意味することになります。

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それぞれの支点での振り子の周期は次式で表されます。

  1を支点としたときの周期
    T1 = 2*pi()*sqrt((IG/Ms)+h1^2)/g/h1)

  2を支点としたときの周期
    T2 = 2*pi()*sqrt((IG/Ms)+h2^2)/g/h2)

    ここでMsは振り子の全重量 、IGは重心を通る水平軸のまわりの慣性モーメント、
    h1=G-p1、h2=p2-G は振り子の重心からの支点1、2までの距離です。

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おもりの位置を変化させて調整するときは全重量Msは変化しないのですが、IGもh1もh2も変化することになりますのでこれらの式だけながめていてもどう調整すればいいかなんてさっぱり見当がつきません。私みたいにおもりの重さを変化させて調整しようとするとさらにMも変化することになります。

そこで、ここでアマチュア的奥の手を使います。

まず棒・プレートの長さ、支点の位置、おもりの重さなどを適当に決めてT1、T2を計算できるようなExcelのシートを作ります。

そして例えばおもりの位置を変化させるセルにし (T1-T2)^2 が最小(ゼロ)になるという条件でソルバーを実行します。得られた結果が実際に作れるようなものであればそれでOKです。“実際に作れるようなもの”でないものとしてはおもりの位置が棒(プレート)の外側になったりするケースがあります。そういうときは条件を変えて(例えばおもりの重さを変えて)再度実行します。

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実際に計算シートを作るとき必要なものとして全重量、重心の位置、慣性モーメントがあります。全重量は重さの合計ですから問題ないとして、重心の位置、慣性モーメントは厳密にやろうとすると面積分が必要になります。腕に自信がある方はそうしてもいいと思いますが、実用的には棒あるいはプレートも大きさがないとして(太さや幅がゼロとして)考えてもそう問題にはならないようです。

要するに最終的には実際に測定した振り子の周期と支点間の距離のみから重力加速度を求めるので重心の位置や慣性モーメントの計算が間違っていても実験結果には影響はありません。ただし「ケーターの可逆振り子の間違った作り方 - 重力加速度の測定」に書いたように二つの支点を結ぶ直線上に重心がないのは致命的ですから注意します。

実験で求めた重力加速度から計算した重心の位置や慣性モーメントの妥当性をチェックすることも可能です。

補足

重心と慣性モーメントの求め方(単位長さあたりの重量が一様である棒・プレートを使った場合)

  全重量 Ms = M+m1+m2

  重心の位置 G = (M*l/2+m1*rm1+m2*rm2)/(M+m1+m2)

  慣性モーメント IG ≒ M/l * (G^3+(l-G)^3)/3 + m1*(rm1-G)^2 + m2 * (rm2-G)^2

2_3

上記の計算例はおおむね

  「ケーターの可逆振り子の実験例 - 重力加速度を測る

に相当するものです。

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関連

  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算

    重力加速度測定
    「ケーターの可逆振り子の作り方 - 1 - 重力加速度を測る
    「ケーターの可逆振り子の間違った作り方 - 重力加速度の測定
    「ケーターの可逆振り子の実験例 - 重力加速度を測る
    「ケーターの可逆振り子の設計法 - 重力加速度を測る」 (この記事)

    「重力加速度測定装置 - プロトタイプ

    時刻・時間測定
    「時刻標準について

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