小惑星2015 TB145の写真を撮る
小惑星 2015 TB145 は地球に近づくからニュースになるわけですが、いくら近づくと言ってもそこは小惑星ですからそんなに明るくなるわけではありません。もっとも明るくなる11月1日午前0時でも「(NASA JPL) Horizons Web Interface 」の予測では APmag=10.03 とおそろしく暗いです。
この光度等級だと見つけるだけでもたいへんです。まして「2015 TB145と2012 DA14を比較する - 小惑星の地球接近」に書いたように移動も早いし月明りもあるのでそう簡単に撮れそうもなく私は悲観的なのですが、ぜったいにムリということはないと思います。
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“ムリ”に近かったのですが、痕跡(?)はとらえました。
「小惑星2015 TB145観測結果速報 - 撮影した写真の中からなんとか検出!」
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これまで撮った写真を探したらこの2015 TB145の予測光度等級くらいの小惑星でも写すことができることを示す写真が見つかりましたので紹介します。
なおどちらにレンズを向ければいいかは時刻ごとの位置予測図の概要版・詳細版の一覧は
「小惑星2015 TB145の位置予測のまとめ」
を用意しましたのでそちらをご覧ください。月との離角や地域による見え方の差、小惑星の位置データの取得方法もあります。
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小惑星エレオノーラ(354 Eleonora)の写真です(「小惑星エレオノーラ(354 Eleonora)」より)
(赤経・赤緯は画像から推定した視位置(Apparent)です)
このときのエレオノーラを「(NASA JPL) Horizons Web Interface 」で調べると APmag=10.63 でした。つまり予測されている 2015 TB145 より暗かったことになります。
機材や露出に関する撮影条件は画像にありますのでそれ以外の状況を書いておきます。
撮影地
東京の有数の繁華街から数㎞離れたところです。つまり空は明るいです。
方位角/高度
159度/58度でした。高度があるので有利な条件ですが2015 TB145も撮影対象にできるときの高度は40度くらいあります。
月(「国立天文台 - 暦計算室 - こよみの計算 」によります)
方位角281度、高度15度で月齢11.7
2015 TB145のときより条件はいいのですが、月齢11.7ですのでそんなに暗いわけでもありません。そもそも東京じゃ月が出てような出てなかろうが空の明るさはたいして変わらないと思います (^^;;
月が出ていると星が見えないのは確かですが、あれは月の明るさで瞳がしぼんでしまうからでしょう。つまり写真を撮る分には月の明るさは(東京では)あんまり関係ないような気がします。
<=== ここは勘違いがありました。当日は月がかなり近くにあります。
上の写真を撮ったときよりかなり厳しいです。
小惑星の光度等級の低下と月の影響のトレードオフになりそうです。
結論
でもあきらめるのははやすぎる
補足
確信が持てないのですが APmag=11.45 というのもあります。
「小惑星ダビダ (511 Davida)」
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他の(位置)予測記事
「スペースデブリWT1190Fの最後の一日 - HORIZONSによる位置予測」
「はやぶさ2のスイングバイを東京で見たら - 位置予測の試み」
「アルデバラン食出現時刻早見地図(全国版、2015年11月26日)」
「小惑星2015 TB145の位置予測のまとめ」 (2015年10月31日)
「ラブジョイ彗星の位置予測と見つけ方のまとめ - 2015年1月~2月」
関連
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
「過去記事の一覧(天文計算、測定、電子工作)」
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