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2015年10月15日 (木)

年周光行差の観測方法を考えてみた

年周光行差は年周視差よりずっと大きいが意外と観測するのがむずかしそうということを「じつは年周視差よりむずかしそうな年周光行差の観測」に書きました。今回は具体的な観測方法を考えてみます。

年周光行差は黄道に恒星があれば直線往復運動、極に恒星があれば円運動、どちらでもない場合は楕円運動をしているように見えます。

年周光行差の検出方法としては二つ考えられます。

一つは黄径(赤経)方向の動きを検出する方法です。これは例えば南中時刻の変化を観測します。この方法のいちばんの問題点は正確な時計が必要なことでしょうか。だから正確な時計が(おそらく)存在しなかったブラッドリーの時代はこの方法は使っていません。

もう一つは黄緯(赤緯)方向の動きを検出する方法です。これは例えば南中したときの高度の変化を観測します。この方法は時計は不要ですが、大気差の影響を受けるのが問題です。ブラッドリーはこの方法を使ったようですが、大気差の影響を受けにくい天頂付近を通過する恒星を対象としています。

現代のアマチュアにとってもどちらもたいへんそうですが、しいて言えば前者の方が現実味がありそうです。

どちらの方法も望遠鏡を一定の方向に向けることが要求されるのですが、南中時刻の変化を観測する方法は大気差の影響を受ける地平近くの恒星でも構わないので地上の構造物との位置関係を利用できるからです。

なお南中時刻と書いていますが、要は同じ位置に来る時刻ということです。ただ真南から離れると大気差が赤経(黄径)に影響するということになります(たぶんたいした影響はないと思いますがちゃんと計算していません)

以下一次近似くらいの話です。検討すべき課題は他にもいろいろあります。

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年周光行差が観測できたとしたらどのくらいの動きになるのか検討してみました。
レンズはf=180mm、カメラはPENTAX Q7という前提です。レンズの焦点距離が短いようですが、APS-Cのカメラに600mmくらいのレンズを付けたのに相当します。
カノープスが明け方に見える頃と夕暮れに見える頃ではこのくらい違うはずです。
Imgp020421902310
2015年10月14日の南中直後に撮影したものを使っています。動画から切り出すと地上の状況がはっきりしない(暗いし、ゆらゆらしている)ので、動画から256フレームを取り出してスタックして作った画像と合成してあります。

ナトリウムランプの右下に見える恒星の左右の動きはカノープスの4秒間の位置変化です。年周光行差は最大この程度の振幅になるはずです。カノープスは春分点と直交する方向にあるのでだいたいこういう水平方向の動き(プラス上下方向の動きの楕円)になるはずです。

このくらいならなんとかなりそうですが、いろいろ課題はあります。

まずカメラを正確に同じ位置に置く必要があります。これは基準となる構造物との距離に依存します。上の写真では500mくらいしか離れていないので10㎝もずれると何を測っているかわからなくなります。1㎝でも厳しくて500mだとカメラの位置のずれは数mm以下に押さえる必要があります。基準となる構造物にもそれと同じ“安定性”が要求されます。

このあたりの事情は「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 右目と左目、見てるもの結構違うんですね 」が参考になるかもしれません。

遠くにある送電線の鉄塔がたまたまカノープスの通り道にある、なんて状況が最高ですが....

もう一つは撮影する時刻の精度です。こちらは0.1秒程度の精度が要求されます。今のところGPS/1PPSやタイムインサーターで正確な時刻を測定できるようにして動画で撮影するという手段しか思いつきません。

やり方としては同じ位置に来る時刻を測定するというのが単純だと思いますが、実際にやってみたらある位置に来る時刻を精度よく測るというのはなかなか難しいです。
同じ時刻((視)恒星時)に写真を撮るという考え方の方が楽そうです。

恒星時は「国立天文台 暦計算室 暦象年表」で調べることができます。「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」あたりにあるリンクを参考に計算していただいてもかまいませんが。
そういえば恒星時からUTC・JSTを計算する式を作っていなかったような....

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ところでカノープスは上に書いたように春分点から90度ちょっと離れたところにあり赤緯(黄緯)もけっこう大きい(=極に近い)の南中時では上下方向の動きも大きいはずです。三か月で最大上の画像の振幅の1/4くらいの動きはあるはずです。

上の画像と「ノープスが2回南中する日 」頃の画像と比べると動きがわかるかもしれないと思って探したのですが、比較できるような画像・動画が見つけられませんでした。

もっとも上下に動いていることを示しても、それ大気差じゃないの?、で済まされそうであんまり説得力はないと思います。

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  「じつは年周視差よりむずかしそうな年周光行差の観測
  「年周光行差の観測方法を考えてみた」 (この記事)
  「カノープス

  「固有運動・年周視差・歳差、その大きさの違い
  「固有運動や年周視差はアマチュアには無縁なものなのか?

  「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで

  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)
  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)

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