掩蔽(アルデバラン食)観測の整約結果 - Occultの濡れ衣を晴らす
Occultに濡れ衣を着せたのは私なのでマッチポンプ的ですが.....
Occult開発者の皆さん、利用者の皆さん、ほんとうにすみませんでした m(._.)m
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いつもなら動画の分析が終わって潜入あるいは出現時刻がわかったらすぐに整約を行っていたのですが、今回は手間取ってしまいました。
“最初の結果”に基づく整約結果(クリックで拡大)
赤い枠で囲んであるところの最後のデータNo.15がアルデバラン(R692)食です。最近の傾向として O-Cの値がかなり大きくなっています。
赤い枠のところにある他のデータと同じく、きっとOccultがうるう秒を考慮していなかったせいに違いない、1秒プラスして整約してしまえ、と思ったのですが、この結果を見ていると不思議なことがあります。
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まず緑の枠で囲んだ11月15日R1519の暗縁出現です。赤枠のデータほどではありませんが、けっこうO-Cが大きいです。調べてみるとこれもだいたい1秒に相当します。7月1日以前のことですからとうぜんうるう秒の影響が出るわけがありません。
次に青枠のところのデータです。これは
「天文はかせ入門(仮) - アルデバラン食:出現(2015.10.2)」
からいただいたデータです。ちなみに「アルデバラン食の動画撮影と出現時刻の分析(R692掩蔽 2015年10月2日)」のコメントにあるように
2地点の観測結果を併せて、月までの距離と月の直径を推定できないか試してみようと思っています。
とのことで、若い人たちがこういうのに取り組まれているというのは心強いです (^^)
さてこのデータなのですがO-Cが0.00になっています。東京ではうるう秒の影響があって宮城ではない、なんてことはないはずです。
つまり、Occultうるう秒を考慮していない、というのは私の邪推だったことになります。
では何が原因か?というのは
「掩蔽(星食)観測用GPS/1PPS発光器の仕様とバグ」
に書いたとおりです(GPS受信モジュールの差し替えは昨年の11月でした。今でも切り替えて使うことができます)
これで安心して観測結果に1秒プラスすることができます(というかこれまで正しいと思っていた時刻にプラス1秒したものが正しい観測結果です)
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修正データ(つまり正しいデータ)での制約結果です。
11月15日のときからなんでこんなに違うんだろうと自信をなくしかけていたのですが、これだと胸を張ってJCLOに提出できる結果です。四つとも“0.01”なのは単なる偶然です。
アルデバラン食の”Event against Profile”図です。
せっかくですので「天文はかせ入門(仮) - アルデバラン食:出現(2015.10.2)」のデータからも作ってみました。
東京と宮城ですからとうぜん出現の位置も月縁の形も違っています。
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掩蔽の予測と観測全般については
『「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集』
「アルデバラン食の撮影条件」
「アルデバラン食(2015年10月2日)出現時刻&予測図作成用Excel」
「アルデバラン食予測図北海道版(2015年10月2日、稚内・旭川・根室・札幌・室蘭・函館)」
「アルデバラン食予測図&等出現時刻線図/首都圏版(2015年10月2日、さいたま・千葉・東京・横浜)」
「アルデバラン食(10月2日)出現予測時刻早見地図(首都圏版)」
「速報・アルデバラン食 2015年10月2日」
「アルデバラン食の動画撮影と出現時刻の分析(R692掩蔽 2015年10月2日)」
「掩蔽(アルデバラン食)観測の整約結果 - Occultの濡れ衣を晴らす」 (この記事)
「アルデバラン食出現時刻早見地図(全国版、2015年11月26日)」
「アルデバラン食(2015年11月26日)出現時刻&予測図作成用Excel」
「アルデバラン星食(掩蔽)予測/明日(2015年7月12日深夜)」
「アルデバラン食予測図東北版(2015年7月12日、青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島)」
「アルデバラン食予測図北海道版(2015年7月12日、稚内・旭川・根室・札幌・室蘭・函館)」
恒星の位置計算については
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
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コメント
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東京と宮城で、アルデバランの出現する月縁が異なるというのが当然とはいえ新鮮でした。
GPSモジュールの差異で1秒加算されるタイミングが異なり、発光パターンがずれたということでよいのでしょうか。解決されてよかったですね^^。
整約結果の精度もバッチリですね。
投稿: ほよほよ | 2015年10月 4日 (日) 19時05分
今週末は遠征だったんでしょうか。記事、期待しています (^^)
東京と宮城の出現位置を比べるといかに掩蔽予測が難しいかわかりますよね (^^;;
1秒加算されるタイミングが違う、というより、GE-612Tは加算されるタイミングより前にメッセージを出し、GM-5157Aは加算されるタイミングより後でメッセージを出している、ということでしょうか。
もうCが体に染みついてしまってアセンブラのソースを追う気力がありません。
整約結果が良好というのを、いい観測ができた、ととるかそれとも、結果は観測する前からわかっていた、ととるか難しいですね。掩蔽観測の意義に疑問を感じるのはこの点ですね。
潜入・出現の緊張感に中毒してますから掩蔽観測をやめるつもりはありませんが...
投稿: セッピーナ | 2015年10月 4日 (日) 20時13分
データを観測いただき、ありがとうございます。
月縁のグラフの上に、点がぴったり乗っている様は快感ですね。
地形の振幅は5秒角くらいですが、出現時刻への影響はどのくらいになるのでしょう?
投稿: snct-astro | 2015年10月 4日 (日) 22時18分
はい、これだけあっていると気持ちがいいですね (^^)
地形の凹凸とそれが出現時刻に与える影響はケースバイケースなのですが、今回の掩蔽を名取市で観測したケースについては
月縁の凹凸が掩蔽(星食、出現/潜入)時刻に与える影響
http://seppina.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-d2b3.html
に記事にしましたので参考にしていただければと思います。
投稿: セッピーナ | 2015年10月 5日 (月) 07時53分