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2015年10月13日 (火)

月の視半径を正確に測る方法 - クレータの位置関係を利用する

掩蔽(星食)の観測結果から月までの距離と月の直径を求める方法を考えてみた」では観測された掩蔽(潜入あるいは出現)の時刻から月までの距離と月の直径を求めるにはどうしたらいいかを考えました(考えただけで実際に計算したわけではないです)

一方仙台高専天文部(「天文はかせ入門(仮)」)さんは上の記事にいただいたコメントによれば出現時刻、月の視半径、出現した月縁のカスプ角の差から求めようとされているとのことです。この方法は潜入出現時刻だけから求めるより若干精度が落ちると思われますが必要な観測の数が少なくてすむという大きなメリットがあります)

この話を聞いて月の視半径はどうしたら正確に求めることができるかを考えてみました。今回は考えるだけではなく実際に求めてみました。

どういう手法かというと写真に写ったクレータの位置関係を利用するという回りくどい方法です。回りくどいのですが、じつはすでに作っているExcelのシートをそのまま利用できるので新たにしなければならないことはほとんどありませんでした (^^;;

この方法には月の全体が写っていなくても視半径を求めることができるという特長があります。
もっともほんの一部しか写っていない写真からどれだけ正確な視半径が求められるかはやってみないとわかりませんが。

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今、月までの距離や直径はわからないという前提ですが、クレータの月面上の正確な位置(月面緯度、経度)は月までの距離や直径がわからなくても測定することができますからクレータの位置関係を使うというのは“反則技”ではないと思います(限りなく反則技に近い気もしますが)

今回使ったアルデバラン食の出現直後の写真
Imgp0080el800

いつもなら80mm f=700mmのレンズを使うのですが、今回は移動しての撮影でアルデバランということもあり f=180mm F2.8のレンズなので(高度が低いこともあり)ちょっとしょぼいです。PENTAX Q7なのでそれなりに頑張っているのですが....
なおアルデバランは写っているのですが、画像処理はしていないので見えません。

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結論を先に書いておくと上の写真で Aristarchus, Plato(「プラトン」か「プラトー」か?), Plinius, Pytheas, Tycho の5つのクレーターを使った測定では 964arcsec という結果が得られています。

暦象年表によれば出現時(21時17分)の視半径は 960.11arcsec なので0.4%ほど大きめの結果になっていることになります。

使ったクレータの直径が大きいと位置を正確に読み取ることができません。余裕があったらもっと小さいクレータを使ってより正確な(正確になるはずの)測定をしてみたいと思っています。

なお暦象年表にある視半径は地心からのもので写真から測定した視半径はとうぜん東京からのものなので厳密には異なります。この差が問題にできるほど正確に測定できればいいのですが。

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東京から見た視半径は掩蔽予測のシートで計算しており、確認したところ961.9arcsecでした。つまり今回の結果は実際の視半径とは2arcsecしか異なっておらずかなりいい線を行っていることがわかったのですが.....

さらにクレータの数を増やして精度の高い計算をやったつもりの結果は 958arcsecとなりました。この写真の画質ではこんなものだろうと自分を慰めています (^^;;



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レンズの焦点距離やセンサーのサイズ・ピクセル数のわかったカメラで任意の月面緯度、経度にあるクレータが撮影した写真のどの位置に写っているかは次のパラメータで決まります。

  月の視半径
  地球から見た月の自転軸の向き
  地球からから見た月面の中点Xsの月面緯度および月面経度
  観測地の緯度・経度・標高
  カメラの傾き(ピッチ、ヨー、ロール)

これだけ見るとずいぶんパラメータがあるように見えますが独立でないものを除くと実際には次の6個です。

  月の視半径
  写真の中の月の自転軸の向き
  観測地から見た月面の中点Xsの月面緯度および月面経度
  カメラの傾き(ピッチ、ヨー)

つまり月面経緯度のわかっているクレータ3個の画像上の位置を読み取ればそこから上の値が求まります。そしてその中には今必要としている月の視半径もあります。

なお“レンズの焦点距離やセンサーのサイズ”は精度の高い測定だとカタログ値(仕様値)では不十分で実測する必要があります。焦点距離やセンサーサイズを高い精度で測定することは難しいのですが、実際に必要なのは“ピクセル数で表した焦点距離”でありこれは星野写真を撮れば比較的簡単に調べることができます。

さてどうやって計算したかなんですが、だいたいのところはすでに記事にしています。

  「クレーター名入り月面写真を作る - 座標回転の応用例
    「ダウンロード IMGP3788-Bullialdus.xls (127.0K)
  「月の座標原点と経度緯度が0度の地点
  「プラトンとその周辺 - 月のクレーター
  「ブッリアルドゥスとその周辺 - 月面のクレーター
  「月の秤動と月の自転軸
  「ケプラーとその従属クレーター - クレータ名入り月面写真
  「直径10km以上の全クレータ名入り月面写真
  「月の視半径を正確に測る方法 - クレータの位置関係を利用する」 (この記事)

ただIAUの全クレーターデータ入りのExcelファイルをアップロードしてなかったような...
確認してなかったらダウンロードできるようにしたいと思います。

こんな結果が得られるのですが、13行目は新たに追加したところです。
Photo

これまで写真にクレーター名を入れるのが目的だったので月までの距離とか月の半径はどうでもよくて、“月の半径を2000㎞と仮定したときの月までの距離を求める”という方針でやってきました。

これから月の視半径は

  = atan2(月の半径を仮定して得られた月までの距離, 仮定した月の半径)

で求めることができます。これを追加したのが13行目です。

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解析結果を写真に追加したもの
Imgp0080cratorname

この画像で気になるのは北極(N)が月縁よりちょっと外側にあることです。月の視半径を実際よりちょっと大きく見積もっているようです。

ということは位置が正確に読み取りやすい小さなクレータのデータを使えばもう少し精度を上げられそうです。

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  『「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集

  「アルデバラン食(2015年10月2日)出現時刻&予測図作成用Excel
    「速報・アルデバラン食 2015年10月2日
    「アルデバラン食の動画撮影とその分析(2015年10月2日)
    「掩蔽(アルデバラン食)観測の整約結果

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