スペースデブリWT1190Fはいっかくじゅう座から降ってくる! - 大気圏突入の日の位置予測図
デブリというと周回軌道からじょじょに高度を下げて大気圏に突入するものかと思っていたのですが、そうではないものもあるようです。
「スペースデブリWT1190Fの最後の一日 - HORIZONSによる位置予測」に書いたようにWT1190Fは見た目は静止衛星のように見えます。
「(NASA JPL) Horizons Web Interface 」から位置予測を取得し(11月)13日の金曜日の大気圏突入の日とその前日の動きを星図にプロットしてみました。
恒星の位置はヒッパルコス星表、WT1190Fの位置は「(NASA JPL) Horizons Web Interface 」によります。
星図はAPS-Cのカメラに35mmのレンズをつけて撮った写真と同じ画角を示しています。午前3時の東京での天頂が上になるように作りました。
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赤いマークは大気圏突入18時間前から10時間前くらいまでの8時間の動きを示しているのですが、まったくと言っていいほど動いていません。
場所は“シリウス=リゲルの間”というのの次くらいにわかりやすい“プロキオン=ベテルギルスの間”です。
ぜんぜん動いてないように見えても地球(東京)から見てそう見えるだけでじつはすごいスピードで動いています。午後21時には地球(地心)から180,000kmくらい離れたところにあるのですが、午前5時には120,000kmまでせまってきます。
見た目は静止衛星ですが、実際は静止流星のようなものです。
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こういうのを見ると最初に考えるのはやっぱり、写真に撮れるか、でしょうか。
地表から3000km近くまで近づく「はやぶさ2」が撮影するのは絶対と言っていいくらいに難しいようだということを「JAXAのデータではやぶさ/スイングバイの視位置を予測する」に書きました。
となると120,000kmも離れたデブリの写真を撮ることは不可能のように思えます。でもそう言い切るのは早過ぎるような気がします。
よく、オリオン座近辺の写真を撮っていたら静止衛星が写っていた、という話を聞きます。静止衛星は地球から40,000kmくらい離れたところにあります。その静止衛星が別に“努力”もしていないのに写るわけですから“あきらめるのは早過ぎる”ように思います。
この動きであれば(私は持っていませんが)赤道儀での長時間撮影も可能なのかもしれません。暗くて、天球を高速で移動し、しかもどこにあるかよくわかない“はやぶさ2”に比較するとはるかに撮影しやすい対象です。
13日の金曜日、早朝にはいっかくじゅう座にレンズを向けてみたいと思います。
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関連
「スペースデブリWT1190Fはいっかくじゅう座から降ってくる! - 大気圏突入の日の位置予測図」
「スペースデブリWT1190Fはここから降ってくる - 写真版位置予測図」
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参考
「(NASA JPL) Horizons Web Interface 」
関連
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
「過去記事の一覧(天文計算、測定、電子工作)」
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