GPSの1PPS動画を分析してみた
惑さんから1PPS動画をDropBoxでいただいたので分析してみました。暫定的な分析結果はすでに惑さんにお知らせしてあるのですが、今回はできるだけ厳密に分析してあります。
掩蔽観測の結果報告の記事にはいつも1PPSの写った部分の分析結果も書いているのですが、そういうのに比べると撮影条件が違うためちょっと難易度の高い動画になっていました。
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まずオーソドックスに1PPS発光の開始が写ったフレームを二つと終了が写ったフレーム一つを探します。正確な分析のためには開始のフレームは連続した秒のもの、終了のフレームは開始の秒に対応するものがあるとよくて、この条件に合致するものは(掩蔽観測の動画だと)ふつう何か所も見つかります。ところが今回の動画は1分14秒の動画で一か所しかありませんでした。掩蔽観測用の動画とは違う条件で撮影されているようです。どう違うかは以下をご覧いただければわかると思います。
条件に合致するフレーム、開始1044フレーム、1068フレームと終了1070フレームの画像を示します。
1044フレーム(1PPS発光開始フレーム)
いつも書いているようにこういう分析には画像が白飛びするくらい強い光を当てておく必要があるのですが、この画像は(それなりの理由があって)そうなっていません。そこで右側の部分を画像処理してそういう状態を作り出した上で発光開始のラインを見つけてみました。
1070フレーム(1068フレームの発光開始に対する発光終了)
以上をもとに分析するのですが、そのやり方はこれまでさんざん書いてきたので省略して
「掩蔽観測用GPS/1PPS発光器(弐) - 潜入・出現時刻の求め方」
にあるExcelシートで計算します。
このExcelシートには誤解を招くところがありました。「シャッター速度はできるだけ短くして測ります」という記述があります。これは蛍光灯などを利用してセンサー走査速度を測るときの注意事項です。重ね重ね申し訳ないです。
フレームレートはほんとはちゃんと実測した方がいいのですが、この動画だけから測定することはできないので仕様値(画像の情報にある値) 23.976fpsということにします。
あとは上の画像で調べたフレーム数や発光開始・終了のライン数を入力すれば結果が出ます。
センサーの走査時間は0.0197秒です。この値はカメラによってけっこう違っているのですが、オーダー的にはこれまで測定してきたカメラと同じです。
シャッター速度は1/500秒のようです。じつはこれが分析を難しくしていた原因です。掩蔽観測はふつう1/30秒のシャッター速度を使います。また白飛びするくらい強い光がセンサーにあたっていないのもこれが原因でした。
ところでさきほど惑さんにはこの動画のシャッター速度は1/1800秒くらいとお知らせしてしまったのですが、これは発光開始終了のラインを見誤ったのが原因です。上のように白飛びするくらい強い光があたったと想定してはじめて正しい結果が得られるようです。
惑さんのお話では手順にしたがって分析したが結果がマイナスになったとそうです。これもおそらく露光時間が短く光量が不足したため発光の開始・終了のタイミングを見誤ったためだと思われます。
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関連
「掩蔽観測用GPS/1PPS発光器(弐) - 潜入・出現時刻の求め方」
「掩蔽観測用GPS/1PPS発光器(弐/参) - LED駆動ユニット - 使い方」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6」
「星食観測でのGPS・1PPS信号の利用法 (1)」
「デジカメのセンサー走査時間を測る方法」
「動画の撮影時刻を知る(1)」
「動画の撮影時刻を知る(2)」
「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた」
「デジカメの特性を比較する」
『「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集』
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算): セッピーナの趣味の天文計算」
「記事一覧(測定): セッピーナの趣味の天文計算」
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コメント
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分析ありがとうございます。
今、この記事を読んでいて勘違いしていたことに気付きました。
センサー走査時間の測定のところで12行目は発光終了のフレームを入れるのかと勘違いしておりました。
よく見たら2つめの発光開始のフレームだったのですね、、、
投稿: 惑 | 2015年11月 4日 (水) 21時29分
違う話で申し訳ないのですが、例の方位角・高度から北極方向と天頂方向の角度を求める問題について。
数値計算ならできますが、計算式を表記するほうはギブアップです><
方位角、高度、北極天頂角(90-観測地緯度)、極軸回転角にそれぞれのSINとCOSが組み合わさって、膨大で複雑な式になってしまいました;; きっと簡単な表示方法があるはずとは思います。
逆関数が解けないところがあり(ある方位角・高度の座標が北極軸回転で子午線と交わるところを求める)、行き詰まりました。
ただし、ある赤経・赤緯の点を北極軸を回転させて方位角・高度を求めることはでき、そのときの天頂方向はわかります(ステラリウムと同じ表示ができるプラネタリウムアプリはできてます)。うまい説明ができなくてすみません。
もうちょっと頑張ってみますが、あきらめるかも知れません。
投稿: ほよほよ | 2015年11月 4日 (水) 21時59分
>惑さん
あ~、それは惑さんの勘違いでなくて、私がうそっぱちを書いていたところだと思います (^^;;
申し訳ないです m(._.)m
惑さんのカメラで1080Pの録画だと時間分解能は1/50000秒あります。ただ発光・開始の瞬間を正確につかむことが必須の条件で、シャッター速度が1/500秒だと露出が足りなくなり発光・開始の時刻を確定するのはすごく難しいと思います。
投稿: セッピーナ | 2015年11月 4日 (水) 22時15分
いや、私にはそっちの方が重要です (^^;;
これ、どのアプリでもふつうに実現できてますがどうやってるんでしょうね。意外と私がExcelでやってる方法とおんなじだったりして (^^;;
まじめな話、どこかにブレークスルー(?)があるんでしょうね。
私はこの件はあきらめましたのでどうかよろしくお願いします m(._.)m
でも赤経・赤緯から天頂の方向がわかるのであればそれで問題ないような....
じつは星図の天頂を求めることより掩蔽予測で月の形を天頂を上に表示するという方が切実な問題なのです。
投稿: セッピーナ | 2015年11月 4日 (水) 22時25分
関数F(赤経, 赤緯, 日時, 観測地緯度)→方位角、緯度
関数G(方位角、緯度)→天頂が上方向の図作成
のような関係があって、関数Fの逆関数の表現が難しいといった感じです。
セッピーナさん方式はまだ見ていません。
投稿: ほよほよ | 2015年11月 4日 (水) 22時35分
関数Fの出力は、「方位角、高度」の間違いです^^;
関数Gの入力も、「方位角、高度」の間違いです。
投稿: ほよほよ | 2015年11月 4日 (水) 22時43分
私の方法はとても単純で(α,δ)と(α+Δα,δ)の二つの点の方位角と高度を求めてこの2点を結ぶ直線と方位角=一定の直線のなす角度を求めるだけです (^^;;
投稿: セッピーナ | 2015年11月 5日 (木) 00時11分
やっぱりというか、私も同じ考えでした^^。
角度を求めるならそれが一番手っ取り早いんじゃないでしょうか。
視点中心に天球に接する単位ベクトルを置いて回転変換で求めようとしていました。
私の問題は、角度を求めたことがなかったことです^^;
WEBのどこかにそのものずばりの式がありそうな気もしますが。
投稿: ほよほよ | 2015年11月 5日 (木) 10時11分
ちょっとみっともないですが、これがいちばん簡単ですよね (^^;;
これを式にしてΔα-->0の極限を求めれば理屈はわからなくても式は得られるような気はするのですが....
まあ、結果が出てるからいいか、という気分です。
投稿: セッピーナ | 2015年11月 5日 (木) 10時52分