22ビット(21.9bit)ADコンバータMCP3551の使い方 - MCP3553との分解能の比較
マルツでPLLに使うCD4046Bを探していたらMCP3551というが目に入りました。どっかで見たような型番だと思ってよく考えたら以前「22ビット(20.6bit)ADコンバータMCP3553の使い方」に書いたMCP3551の上位(?)デバイスでした。
「Microchip - MCP3551/3 - Low-Power, Single-Channel 22-Bit Delta-Sigma ADCs 」
MCP3551というのはMCP3553とほとんど同じなのですが、50/60 Hz Rejectionの機能がついています。MCP3553のときはもう泣きたくなるくらい電源ノイズに悩まされました。それが緩和されるというのは助かります。
マルツで確か@800._でした。端子は1.27mmピッチなのではんだ付けは難しいというほどではありませんが、なれない方はとまどうかも。
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今回は分解能についてが主の記事です。たいていの方は測定値の不確かさの方が気になると思います。そういう方はSEC_SUZUKI さんの記事が参考になると思います。
「切り粉好き - MCP3551 」
「切り粉好き - MCP3551テスト 」
「切り粉好き - MCP3551テスト2 」
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使い方なんですが、MCP3553と何ら変わるところはありません。つまり
「22ビット(20.6bit)ADコンバータMCP3553の使い方」
をご覧いただき同じように作って、同じように使えば何の問題もないです。SPIでSDIもないためとても簡単です。
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これじゃあんまりなので分解能の話を少々....
MCP3553での測定結果を見るとこんな感じでした。

測定値がめちゃくちゃな感じですが、3Vフルスケールで3mVくらいを測っているのでこんなものです。
MCP3553は20.6bitということになっているのですが、少なくともこのデータを見る限り18.4bitくらいの分解能だと思います。
ほぼ同じ条件でMCP3551でも測定してみました。

これもあんまりきれいではないのですが、測定値は割とまとまっており分解能は19.8bitくらいあるようでMCP3553に比べると1.4bitくらいいいです。それぞれの値はスペック値とは違いますが差が1.3bitというところはあっています。
最初のMCP3553の測定値がばらついている主因ははっきりしており商用電源のノイズです。この商用電源のノイズは50Hz(あるいは60Hzおよびそれらの高調波)に決まっているのでサンプリングの間隔と回数を工夫し何回か測定した結果を平均することによってかなり取り除くことができます。
いつも使っている109回平均で測定した例です。
この109回という回数はプログラムの作り方に依存し、誰でもいつでも109回測って平均をとればいいというのものではないので注意してください。この最適の回数を探すのはけっこう手間です。

上とは見違えるような安定した結果が得られています。
MCP3551でも何回も測って平均をとればかなり改善します。15回の平均をとった例です。

上のMCP3553の109回の例より少しだけいい結果になっています。こちらは平均をとるのに最適な回数というのはないようです。ふつうのノイズなのでしょう(細かく調べると最適の回数とかあるのかもしれませんが)
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上の二つの例から100回前後測って平均をとらなければならないMCP3553に対し15回くらいでそれ以上の結果が得られるMCP3551の方が圧倒的にいいように思えますが、じつはそうでもないです。
MCP3553は変換に要するに時間は16.67msとけっこう早いのですが、MCP3551は73.1msかかります。100回と15回の差は実際は2秒と1秒の差でしかありません。
ただどういうタイミングで何回サンプルして、というようなことを考えなければならないMCP3553よりMCP3551の方が使いやすいのは確かです。
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関連
「22ビット(20.6bit)ADコンバータMCP3553の使い方」
「熱電対起電力を直接測定できる22bit(20.6bit)ADコンバータMCP3553」
「100Ω±0.1%の精密抵抗の抵抗値を測ってみた - 定電流回路と20.6bitADコンバータMCP3553を使う」
「このブログのPIC/SPIソースのきむしげさんの新しいskSPILIB.c対応 - MCP3553を例に」
「PICでI2C - ADコンバーター・MCP3425の使い方」 (16bit)
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