« スペースデブリWT1190F - 札幌/東京/沖縄の見え方の違い | トップページ | 「このページに到達できません」で悩んでいるのはじつはJ:COMユーザーだけだったりして (^^;; »

2015年11月12日 (木)

高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに

GPS受信モジュールを正確な時刻を知るために使うというのは掩蔽観測とかそういうマイナーな用途で、ほとんどはGPSロガーみたいなものを作るのが目的でしょうか。
あとはそれなりに需要があるのは1PPSで周波数カウンターのゲートタイムを作るという用途のように思えます。

周波数カウンターのゲートタイムを作るというのは私もやりました。

  確度0.0005ppmの周波数測定 - GPSの1PPS出力を使った高精度周波数カウンタ

ただこれは要するに自分の持っている発振器の発振周波数や周波数カウンターのゲートタイムの確度や安定度を知りたいというのが目的でしょう。

となると周波数確度や安定性が信頼できる発振器があればそんなことはしなくてもいいということになりそうです。

--------

そこでGPS受信モジュールを使って10MHzくらいの高精度発振器を作ろうと考えました。

こんな12,800,000Hzで±0.1Hzくらいが問題なるうなやつを作りたいわけです。
Pllf2_2
(「
GPS/JJY(標準電波)を基準周波数源とするためのPLLの詳細」より)

--------

同じよう方法にJJYを使うというのがあります。ただこれはあんまりお勧めしません。記事は書いていますが....

  「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに


GPS受信モジュールは安定して電波を受信できるところにアンテナを置いてさえいれば電源電圧が変化しようが熱くなろうが寒くなろうが正確な周波数で発振し続けるわけですからこんな便利なものはありません。

ちなみ下に出てくるGE-612T の場合TIMEPULSE の精度については

  30ns (RMS)   <60ns (99%)

となっていました。RMSと書かれているのは出力にゆらぎがあるということでしょう。不確かさ±0.03ppmということになります。GPS受信モジュールのいいところはこれが累積するわけではないことです。なので発振器の周波数や時計の示す時刻の不確かさが±0.03ppmというのとは意味が違うことになります。
(そうでないと上にリンクしたような記事は書けません)

もっともこれだと目的によっては(多少正確さに欠けても揺らぎがない)高精度の水晶発振器の方がまし、ということがあるのかもしれません。そのあたりは用途によって検討・判断していただければと思います。

つまりこの記事での“高精度”という言葉は10MHzの発振を1秒間カウントしたら、カウント数が10,000,000、100秒間カウントし続けたら1,000,000,000ぴったりになるというような意味で使っています。

フェーズロックループ(PLL)実験中の写真、記事とはあんまり関係ありません。
Imgp05691000

-------

ところでこの高精度発振器については、じつは別に作らなくてもGPS受信モジュール自体が発振器として使えるというものもありそうです。

-------

GPS受信モジュールにはいろんなチップが使われているのですが、その中でu-blox 6というのがあります。このチップのなかで LEA-6T0あるいはLEA-6T1というタイプは(1PPS出力に相当する)TIMEPULSE出力が二つありそのうちの一つTIMEPULSE2は設定によって10MHz出力が可能になるようです。

だからu-blox6 LEA-6T0/1を使った(そしてTIMEPUSE2出力がある)GPS受信モジュールを入手すればいいわけですが、どこに売っているかわかりません (^^;;

  10MHz出力のあるものがいくつかありました
    「高精度10MHzの出力ができそうなGPS受信モジュール 

  さらにGE-612T自体もっと高い周波数が出力できることが判明しました (^^;;
 2MHzを(10MHzも!)出力できるGPS受信モジュールGE-612T(u-blox6/LEA-6)

あんまり役に立たない情報
扱っているお店がないわけではなさそうです。一つ見つけました。u-blox6 LEA-6T0/1もリストにはあるのですが残念ながら在庫がないみたいです。でもその前にこの価格はいったいどういう意味なんでしょう (@@)
(ちなみに aitendoでは u-blox 5 を@1,250._ で売っています)

  「
I.D.A Online - u-blox 6 シリーズ

なおu-bloxには6以外に5、7、M8というのがありそういうのにもこの機能がついているのかもしれませんし、u-blox以外にもそういうチップ/製品があるかもしれません。

その後いろいろやってみたいのですがGPS受信モジュールの高周波出力をそのまま使うのは揺らぎが問題になるかもしれません。

意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数

この記事に書いたような方法が安全だと思います。

----------

必要とする周波数出力がなくても基準周波数として使える出力があればそれをもとにPLLを使って自分の必要な周波数の発振器を作れます。ジッターが予想されますが、周波数カウンターの校正に使う場合や分周してカウンターのゲートに使うようなケースではさほど問題にならないはずです。

1PPS出力のあるGPS受信モジュールは容易に手に入ります。ですが1PPS=1HzですからこれでPLLをロックしようとするのはさすがに無茶なような気がします。

上のu-blox6の話に戻るのですがTIMEPULSE出力が二つないタイプでもTIMEPULSE(1)で1kHz出力は可能です。1kHz出力であればPLLの基準周波数源として使えないことはないと思います。そして1kHz出力が可能なu-blox6を使ったGPS受信モジュールを私は持っています。これは1kHz出力を使ってデジカメのセンサー走査時間の測定行ったことがあります。

  「GPS受信モジュールGE-612Tのタイムパルス(Time Pulse)機能
  「PLL(CD4046BE)の使い方(2) - ジッターの低減」 (より詳しい最近の記事)

ということでまずこのGE-612Tの1kHz出力を基準周波数に使ってみることにしました。

なお中日電工 さんの記事

  「中日電工 - 117でいきましょう(4)- GPSで1PPSを(2)

にある画像を拝見するとu-blox5を使ったGPS受信モジュールUBX1612 にもTIMEPULSE 出力があるのでこれも1PPS出力のカスタマイズが可能なのかもしれません(データシートを見る限り1kHz出力は可能なように思えます)

このUBX1612 はリーズナブルなお値段のようなので(1kHz出力等が可能という前提で)こういう目的に使うのであればお値打ちかも。もっとも腕自慢の方じゃないとちょっと使えそうにないです。“腕”というのが何のことかは中日電工 さんの上にリンクした記事やこの記事をご覧になるとわかります (^^;;

  「中日電工 - 117でいきましょう(5) - GPSで1PPSを(3)

------

さて基準周波数のめどが立ったのですから今度はPFDとかVCOの方になります。PLLはマルツでアナログ・デバイセズのいろんな製品を扱っていました。どれも即納ではないようですし、ざっとデータシートを読んでも面倒くさそうなので今回はやめにしました。最初に取り組む対象としては私の技術力では難しそうです。

そしてTEXAS INSTRUMENTS CD4046B を使うことにしました(これもマルツで入手できますし、即納になっています)

これは分周器は外付けですがVCOは内蔵されています。ただそのVCOが1MHzちょっとまでしか出ないようで高精度10MHz発振器には使えないのですが、JJYとの相互検証用の40kHz発振器としては使えそうなので無駄になることはないでしょう。

ということで次回は製作記事に進みたいと思います。

結果がどうなったかだけ知りたい方はこちらへ

  超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた


次の記事 
GPS受信モジュールGE-612TとPLLで作る高精度発振器 - CD4046Bの回路定数

--------

関連

  「
高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」 (この記事)
  「
GPS受信モジュールGE-612TとPLLで作る高精度発振器 - CD4046Bの回路定数
  「
PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト
  PLLとGPS受信モジュールで作る高精度発振器 - PLLのテスト(2)
  「
PLL(フェイズロックループ)の特性 - ジッターを測定してみた
  「
PLL(CD4046BE)の使い方(2) - ジッターの低減

  
GPS/JJY(標準電波)を基準周波数源とするためのPLLの詳細

  「GPS受信モジュールGE-612Tからの1kHz出力 - u-blox/u-centerを使う

  「超高精度・温度補償型水晶発振器VM39S5GをPLLのVCOとして使う
  超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた
  VCTCXO/VM39S5G+GPS/TIMEPULSE+PLLで0.01Hzの周波数偏差をめざす
  「
VCTCXO/VM39S5G+GPS+PLLの過渡特性
  「
VCTCXO/VM39S5G+GPSはほんとうに12,800,000.00±0.01Hzを実現できたか?

  高精度10MHzの出力ができそうなGPS受信モジュール
 2MHzが(10MHzも!)出力できたGPS受信モジュールGE-612T(u-blox6/LEA-6)
  GPS受信モジュールGE-612Tの8MHz、2MHz出力の周波数精度
  GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、でももう在庫切れ (^^;;
  GPS受信モジュールu-blox6/NEO-6Mと温度補償型水晶発振器VM39S5Gの周波数(位相)を比較してみた
  GPS受信モジュールGE-612TとNEO6M-ANT-4PのTIMEPULSE出力周波数を比較する
  GPS受信モジュールNEO-6MとVCTCXO・VM39S5Gの周波数比較・改良版
  意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数
  PLLにはまる - VCTCXO・VM39S5GをGPS受信モジュール
  GPS受信モジュールNEO-6MのTIMEPULSE出力の周波数安定度

  「GPS受信モジュール1PPS出力タイミング変動の高精度測定の方法を考えてみた
  「
“ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い

  「「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」を使ってみる - 1


  「時刻標準について
  「GPS受信モジュールあれこれ

  
JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに

  「発振周波数の電源電圧による変化 - 「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」
  「
VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器
  「
VM39S5G(VCTCXO)を使ってみた - 2 - 電源電圧


  「記事一覧(測定): セッピーナの趣味の天文計算
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算): セッピーナの趣味の天文計算

« スペースデブリWT1190F - 札幌/東京/沖縄の見え方の違い | トップページ | 「このページに到達できません」で悩んでいるのはじつはJ:COMユーザーだけだったりして (^^;; »

時刻と時間」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに:

« スペースデブリWT1190F - 札幌/東京/沖縄の見え方の違い | トップページ | 「このページに到達できません」で悩んでいるのはじつはJ:COMユーザーだけだったりして (^^;; »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ