« 「このページに到達できません」で悩んでいるのはじつはJ:COMユーザーだけだったりして (^^;; | トップページ | PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト »

2015年11月13日 (金)

GPS受信モジュールGE-612TとPLLで作る高精度発振器 - CD4046Bの使い方

さっそく製作に入ります。PLLはCD4046Bで、まずこの使い方を練習します。
CD4046BはPFDとVCOの二つの部分からなります。分周器は含まれていません。

緑の線の左側がPFD、右側がVCOになるようなピン配列になっています。
Bd01

---------

PFDは入力として基準になる信号(Signal In 14ピン)とそれにロックさせたい信号(Comp In 3ピン)の二つの入力と位相を比較した結果(Phase Comp. Out)の出力があります。

出力には

  Phase Comparator I Out (2ピン)
  Phase Comparator II Out (13ピン)

の二つがあるのですが、ここでは Phase Comparator II Out を使っています。この二つはそれぞれの特性がありますので目的・用途によって選ぶようですが、後者は基準周波数の高調波にロックしない、基準周波数入力とVCO出力との位相差がない、と書いてあったからです(データシート読み間違ってたらすみません)

VCOは制御するための入力(VCO In 9ピン)と入力に応じた周波数の信号の出力(VCO Out 4ピン)があります。VCOの周波数範囲を決めるためC1、R1、R2があります。

PFDの出力をVCOの入力とするためローパスフィルター(ループフィルター)が必要でこれはC2、R3、R4からなります。

ふつうVCOの出力を分周してPFDの入力とするわけですが、今回は(練習なので)そのまま入力としています。基準周波数と同じ周波数の信号がVCOから出力されればOKということになります。

電源はVDD(1)とVSS(2)です(5は“Inhibit”なのでローに落としておきます。“Inhibit”をハイにすると動作は停止し消費電流はほとんどゼロ(25μA)になります)

電源電圧は5Vから15Vくらいまで使えます。他の回路との関係で5Vでやりたいのですが、そうするとただでさえ低いVCOの発振可能最高周波数がさらに低くなります。今回は練習なので5Vにしました。

回路定数を決めなければならないのですが、これがけっこう手間です。

-------

資料(CD4046B Phase-Locked Loop: A Versatile Building Block for Micropower Digital and Analog Applications )にしたがって決めていきます。

確実に動くようにと思い基準周波数1kHz、VCOの最低周波数fmin=500Hz、最高周波数fmax=2kHzとします。

まずR1 R2を決めます。高くもなく低くもない値ということで100kΩとしてみます。

次にfmax/fminを求めます。4となりますのでこれとR1 R2=100kΩをもとに図9bを見てC1の値を決めます。C1=0.02μFくらいみたいです。

今度は図9cを見てfmax/fmin=4に対するR1/R2 R2/R1の値を求めます。これは5くらいみたいです。R2=R1/5 R1=R2/5=20kΩということになります。

VCOの回路定数が決まったので、ローパスフィルターの定数を決めようと思うのですが、

  G.S. Moschytz, Miniaturized RC Filters Using PLL, BSTJ, May 1965.

を見ろ、みたいなふざけたことが書いてあります。

もっともWikipediaを見るとループフィルターだけについた本とか出てるみたいですから、それなりに難しいのでしょう。より高精度(安定度)を求める場合このあたりがポイントになりそうです。

サンプルの4.2 Frequency Synthesizer が1kHzの基準周波数に対し、3kHzから999kHzまで1kHzステップで出力できるような回路の例になっており今回と条件(基準周波数=1kHz)が同じなのでこの回路図の定数を使うことにします。

  C2=0.068μF、R3=100kΩ、R4=5kΩ

基準周波数が1kHzじゃないときどうしたらいいかよくわからないのですが、今回は基準周波数としてGPS受信モジュール GE-612T の1kHz出力を使う予定なので、何も考えないことにしました。

手元にある部品と見比べ作るときは次の定数することにします。


  C1=0.022μFR1 R2=100kΩR2 R1=20kΩ
  C2=0.1μFR3=100kΩR4=5.1kΩ

  C2はちょっとまずいような気もしますが、ひとまずこれで作ってみることにします。
  (0.068であれば0.1を三個使えば作れるわけですが)

Phase Comparator II Out をVCOの入力とするやり方の場合、基準周波数が入力されないときのVCOの出力はfminになります。実際に使った回路ではfminは736Hzになっていましたので500Hz~2kHzであればC1は0.033μFにすればよかったようです。

---------

で、作ってみたのですが結果だけ書くとVCOの出力は無事基準周波数にロックされました。

写真とか動作した証拠とか必要なんですが、それは次の記事にしたいと思います。

  ==> 「PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト
     
PLLとGPS受信モジュールで作る高精度発振器 - PLLのテスト(2)

--------

関連

  「
高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに
  「
GPS受信モジュールGE-612TとPLLで作る高精度発振器 - CD4046Bの使い方
  「
PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト
  「
PLLとGPS受信モジュールで作る高精度発振器 - PLLのテスト(2)
  PLL(フェイズロックループ)の特性 - ジッターを測定してみた
  「
PLL(CD4046BE)の使い方(2) - ジッターの低減
  「
GPS受信モジュールGE-612Tからの1kHz出力 - u-blox/u-centerを使う
  「超高精度・温度補償型水晶発振器VM39S5GをPLLのVCOとして使う

  超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた

  「時刻標準について
  「GPS受信モジュールあれこれ

  「
記事一覧(測定): セッピーナの趣味の天文計算
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算): セッピーナの趣味の天文計算

« 「このページに到達できません」で悩んでいるのはじつはJ:COMユーザーだけだったりして (^^;; | トップページ | PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト »

時刻と時間」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: GPS受信モジュールGE-612TとPLLで作る高精度発振器 - CD4046Bの使い方:

« 「このページに到達できません」で悩んでいるのはじつはJ:COMユーザーだけだったりして (^^;; | トップページ | PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ