VCTCXO/VM39S5G+GPS+PLLの過渡特性
超高精度をうたうVM39S5GをPLLを使ってGPSのTIMEPUSLE 1kHz出力に同期させ超超高精度を実現しようとしています。
これまでの実験結果からすると、注意深く作れば12,800,000.00Hz±0.01Hzの発振器が作れそうです。この12,800,000.00Hz±0.01HzというのはGPSの1PPS出力を使った128秒のタイムゲートを使って測定しているのでその128秒の中で何が起きているかはわかりません。例えば1秒ごとに12,800,001.00Hzと12,799,999.00Hzが出力されていても結果は12,800,000Hzになります。
このような短時間での周波数の変化を調べる方法はいくつか考えられるのですが、VM39S5Gの周波数が電源電圧、外部制御電圧、温度で決まることから間接的に調べる方法を試してみます。
今回は基準となるGPS受信モジュールの1kHz出力がいったん止まり、再び出力されたという状況を想定して実験してみました。
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タイムゲートを128秒にすると時間がかかってたいへんなので、今回はゲートタイムは16秒にしてあります。こうすると周波数のデータは32秒に1回しか取得できなくなります。
そこでVM39S5Gの外部制御電圧を5秒おきに測定しています。
VM39S5Gの周波数は電源電圧が1V上がると40Hz上がり、外部制御電圧が1V上がると80HZ、温度が1℃上がると0.44Hz上がります。外部制御電圧と温度から周波数の増減を計算したものを赤いマークで追加してあります。ほんとは電源電圧の変化も勘定に入れる必要があるのですが、このときは測っていなかったので一定だったと仮定しています。
このときは電源としてニッケル水素電池を使っているので非常にまずい仮定です (^^;;
GPSの1kHz出力がなくなった時点でVM39S5Gは12,800,020Hzで“自走”し始めます。いつもの12,800,008Hzではないのは制御電圧端子はPLLに接続したままになっており、しかもPLLの出力がエミッタフォロワーを介して接続されているためです。
VM39S5Gの周波数が高くなっているため再度GPSの1kHz出力が与えられると周波数を下げようとPLL(PFD)の出力は低下します。周波数実測値(青いマーク)を見ると70Hz低下しているように見えるのですが、制御電圧の値から考えると実際は瞬間的に120Hz低下しているようです。ここがゲートタイムが長い測定では見えないところです。
制御電圧の中点あたりで調べた係数で0V近くまで計算しているので、これもまずいのですがデータがないので80Hz/Vをそのまま使っています。
PLLがロックするまでに周波数は振動しながら12,800,000Hzに近づいていくのではないかと思っていたのですが、制御電圧を見る限りそういう現象は起きていないようです。“限界制動”のような動きでサンプルのループフィルターの回路定数が適切に設定されていたということでしょう。
いちばん気になる収束するまでの時間ですが、±1Hzくらいだったら2分もかからないようです。±0.1Hzになるまででも3分くらいみたいです。これまで考えていたよりずっと早いです。
では±0.01Hzになるまでどのくらいかかるか、となるわけですが制御電圧の動きを拡大してみたら6分くらいみたいです(この測定は機器の電源は入れっぱなしなので、電源を入れて6分経てば安定するかどうかはわかりません)
12,800分周してPLLでロックするという方法は電源電圧や温度の急激な変化によるVCOの周波数変化に弱いようなので今回は電源はニッケル水素にし、基板はタオルで巻いて段ボール箱に入れるという簡単な自衛措置をとっています。それでも20分で0.5℃変化していますが、発振周波数に対する悪影響はほとんどないようです。±01Hzくらいを目指すならこのくらいでも十分なのかもしれません。
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