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2015年11月19日 (木)

VCTCXO/VM39S5G+GPS/TIMEPULSE+PLLで0.01Hzの周波数偏差をめざす

周波数測定の分解能を0.01Hzまで上げ一晩動かしてみました。

周波数分解能はGPS/1PPSを128分周しタイムゲートの時間を長くすることによって上げています。GPS/1PPSはその特性から分周してタイムゲートの時間を長くすればするほどそれに比例して測定値の確度が上がっていくという性質があり、他の基準周波数源をタイムゲートに使うのにくらべてとても有利なやり方です。

まず「超高精度・温度補償型水晶発振器VM39S5GをPLLのVCOとして使う」の発振器(PLL)の部分を組み立てて動作させ、そのあと周波数や電圧、温度の測定部分を組み立てました。だから測定開始時点ではPLLの動作はある程度安定しています。

実験風景
Imgp05831000_2


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結果

周波数の表示範囲は発振周波数12,800,000Hz±2Hzです。
Vctcxogps128s01m_2

最初の6時間くらいの間はとても安定しています。周波数の読みは±0.01Hzつまり±0.001ppm(±1ppb)に収まっています(じつは問題があり、そのことは最後に書きます)

そのあと周波数がばらつき始めます。朝早くに窓を開けたことにより室温が急激に下がったためです。

まず-1.65Hzというデータが出現します。そしてそのあとは-0.16Hzの一つのデータを除き±0.07Hzに収まっています(上の±0.01Hzも同じですが、128秒間の平均が±0.07Hzに収まっている、という意味です。短時間での周波数の変化(位相の変化)についてはまた別に測定するつもりです)

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温度とVCOの入力電圧(PFDの出力電圧)の関係
Vctcxogps128s02

12,800分周したものを1kHzの基準周波数と比較しているためVM39S5Gの周波数(位相)の変化をPLL/PFDが検出するには時間がかかります。

したがって温度が急激に変化した場合、その影響は周すぐに波数の変化として現れます。
周波数の1.65Hzの低下というのは以前調べた温度係数0.44Hz/Kから計算すると4℃近い変化に相当します。温度も256秒に1回しか測っていないのではっきりしないのですが、実際に4℃程度の温度変化があったとしてもおかしくないグラフになっていまうs。

もし周波数の変動を0.01Hzに抑えたいとすれば、温度の急激な変化を0.02℃以下に抑える必要がありそうです。どの程度温度がゆっくり変化すれば影響ないかはこれから調べる必要があるのですが、上のグラフからは少なくとも1時間あたり0.1℃の変化であればまったく問題ないと言えます。1時間あたり0.2℃ならどうなか、0.3℃では、というのは今後測定を行っていけばはっきりしてくると思います。

同様に考えると制御電圧の急激な変動は0.1mV以下、電源電圧の急激な変動は0.2mV以下に抑える必要があるということになります。こちらもゆっくりと変化するのであれば影響はありませんがどの程度の変化であれば問題ないかは別に調べる必要があります。

このVCTCXO+GPS/TIMEPULSE+PLL方式でも±0.01Hzは可能そうですが、そうだとしてもそれなりの“努力”が必要なのは確かです。

なお上のグラフで制御端子電圧は20mV上昇していますが、温度1℃の変化による周波数変が制御電圧6mVの変化による変動に相当することを考えるとだいたいつじつまはあっています。

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上の周波数のグラフは±2Hzの範囲を表示しているのですが、じつは全部のデータがこの範囲にあるわけではありません。
Vctcxogps128s03


突然周波数が4kHzくらい低下しているところが三か所あります。
VM39S5Gにこれだけの周波数変化を起こす能力はないですしVCOの入力電圧にも異常はないので、周波数測定の回路あるいはソフトの不具合と思われますがまだ原因はつかめていません。

  <=== カウント数が65536の整数倍少なくなっていました。
      このことからPICでタイマーカウンターがオーバーフローしたときの割り込み処理が
      RTCの1秒毎の割り込みによってクリアされることが原因であることがわかりました。
      二つの割り込みの頻度を考えるとめったに起こりそうにないことなので、
      これまで気づきませんでした (^^;;



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