超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた
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最初の部分はVM39S5Gの制御電圧ピンをオープンにしています。12,800,008Hzあるいは12,800,009Hzとカウントされています。この図から見ると12,800,008.3Hzくらいで発振しているのでしょう。最近1Hzの違いにも敏感になってしまったのですが、冷静に考えると誤差は1ppm以下なわけでVM39S5Gの実力を示す結果です。
次に基準信号は入れずにPLL=CD4046のVCO制御電圧を(ループフィルターを通して)VM39S5Gの制御電圧ピンに与えています。(少なくとも私が使っているVM39S5Gに関しては)制御電圧ピンを1.6Vくらいにしたときに制御電圧ピンをオープンにしたときと同じくらいの周波数になります。CD4046の基準信号を入れないときのVCO制御電圧はこれより高いためVM39S5Gの発振周波数は12,800,019Hzと上がってしまいます。めちゃくちゃ高くなった感じがしますが、これでも1.5ppmくらいのものです。
さていよいよこの状態でGPS受信モジュールの1kHz出力をPFDに入力します。
周波数が急激に下がり徐々に一定値に近づいていきます。そしてその値は12,800,000Hzのようです。ただほぼ一定になるまでに3分ほどかかりました。
3分経過してからの周波数を見ると12,799,999Hz~12,800,000Hzの間にあります。交互に表示されるなら12,799,999.5Hzとかそういう周波数で発振していることになりますが、そうでもないのでこれは12,799,999Hz~12,800,000Hzの間で発振周波数が振動しているように思えます。ただ後半だんだん落ち着いてきているようにも見えるのでもう少しやってみればよかったと後悔してます。
このあといったん(基準周波数は入力したまま)VM39S5Gの制御電圧ピンをオープンにしてみました。周波数はとうぜん12,800,008Hzあたりに落ち着きます。このとき基準周波数に対して発振周波数が高くなっているためPFDの出力電圧は低下していきます(一気に低下するのではなく徐々に低下しているのはどうしてなんでしょう。ループフィルターの時定数はそんなに大きくないのですが)
ここで再度PFDの出力をVM39S5Gの制御電圧ピンに与えます。PFDの出力は低下しているのでVM39S5Gの周波数は一気に低下します。しかしPLLが機能し周波数は徐々に上昇し12,800,000Hzに収束していきます。
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こうやって見るとPLLによってVM39S5Gの周波数は確かにGPS受信モジュールから出力された基準周波数にロックされているようです。
微妙な周波数のゆらぎがあるようにも見えること、またロックされるまでに数分間かかること、ロック、アンロックのときに発生する周波数の大きな変化、などの解決が今後の課題となります。
ループフィルターはCD4046のデータシートのサンプル回路の値をそのまま使っているだけなのでどういう回路定数を使うべきかもう少し勉強した方がよさそうです。
また周波数の大きな変化はPFDの出力電圧とVM39S5Gの制御電圧が一致していないことが原因で、これはPFDの出力電圧をシフトして与えることで解決しそうです。
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