JJY受信用40kHzクリスタルフィルタのその後
その後もまだクリスタルフィルタを調整しています。なんとなくコツというか調整のポイントがわかってきました。めんどうくさくてあいかわらず特性は調べていません。プロダクト検波して音を聞きながら調整というのが(今のところ)いちばん効率がいいように思います。
なおこの記事の中の実験結果には回路が不安定になっている可能性があるものがいくつかあります。再確認中です。
二つも作ってしまいました。
取り換えて使える(というかテストできる)ように同じレイアウトにしてあります。
以下回路とアナログ乗算器でプロダクト検波したときの出力波形(包絡線)です。
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クリスタルフィルターなし
これは前回と同じですが、このあたりのオペアンプはすべて2068DDにしました。
ノイズだらけですが耳で聞くとけっこう強力に入感している感じです。CWでSN比が0dBより小さくてもちゃんと聞き取れるはずですからあたりまえですが。
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水晶振動子のみ
オペアンプの入力の抵抗は以前は500kだったのですが20kにしました。
小さい方がキレがいいのですが、出力は全体的に低下します。
ちょっとおもしろいことになっています(水晶振動子は新たに買ってきたもので前回のものとは違います)
共振周波数が40kHzに近いために起きているのだと思いますが、直列共振、並列共振のどっちなんでしょう。
<= 正帰還がかかっている(発振気味)なのかも....
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水晶振動子+コンデンサ
このコンデンサは直列共振周波数上げる効果があるはずです。JJYを受信しコンデンサを調整して出力が大きくなるところを探します。
電波時計用には選択度が良すぎるかもしれません。
キャリア抽出用には上のコンデンサなしの方がいいように見えるかもしれませんが、実際はレベルが違います(この記事では波形が見やすいようにレベルを調整してあります)
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水晶振動子、二個
調整する箇所が三つもあるのでたいへんです。60pFを使っているのは単に45pFがなかったからです。
このくらいになると10秒の壁(ポジションマーカ)を乗り越えてキャリアを取り出せます。
1分の壁(ポジションマーカ+マーカ)がギリギリな感じです。
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上の二つを組み合わせたもの
(45pFのトリマーの前のコンデンサは消し忘れで)
さすがにここまでくると1分の壁も簡単に乗り越えられます。
途中でコネクタをはずしたりつないだりしてみました。
信号がなくなっても1秒以上振動が継続しています。40,000サイクル以上続いていることになります。もちろん立ち上がるのにも1秒以上かかります。
キャリアを取り出すときいちばん問題になるのは30分に一回のJJYのコールサインを送出するときです。0.2秒のポジションマーカのあと10%振幅(1%出力)が0.8秒続き、さらに電波にない状態が0.56秒(この時間は資料にはなく実測値)あります。この1.36秒の壁を乗り越えることができれば(停波しない限り)連続した40kHzを取得することができます。この後飽和するくらい増幅しており今のところコールサインの壁は乗り越えられているようです。
水晶振動子の両側にコンデンサを入れると並列共振周波数が下がってさらにシャープにできたんじゃないかと思いますが今はそこまでやる気力がありません。
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最初の基板の裏側です。
最近SMDを使うことを覚えました。ただ老眼だとちょっと見ただけではどこに使ったかすぐにわかりません。1、2週間経ったら、あれパスコン入れ忘れた、とかなりそうな気が.... (^^;;
SMDは左側は3個、右側は1個使っています。
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関連
「JJY受信機/電波時計の製作記事を集めてみた」
(ググッて集めたJJY受信機電波時計の製作記事集)
「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに」
時刻
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
標準電波JJYの仕様
「JJYの報時信号の送出方法」
「JJYの秒信号の送出方法についてNICTに聞いてみた」
「標準電波JJY - 変調波振幅の「最大100%、最小10%」の意味」
旧記事
「JJYの受信法」
「JJYを受信したい(要旨)」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
- 日本標準時グループ 」
JJYの運用
「標準電波・長波JJYが停波するとき」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ 標準電波運用状況」
長波JJYの性質(電界強度等)
「JJYの電界強度と受信機の必要利得(増幅率)」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化 - 電波時計をいつ合わせたらいいか」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化を測ってみた(1)」
「JJYの電界強度の時間変化に見る電離層の秘密」
「JJY搬送波の周波数をGPS/1PPSで測ってみた」
「JJYの40kHzの電波をボイスレコーダーに録音してみた」
「JJY受信機を作る - すでに40kHzのキャリア(連続波)を検出できてるっぽい」
「JJY受信機を作る - JJYの電波がつかめた!」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ - 標準電波に関するQ&A」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準電波の電界強度予測値」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ 」
「NICT - 日本標準時グループ - ライブラリー他 - Field Strength Pro Ver1.0」
アンテナ・プリアンプ
「JJY受信機を作る - バーアンテナとその特性」
「JJY受信機を作る - アンテナとプリアンプ」
参考
「RFワールド - ラジオで学ぶ電子回路
- 第1部 ラジオのための基礎 第1章 ラジオの電波 」
クリスタルフィルター
「クリスタルフィルターの効果を目と耳で確かめる - JJY受信機を作る」
「JJY受信機を作る - 40kHz/60kHzクリスタルフィルターの功罪」
「JJY受信機/電波時計用クリスタルフィルターの設計」
状態変数型フィルタ
「JJY受信機を作る - 状態変数型フィルタの周波数特性」
参考
「群馬大学 KobaLab@JP - 発振を利用したアナログフィルタの テスト・調整 」
PLL・周波数標準
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
「高精度発振器の作成に向けて - VCTCXO・VM39S5GをPLLでJJYにロックする」
「JJYに同期した高精度発振器用PLLの過渡特性」
プロダクト検波・シンクロダイン検波
「シンクロダイン検波によるJJY秒信号の取得 - GPSとの比較」
「平衡変調器で直流をボイスレコーダーに記録する - JJY・GPSの秒信号」
「JJY秒信号のシンクロダイン検波による取得の試み」
「音で聴くJJY - プロダクト検波による復調」
「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」 (アナログ乗算器)
参考
「JR7CWK - 長波JJY受信機の制作」
電波時計モジュール
「JJYを受信する(訂正あり)」
「電波時計モジュールを使ってみた(1)」
「電波時計モジュールを使ってみた(2)」
「電波時計モジュールが「使えない」理由」
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コメント
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こんにちは、いつも拝見しております。
お使いのコンデンサのサイズは2012でしょうか?
私も老眼でして、チップコンデンサは使いたいのですが、なかなか手が出ません。
とは言え、秋月で0.1μ50Vのが一個当たり2円と言うのは魅力です。
投稿: edy | 2015年12月27日 (日) 00時59分
はい、2012サイズです。じつは25V0.1uFの100個100円のものです (^^;;
見失ったり飛び跳ねたりするのでたいへんです。
3016サイズだとずっと扱いやすいのですがこの2.54mmピッチの基板だと斜めに取り付ける必要があるので見た目がちょっと...
慣れれば(工夫すれば)この大きさでもなんとかなるような気もしてきました。
投稿: セッピーナ | 2015年12月27日 (日) 09時37分