JJYに同期した高精度発振器用PLLの過渡特性
方向性は定まってきましたので、これから足りないパーツを作っていくだけですが、PLLの過渡特性が気になってきたので調べてみました。できるだけ細かな動きをみたいので周波数分解能は1Hzまでさげています。
外乱があると周波数が大きく変動しますが、じょじょに一定の周波数12,800,000Hzに近づいていきます。1分から2分あれば周波数は落ち着くようです。ただこれは分解能が1Hzですから今やっている0.1Hzとか0.01Hzのオーダーだともっとずっと時間がかかっているのかもしれません。
周波数はVM39S5Gの電源電圧、外部制御電圧、気温で決まります。電源電圧、気温はそんなに急激に変化する環境にありませんから短期的な変動はほぼ外部制御電圧で決まるはずです。だからPLLに使えるわけですが。
周波数を分解能を上げて測るには時間がかかります。そこで外部制御電圧もいっしょに測ってみます。
確かに周波数と制御電圧は連動しています。「VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器」 に書いたように制御電圧1Vに対し周波数は80Hz変化するはずですが、このグラフもそれに符合しています。
電圧の表示を拡大してみます。
周波数が落ち着いているように見えるところでも制御電圧は0.01Vくらい、つまり±0.005Vくらい変化しています。これは0.4Hzに相当するはずです。
0.4Hzの変化はこの周波数分解能ではわかりませんし、周波数分解能を上げるとゲートタイムが長くなるので振動は検出できなくなります。
0.01Hz~0.02Hzくらいのところまで一致したと思っていたのですが、じつは細かな振動がずっと続いているのかもしれません。原因として最初に思いつくのはループフィルターの定数です。ループフィルターのことだけで本一冊になるみたいですから先が思いやられます。
周波数の細かな変動をチェックするために位相の変化を測定できるようにしようと思っているのですがまだ準備ができていません。制御電圧の測定はMCP3553あるいはMCP3551を使っており分解能はとても高いです。当面制御電圧を測定した方がより細かい分析ができるかもしれません。0.01Hzは0.1mVくらいに相当しますから。
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時刻
「時刻標準について」
JJY
「JJYの報時信号の送出方法」
「JJYの受信法」
「JJYを受信したい(要旨)」
参考 「NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
- 日本標準時グループ 」
PLL
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
アナログ乗算器
「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」
アンテナ
「JJY受信機を作る - バーアンテナとその特性」
参考 「RFワールド - ラジオで学ぶ電子回路
- 第1部 ラジオのための基礎 第1章 ラジオの電波 」
クリスタルフィルタ
参考 「JA9CDE自作を楽しむホームページ - クリスタルフィルタ設計製作1 」
状態変数型フィルタ
「JJY受信機を作る - 状態変数型フィルタの周波数特性」
参考 「群馬大学 KobaLab@JP - 発振を利用したアナログフィルタの テスト・調整 」
JJY受信機
参考 「JR7CWK - 長波JJY受信機の制作」
補足
電波時計モジュール
「JJYを受信する(訂正あり)」
「電波時計モジュールを使ってみた(1)」
「電波時計モジュールを使ってみた(2)」
「電波時計モジュールが「使えない」理由」
「GPS受信モジュールあれこれ」
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