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2015年12月27日 (日)

JJY受信機(シンクロダイン検波)とGPSとの比較のその後と平衡変調器の作成

直流分が含まれた信号をボイスレコーダーに記録するための平衡変調器(平衡変調器で直流をボイスレコーダーに記録する - JJY・GPSの秒信号)が完成しました。
Imgp10461000

せっかくなので左右2チャンネル分作りました。コンパレータは両方のチャンネルに使えますし、アナログスイッチはもともと4個入りなのですが、オペアンプが4個必要になるのでLM324を使っています。LM324は電源ピンの関係でさかさまに取り付けてあります。

アナログスイッチTC40466はTC74HC4066に比べると電気的特性があんまりよろしくないようですが、VCCの絶対最大定格は20Vで18Vつまり±9Vでもいいので使っています。ちなみにTC74HC4066は13V、ふつうのCMOSは7Vくらいです(なおちゃんと2電源用のアナログスイッチというのもあるそうです)

裏側
Imgp10471000_2

今回はSMDを9個も使ってしまいました (^^;;

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前回(シンクロダイン検波によるJJY秒信号の取得 - GPSとの比較)はシンクロダイン検波といいながらVM39S5Gの出力(を分周したもの)を使ってしまったのですが、今回はちゃんとJJYから取り出した40kHzを使って検波しています。検波はアナログ乗算器を使っているのですが、上の平衡変調器も使えないことはないです。

151227_0136

Aの部分がVM39S5Gを使ったところです。VM39S5Gがいくら正確だと言ってもちょっとは違っているわけでビートが発生しているのがわかります。Bの部分がJJYの40kHzを使ったところです。ほんとのシンクロダイン検波になっています。
なおCのところは接続を変更するためにコネクタにさわっているのですが、そこで動作が不安定になっています。現状配線を引っ張りまわしているのでこんなことになっているのだと思います。基板の配置、配線の取り回しをちゃんとしたら安定すればいいのですが....

それからノイズがかなり多いです。これだとコンパレータがまともに働かないのではないかと思います。アナログ乗算器の出力にはキャリア(とその2倍の周波数)を除くために51k+4700pFの簡単なLPFを入れてあるのですが、ノイズ対策でさらに20k+0.022uFを入れました。あんまりやりたくないのですが背に腹は代えられません。

コールサインを受信したところ
151227_0139_

ポジションマーカの始まりから1秒経ったところまではスペースのところでも振幅10%(出力1%)で電波が出ているのですが、コールサイン送出のときはスペースでは電波が出なくなります。その様子がなんとなくとらえられているような気がします。

GPS受信モジュールGE-612Tの1PPSとの比較
151227_0142_vsge612t

今回はGPS受信モジュールの1PPSも平衡変調器を通して録音してあるのでちゃんとパルスの形に見えます。

上の時間軸を拡大したもの
151227_0142_vsge612tenl

100Hzかちょっと低い周波数の信号が乗っているようで、プリアンプで混入しているのではないかと心配していたのですが、これはGE-612Tの1PPSにも見られますので平衡変調器の方に原因があるようです。

GE-612Tの1PPSに対して2ms弱遅れています(このうち少なくとも0.7msは送信所からの距離によるものです)
前回の結果に比べるとちょっと遅延が増えたような気はします。もっとも送信所からの距離による遅延を補正すれば1ms程度の遅延になるわけですから、実用的には問題ないと思います。ただこれはGE-612Tの1PPS出力が正しいという前提で書いています。ほんとにそうなのかは今のところわかりません。

なおJJYの時刻の供給精度は1.6μsらしいです。このことについてはまた記事を書きます。

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JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに

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関連

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JJY受信機/電波時計の製作記事を集めてみた
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JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに

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時刻標準について
  「GPS受信モジュールあれこれ

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JJYの報時信号の送出方法
  「JJYの秒信号の送出方法についてNICTに聞いてみた
  標準電波JJY - 変調波振幅の「最大100%、最小10%」の意味
    旧記事
    「
JJYの受信法
    「
JJYを受信したい(要旨)
    参考
      「
NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
            -
日本標準時グループ

  JJYの運用

  「標準電波・長波JJYが停波するとき
    参考
    「
NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ 標準電波運用状況

  長波JJYの性質(電界強度等)
  「JJYの電界強度と受信機の必要利得(増幅率)
  難航するJJY電界強度時間変化の測定
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  JJYの電界強度の時間変化に見る電離層の秘密
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JJY受信機を作る - すでに40kHzのキャリア(連続波)を検出できてるっぽい
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NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ  -  標準電波に関するQ&A
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NICT - 日本標準時グループ - 長波標準電波の電界強度予測値
     
NICT - 日本標準時グループ - 長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ
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NICT - 日本標準時グループ  - ライブラリー他 - Field Strength Pro Ver1.0

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  「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」 (アナログ乗算器)
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コメント

おはようございます。
トラ技1月号を読んでいたら、最後のほうに、次号2月号の予告がありました。
「衛星クロック搭載!GPS電子工作」というタイトルで1月9日発売のようです。
どのあたりにセッピーナさんの記事が出るのか楽しみで、購入予定です^^。

残念ながら何もありません (^^;;
“衛星クロック搭載”というのが気になりますね。
スペクトラム拡散の復調の回路が載ってたりして....

最近はJJYにのめりこんでいます。
もうちょっと工夫すればもう少し確度があがりそうという状態が続いていてやめるにやめられません (^^)

ええ?取材があったと思っていました。
記事はなくともリンクくらいは紹介されるのでは?
セッピーナさん発案のGPS搭載のリモコンシャッターはいつか作ってみたいです^^。
JJYの受信記事は正月休みにじっくり読んでみようと思います^^。

トラ技編集部の方とお会いすることにはなっているんですけど....

あのスチル写真の時刻を特定することについて考えていたらばかばかしいけど意外と実用的かもというものを思いつきましたよ。
部品も用意したのですが、JJYが忙しくて (^^;;

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