標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作
やり方は「超高精度・温度補償型水晶発振器VM39S5GをPLLのVCOとして使う」 と同じです。ただ回路構成や回路定数にちょっと違うところがあるのでそれについては次の記事に書く予定です。
この記事の結果はあんまりよろしくありません。もう少しましなのが
「JJY(標準電波/電波時計)にPLLでTCXO(VM39S5G)を同期させてみた(改良版)」
にあります。ただまだ満足できる結果ではありません。
GPS受信モジュールGE-612Tの1PPS出力を8分周したものをタイムゲートとしてVM39S5Gの出力周波数を測ります。12,800,000Hz * 8 なのでカウント数は 128,000,000 となるはずです。
GPS受信モジュールの1PPS出力はGE-612Tのタイムパルス出力でロックしたVM39S5Gの出力周波数をGM-5157Aの1PPSで測るということをやったとき0.01Hz(0.001ppm)程度の分解能・再現性がありましたので今回の目的にはじゅうぶん使えると思います。
2時間くらい測った結果です。
A1のところがとんでもないカウント数になっていますが、これは前回と同じでGPS受信モジュールの1PPS出力がなくなっていたところです。A2も同じです。1PPS出力がなくなったとき計測中だった(A1)か計測の間だった(A2)かで見え方が違ってきます。
Bのところで制御電圧が変化していますがおそらくコールサインの送出があったところだと思います。前回はコールサインの送出時も問題なかったのですが、今回はカウント数の乱れが見られます(次のグラフ)
原因としては、電界強度が下がっていた(電界強度は東京でも時間帯によってかなり変化します)、コンパレーターの設定値が不適切、周囲の雑音レベルが違った、などいくつか考えられます。これは改善が可能だと思います。
Cは原因不明です。おそらく周囲で何かの雑音が発生したのではないかと思います。
毎時3分~8分に見られた測定値の乱れは今回はありませんでした。
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少し周波数分解能を上げたグラフです。
制御電圧が変化していたBのところではとうぜん周波数も変化しています。
DのところはPFDの出力をVM39S5Gに制御電圧端子に与える前です。PFD出力をVM39S5Gに入力したところで(このグラフの時間分解能ではわからないのです)周波数は下がりはじめます。オーバーシュートして12,800,000Hz以下まで行って今度は徐々に上がっていきます。Eは周波数が上がって12,800,000Hzに収束していくところに相当します。
12,800,000±1Hzをグラフにしたもの
これまで書いたような例外的なところを除けばだいたい±0.5Hz以内に収まっていることがわかります。GPS受信モジュールGE-612Tのタイムパルス出力を使ったときと比べると一桁以上よろしくない結果ですが、最初の結果としてはまあまあだと思っています。改善すべきところや検討が足りないと思われるところが山ほどありますから。
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関連
「JJY受信機/電波時計の製作記事を集めてみた」
(ググッて集めたJJY受信機電波時計の製作記事集)
「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに」
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
(実用目的だったらこちらをお勧めします)
時刻
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
標準電波JJYの仕様
「JJYの報時信号の送出方法」
「JJYの秒信号の送出方法についてNICTに聞いてみた」
「標準電波JJY - 変調波振幅の「最大100%、最小10%」の意味」
「(非公式)JJY(標準電波/電波時計)の呼び出し符号(コールサイン)送出方法」
旧記事
「JJYの受信法」
「JJYを受信したい(要旨)」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
- 日本標準時グループ 」
JJYの運用
「標準電波・長波JJYが停波するとき」
「毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ 標準電波運用状況」
長波JJYの性質(電界強度等)
「JJYの電界強度と受信機の必要利得(増幅率)」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化 - 電波時計をいつ合わせたらいいか」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化を測ってみた(1)」
「JJY搬送波の周波数をGPS/1PPSで測ってみた」
「JJYの40kHzの電波をボイスレコーダーに録音してみた」
「JJY受信機を作る - すでに40kHzのキャリア(連続波)を検出できてるっぽい」
「JJY受信機を作る - JJYの電波がつかめた!」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ - 標準電波に関するQ&A」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準電波の電界強度予測値」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ 」
「NICT - 日本標準時グループ - ライブラリー他 - Field Strength Pro Ver1.0」
アンテナ・プリアンプ
「JJY受信機を作る - バーアンテナとその特性」
「JJY受信機を作る - アンテナとプリアンプ」
参考
「RFワールド - ラジオで学ぶ電子回路
- 第1部 ラジオのための基礎 第1章 ラジオの電波 」
クリスタルフィルター
「クリスタルフィルターの効果を目と耳で確かめる - JJY受信機を作る」
「JJY受信機を作る - 40kHz/60kHzクリスタルフィルターの功罪」
「JJY受信機/電波時計用クリスタルフィルターの設計」
状態変数型フィルタ
「JJY受信機を作る - 状態変数型フィルタの周波数特性」
参考
「群馬大学 KobaLab@JP - 発振を利用したアナログフィルタの テスト・調整 」
PLL・周波数標準
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
「高精度発振器の作成に向けて - VCTCXO・VM39S5GをPLLでJJYにロックする」
「JJYに同期した高精度発振器用PLLの過渡特性」
「JJY(標準電波/電波時計)にPLLでTCXO(VM39S5G)を同期させてみた(改良版)」
プロダクト検波・シンクロダイン検波
「シンクロダイン検波によるJJY秒信号の取得 - GPSとの比較」
「JJY秒信号のシンクロダイン検波による取得の試み」
「平衡変調器で直流をボイスレコーダーに記録する - JJY・GPSの秒信号」
「GoldWaveとawk(gawk)でボイスレコーダーの記録・音声をExcelのグラフにする」
「音で聴くJJY - プロダクト検波による復調」
「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」 (アナログ乗算器)
参考
「JR7CWK - 長波JJY受信機の制作」
電波時計モジュール
「JJYを受信する(訂正あり)」
「電波時計モジュールを使ってみた(1)」
「電波時計モジュールを使ってみた(2)」
「電波時計モジュールが「使えない」理由」
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