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2015年12月23日 (水)

小学生でもできる月面Xの時刻の(わりと正確で)簡単な予測法 - 2016年2月15日を例に

これまで月面Xの時刻の予測やその方法について何度か書いてきたのですが、その方法というのがはっきり言って面倒でした。

今回は小学生のためにネットでの検索と引き算・割り算ができて方眼紙にグラフが書ければ予測できる方法を紹介します。

簡単とは言っても以前流行った“月面余経度が358度”というのよりずっと正確です。月面Xは先日のやぶさ2なんかと違って一発勝負ではないので実用的にはこれで十分です。

じつは「中学生でもできる月面Xの時刻の(わりと正確で)簡単な予測法 - 2016年2月15日を例に」を書いたとき暦象年表では太陽の月面経緯度は得られないと思い込んでいたのですが、気になって見てみたらちゃんとありました。今回は英語はまったく不要なので“小学生でもできる...”としました。

月面Xの地点の太陽の高度を求めてそれからいつ月面Xを見えるか調べるという方法をとりますが、太陽の高度を求めるところを簡略化して求めやすくしてあります。

それから2月25日説がありますが、今月の月面Xの日12月18日から2朔望月後ですから2月15日が正しいですね。

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まず上弦の時刻を調べます。手もとに理科年表とか天文年鑑とかカレンダーとかなくても暦計算室にあります。

  国立天文台  - 暦計算室  - 暦要項  - 朔弦望 平成28年(2016)

Photo

2月15日は16時46分が上弦であることがわかります。

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次に上の中央標準時17時の前後12時間くらいの太陽の月面経度、月面緯度を調べます。
こちらは

  国立天文台 暦計算室 暦象年表 - 月の自転軸

を使います。

データを取得するときの設定は下のようにします。
Photo
日付と時刻と求めたい範囲(1時間おきに25時間)を入力するだけですが、時刻系は初期状態では“地球時”になっていますので“これを中央標準時”に変更することだけは忘れないようにします。“中央標準時”というのは一言で言えば日本標準時です(pierres blanches と 《カガクするココロ》 - [54] 閏秒と日本標準時と中央標準時


表示ボタンを押すとこんなのが表示されます。
Photo_2

ここで太陽の月面経度( Ls )が95度と85度くらいになるところを探します。これはだいたいでいいです。今回上のデータには85度がなかったので最後の87.9度のデータを使います。95度のところはあるのに気づかず95.5度を使ってしまいました。あくまで“だいたい”でいいです。

時刻と太陽の月面経度( Ls )、緯度( Bs )をコピーしこれから月面Xでの太陽高度を求めます。
ここでは時刻は中央標準時に戻してあります。
Photo_2

太陽高度の概算値は次の式で求めます。

  月面Xでの太陽の高度 = 90.93 - 太陽の月面経度 - 太陽の月面緯度 / 2

太陽高度を求める式は天文年鑑などにありますが月面Xの地点の日の出の頃であるという前提でかつ θ≒0のときsinθ≒θ、cosθ≒1であることを使えばなんとなく上の式になります。

より正確な式としては

  月面Xでの太陽の高度 = 82.11 - 太陽の月面経度 * 0.903 - 太陽の月面緯度 * 0.43

があります。ただしこれも月面Xの予測にだけ使える式です。

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上の表を時刻=太陽高度のグラフにプロットして線でつなげば結果がわかります。
Photo_3

時刻に対する太陽の高度のグラフになるわけですが、太陽の高度(-1.7度、-1.0度、-0.5度、0.0度、0.5度、0.75度)からそれに対する時刻を求めるだけです。

例えば月面Xが見ごろになる太陽の高度が-0.5~0.0度は22時45分~23時45分になります。

もっともこれは月面Xの状態を示しているだけで、実際にそれが見えるかどうかは月の高度によります。(上弦の日の話なので)遅い時間になれば月は沈んでしまいます。今回はなんとなく月面Xの形に見え始める21時30分くらいから見るなり撮るなりした方がよさそうです。

通な楽しみ方としては20時くらいから撮り始めてはいかがでしょう。月面Xになるはずのところがポツンと光り始めるらしいです(私は見たことがありませんが星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X 初観測 (^∇^)にありました)

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関連

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