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2015年12月19日 (土)

中学生でもできる月面Xの時刻の(わりと正確で)簡単な予測法 - 2016年2月15日を例に

これまで月面Xの時刻の予測やその方法について何度か書いてきたのですが、その方法というのがはっきり言って面倒でした。

今回はExcelのソルバーとか使わない中学生でもできる方法を紹介します。小学生でもできるのですが、途中に英語が出てくるので中学生ということにしました。

簡単とは言っても以前流行った“月面余経度が358度”というのよりずっと正確です

“小学生版”も作りました。
  「
小学生でもできる月面Xの時刻の(わりと正確で)簡単な予測法 - 2016年2月15日を例に

月面Xの地点の太陽の高度を求めてそれからいつ月面Xを見えるか調べるという方法をとりますが、太陽の高度を求めるところを簡略化して求めやすくしてあります。

それから2月25日説がありますが、今月の月面Xの日12月18日から2朔望月後ですから2月15日が正しいですね。

------

まず上弦の時刻を調べます。手もとに理科年表とか天文年鑑とかカレンダーとかなくても暦計算室にあります。

  国立天文台  - 暦計算室  - 暦要項  - 朔弦望 平成28年(2016)

Photo

2月15日は16時46分が上弦であることがわかります。17時くらいつまりUTCの08時ということになります。

-----

次に上の08時UTCの前後12時間くらいの太陽の月面経度、月面緯度を調べます。
こちらは

  JET Propulsion Laboratory - HORIZONS Web-Interface

を使います。

HORIZONS がいやなら天文年鑑の「太陽の月面余経度と月面緯度」を使って計算してもいいと思います、たぶん。

Horizons

データを取得するときの設定は上のようにします。

Target Body はとうぜん月です。Moon で検索すればいいです。
Observer Location は別にアメリカでも Geocentric でもなんでもいいのですが、後で月の高度をチェックしたいというときは実際の観測地にしておいた方が便利でしょう(月の高度は暦計算室でも調べられます)

Time Span は15日08時UTC前後の12時間ということで14日20時UTC~15日20時UTCとし1時間刻みでデータを取得します。

Table SttingsQUANTITIES=15 とありますが、この15番のデータというのがSun sub-longitude & sub-latitude つまり太陽の月面経度と緯度です。ちなみに月の高度と方位角は4番です。

データを取得するとこんなのが表示されます。
Horizons01

ここで太陽の月面経度(Solar-lon )が95度と85度になるところを探します。これはだいたいでいいです。今回上のデータには85度がなかったので最後の87.9度のデータを使います。95度のところはあるのに気が付かず95.5度を使ってしまいました。あくまで“だいたい”でいいです。

時刻と太陽の月面経度、緯度をコピーしこれから月面Xでの太陽高度を求めます。
ここでは時刻は中央標準時に戻してあります。
Photo_2

太陽高度の概算値は次の式で求めます。

  月面Xでの太陽の高度 = 90.93 - 太陽の月面経度 - 太陽の月面緯度 / 2

太陽高度を求める式は天文年鑑などにありますが月面Xの地点の日の出の頃であるという前提でかつ θ≒0のときsinθ≒θ、cosθ≒1であることを使えばなんとなく上の式になります。

より正確な式としては

  月面Xでの太陽の高度 = 82.11 - 太陽の月面経度 * 0.903 - 太陽の月面緯度 * 0.43

があります。ただしこれも月面Xの予測にだけ使える式です。

-----

上の表を時刻=太陽高度のグラフにプロットして線でつなげば結果がわかります。
Photo_3

時刻に対する太陽の高度のグラフになるわけですが、太陽の高度(-1.7度、-1.0度、-0.5度、0.0度、0.5度、0.75度)からそれに対する時刻を求めるだけです。

例えば月面Xが見ごろになる太陽の高度が-0.5~0.0度は22時45分~23時45分になります。

もっともこれは月面Xの状態を示しているだけで、実際にそれが見えるかどうかは月の高度によります。(上弦の日の話なので)遅い時間になれば月は沈んでしまいます。今回はなんとなく月面Xの形に見え始める21時30分くらいから見るなり撮るなりした方がよさそうです。

通な楽しみ方としては20時くらいから撮り始めてはいかがでしょう。月面Xになるはずのところがポツンと光り始めるらしいです(私は見たことがありませんが星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X 初観測 (^∇^)にありました)

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関連

  「「月面X」はいつ見えたか?」 (太陽の高度と見え方の関係)

  
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  「
中学生でもできる月面Xの時刻の(わりと正確で)簡単な予測法 - 2016年2月15日を例に」 (この記事)

  「2015年月面X予測
  「
月面Xの時刻予測 - 2015年1月27日
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月面Xの時刻予測(他の予想との比較付き) - 2015年2月26日
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月面Xの予測 - 2015年12月18日(他の予想との比較と予測用Excelファイル付き)
  「
2015年12月18日・月面Xの速報」 

  「検証・月面Xの時刻予測 - 2014年11月29日
  「
月面Xの記録 - 2014年11月29日
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月面Xの時刻予測 - 2014年11月29日
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月面Xはいつ見えるか? 2014年10月、2014年11月

  「6月5日の「月面X」をExcelで予測する

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