月面の経度0、緯度0の点の見つけ方と座標原点・経緯度原点周辺のクレータ
これまでたびたび月面の座標原点 Mösting A については何度か記事にしてきました。一方経緯度原点については(少なくとも口径80mmくらいの望遠鏡で見た場合は)“何もない”としか書いていませんでした。
何もないにしてもだいたいどのあたりかの目安だけは書いてみることにしました。
スコープタウン 80mm f=700mm + PENTAX Q7 ISO800 1/200s
2015年12月19日撮影 以下同様
MA = Mösting A とその周辺の M = Mösting をはじめとする三つのクレータからなるY字形のクレータの連なりから始めます。
======
このクレーターのY型の連なりに対して右側の方に平坦な部分(“中央の入り江”)があり、その中に小さなクレータが二つあります(B = Bruce 直径6.1km、E = Blagg 直径5.0km)
この二つのクレータの左下に少し大きな(直径 40.9km)、ただこの写真ではちょっと影の薄いクレータA = Oppolzer があります。
A = Oppolzer とB = Bruce を結ぶ直線とA = Oppolzer の外縁の交点をCとした場合CとBの中点が経緯度原点のだいたいの位置になります(上の写真に線を引くとき手書きだったのでDの位置がちょっとずれてしまっています)
月の地形の(見かけの)位置関係は秤動によって変化するのであくまでだいたいです。こういう方法で正確に位置を特定することはできません。
------
上の説明に出てきたクレーターの位置
クレーター名 | 直径/km | 緯度 | 経度 |
Mösting A | 13.05 | -3.17972 | -5.16389 |
Oppolzer | 40.87 | -1.52 | -0.45 |
Blagg | 4.97 | 1.22 | 1.46 |
Bruce | 6.14 | 1.16 | 0.37 |
上の写真にクレーターの名称を書き入れたもの
(0.0N,0.0E) とマークしてあるところが経緯度原点です。(O)はこの写真を撮ったときの月の光学中心です。秤動がちいさかったことがわかります。
-------
関連
「月の座標原点と経度緯度が0度の地点」 座標原点、経緯度原点の意味や見つけ方について
「直径10km以上の月のクレータの一覧表 - IAUのデータベース」
「月のクレータの一覧表(2km~10km) - IAUのリストから」
クレーターのリストの入手について
「クレーター名入り月面写真を作る - 座標回転の応用例」
写真へのクレーター位置・名称の書き入れ方
「中秋の名月にメスティングAを探す - 月の経緯度原点と秤動」
「たまには月の写真 - でもやっぱりメスティングAを探す」
「月がうつむくとアリスタルコス、コペルニクス、メスティングAは一列に並ぶ」
メスティングAの見つけ方や見え方
「クレーター名入り月面写真を作る - 座標回転の応用例」
「ダウンロード IMGP3788-Bullialdus.xls (127.0K)」
「月の座標原点と経度緯度が0度の地点」
「プラトンとその周辺 - 月のクレーター」
「ブッリアルドゥスとその周辺 - 月面のクレーター」
「月の秤動と月の自転軸」
「ケプラーとその従属クレーター - クレータ名入り月面写真」
「直径10km以上の全クレータ名入り月面写真」
「直径10km以上の月のクレータの一覧表 - IAUのデータベース」
「月のクレータの一覧表(2km~10km) - IAUのリストから」
「クレータの名前入り月面X」
「直線壁(Rupes Recta)と月面Xの位置関係と周辺のクレーター」
「直線の壁 - 月面の地形」
« 毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波 | トップページ | 直線壁(Rupes Recta)と月面Xの位置関係と周辺のクレーター »
「月とその地形(クレーター、海、....)」カテゴリの記事
- 直線壁(Rupes Recta)と月面Xの位置関係と周辺のクレーター(2016.01.28)
- 月面の経度0、緯度0の点の見つけ方と座標原点・経緯度原点周辺のクレータ(2016.01.28)
この記事へのコメントは終了しました。
« 毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波 | トップページ | 直線壁(Rupes Recta)と月面Xの位置関係と周辺のクレーター »
コメント