« FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作る | トップページ | コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路 »

2016年1月22日 (金)

FMステレオトランスミッタ自作のチェックポイント - パイロット信号とか平衡変調とか

できあがってもしないのにこういうのを書くのもヘンな気がしますが、最後まで行き着く自信がないので_というか挫折確実なので_今のうちに書いておきます。

LT1799の出力周波数に対する周波数変調は20kHzくらいはできないことはないようですが40kHzはほとんどムリみたいです。別の方式(たぶんコルピッツ)で発振回路を作る方向で考えています。ただ以下のチェックポイントは共通です。下に書いた回路図(概念図)も流用予定です。

<== この後調べたら40kHzあるいはそれ以上でも変調できないことはないようです。
  「続・LT1799で作るFMステレオトランスミッタ - 副搬送波による変調のテスト
ただ変調波の振幅が大きくなると追随できなくなるようですから、今回のような目的にはあんまりお勧めしません。

--------

以下のチェックポイントはどのような回路を使うかにかかわらず使えると思いますが、今回は次のテスト用の回路で考えます。これは“概念図”です。LTC1799を使うにはちょっとまずいと思われるところもあるのですが確証がないのでそのままにしてあります。
Cm60stereo4
三つの信号の合成はちゃんとやるときはオペアンプで反転増幅回路を作ればいいでしょうし、さらに電圧=電流変換をすれば完璧だと思います。それにしても秋月の基板にのっているR2・3.3kΩがだんだん目障りになってきました (^^;;

-------

チェックポイント 1  - 電波が出ていることの確認

まずR1(とR2)のみでLT1799の出力を受信できることを確かめます。FMの受信では電波のないところはシャーというノイズが聞こえますが電波があると無音になるので受信できたことはすぐにわかります。

チェックポイント 2 - モノラル変調

音声周波数の信号源、R6、C1、R3のところだけでテストします。R6を動かすにつれて音量が徐々に上がっていくのを確かめます。あるところで音が歪み、そして聞こえなくなることもあると思いますが限界(おそらく±75kHz)を越えた場合そうなるのでそれは問題ないです。どの程度のレベルでそうなるかは確認しておきます。
FMの場合検波出力は(電波の強さには無関係で)変調度だけで決まることに注意します。

チェックポイント 3 - パイロット信号

38kHz信号源、1/2分周器、R8、C3、R5のところだけでテストします。ボリューム(R8)を上げていくとあるところでラジオのステレオインジケータが表示されます。さらに上げていくとステレオインジケータが消えると思います。R8はその中間あたりに設定しておきます。混変調対策という面ではパイロット信号のレベルは低めにしておいた方が安全です。混変調が起きると本来L-Rがないと現れない信号がL+Rの方から聞こえてきたりします。

チェックポイント 3.5 副搬送波による変調の模擬テスト

  
続・LT1799で作るFMステレオトランスミッタ - 副搬送波による変調のテスト

チェックポイント 4 - 平衡変調器(L-R信号)


まず平衡変調器が正しく動作しているかを確認します。オシロスコープをお持ちの方は波形を見ればいいでしょう。振幅変調だと包絡線は信号源と同じ形(たとえば正弦波)になりますが、平衡変調だと全波整流したような形になります。ゼロクロスのところでも特有の形を示します。
(私みたいに)オシロスコープをお持ちでない場合は、平衡変調器が_たいていそうだと思いますが_周波数に依存しなければ周波数を下げてGoldWaveなどで確認してもいいと思います。

スペクトラムは次のようになります。38kHzを1.25kHzの(正弦波ではなく)矩形波で変調した例です。

160120_0193_spectrum

矩形波で変調していますので(副)搬送波38kHz ±1.25*(2n±1)の成分があります。ほんとは搬送波38kHzの成分はないはずですが、上の例ではちょっと残っています。SSBの送信機を作っているわけではないので(たぶん)これで問題ないと思います。

<=== ここはまだこうすれば確実というのがわかる段階になっていません。試行錯誤中です。

チェックポイント 5 - L-R信号による変調

パイロット信号に合わせ音声周波数信号源、R7、平衡変調器、C2、R4のところでテストします。

L+R信号はありませんから

  L = (L+R) + (L-R) = 0 + (L-R) = 入力信号
  R = (L+R) - (L-R) = 0 - (L-R) = 入力信号の位相を逆にしたもの


となります。

160119_0190_2_2


チェックポイント 6 - L-R信号による変調、ステレオとモノラルの比較

パイロット信号がありL-R信号で変調すればステレオで受信され上のようになるわけですが、ここで強制的にモノラル受信にしてみます。

モノラルだとL-Rは無視されL+R信号はありませんので出力はL、Rともゼロになります。

中央より左はステレオ、右はモノラルでの受信です。
160119_0190_1_2

完全に出力ゼロになっていませんが.... (^^;;


チェックポイント 7 - L+RとL-R信号による変調

上のすべての回路でテストします。R7、R8を固定した上でR6を徐々に大きくしていきます。

R6を絞り切った状態では上のチェックポイント 5と同じでLとRに逆位相の出力が現れます。

L+RとL-Rの大きさが同じになると

  L = (L+R) + (L-R) = 信号源電圧 + 信号源電圧 = 信号源電圧 * 2
  R = (L+R) - (L-R) = 信号源電圧 - 信号源電圧 = 0


となります。

160119_0190_3_2

Rの方がゼロになるときのR7(とR6)の設定値は確認しておきます。
上の例のようにRが完全緯ゼロにならない場合は位相が一致していないわけですから原因を確認し必要であれば対策しておきます。

(L+R)つまりR6のボリュームをさらに上げます。例えば (L+R)が(L-R)の2倍にしたとします。

  L = (L+R) + (L-R) = 信号源電圧*2 + 信号源電圧 = 信号源電圧 * 3
  R = (L+R) - (L-R) = 信号源電圧*2 - 信号源電圧 = 信号源電圧


したがってLの出力がRより大きくなり、そしてLとRの位相は一致します。
160119_0190_4


L-Rを一定にしてL+Rを大きくしていったときの経過をまとめると(あんまりいい例ではありませんが)こうなります。
160119_0190_all

-------

ここまでできたので、あとはプリエンファシス回路とL+R、L-Rを作るマトリックス回路を作ればいいはずですが、LT1799ではやっぱりダメっぽいです。上のようにうまく行ったように見えることもあるのですが、今のところうまく行かないことの方が多いです。

--------

前の記事 「FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作る
次の記事 「
コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路

------

参考

  電子情報通信学会 知識の森
    -
5群(通信・放送) 8編(放送・CATV) 2章 変調方式と伝送
  三重大学 ナノエレクトロニクス研究室  - プリエンファシス回路
  CQ出版社 - RFワールド - 藤平 雄二 - ラジオで学ぶ電子回路  - 第4章 発振回路
  「Linear Technology Corporation  - 1kHz to 33MHz  Resistor Set SOT-23 Oscillator

関連

  「1kHz~30MHzオシレータ LTC1799で作る簡単FMトランスミッタ
  「
FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作る
  「
FMステレオトランスミッタ自作のチェックポイント - パイロット信号とか平衡変調とか (この記事)
  コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路

  「記事一覧(測定): セッピーナの趣味の天文計算
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算): セッピーナの趣味の天文計算

« FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作る | トップページ | コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路 »

趣味の電子工作」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作る | トップページ | コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路 »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ