意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数
タイトルには不安定かも、と書きましたが±0.001ppmとか±0.002ppmくらいの揺らぎがあるのではないかという程度の話です。
もし揺らぎの小さい周波数源がどうしても必要ということであれば
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
のような方向の方が安全だと思います。揺らぎが平均化されるからです。
また短時間での周波数変動を調べたいのであればかえってVM39S5Gを基準に使った方がいいようにも思えます。
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TIMEPULSE出力というのはu-blox系のチップにある1PPS出力で出力周波数が設定可能なもののことです。通常0.25Hz~1kHz、0.125Hz~10MHzのどちらかのようです。
ここで扱うのはu-blox6/NEO-6M(NEO6M-ANT-4P) です。じつはこのチップは設定可能な範囲は0.25kHz~1kHzの方ですが、今回は80kHz出力にしてテストしています。つまり動作保証範囲外での動作です。不安定でも別に文句は言えないのですが、この周波数を出力できるGPS受信モジュールを持っていないので使えればもうけものというつもりでやってみました。
まず「GPS受信モジュールNEO-6MとVCTCXO・VM39S5Gの周波数比較・改良版」(測定方法もこの記事にあります)にあったNEO-6Mの出力周波数80kHzを2分周した40kHzとVCTCXO・VM39S5Gの出力12.8MHzを320分周した40kHzを比較した結果です。グラフはスケールを変えてあります。
“超高精度”をうたうVM39S5Gですがしょせん水晶発振器なわけで温度(や電源電圧)の変動によるドリフトは発生します。実際上のグラフでも2600秒あたりから気温が0.5℃下がったことによって周波数が0.003Hzくらい下がってしまっています。それはわかっているのですが、ここで注目したいのは数十秒程度レンジで発生する周波数変動(位相変動)です。
±0.0005Hz(0.0013ppm)から±0.001Hz(0.0025ppm)程度のゆらぎがあるようです。このグラフは二つの周波数源の比較をしているだけなのでこのゆらぎはNEO-6Mの方にあるのかそれともVM39S5Gの方にあるのかはたまた単なる測定誤差なのかはわかりません。
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VM39S5Gは二つ持っているのでこれらの発振周波数(を分周したもの)を比較してみました。
二つは少し離れたところにおき(=熱的結合はなく)電源も別系統からとってあります。つまり独立して発振しているはずです。どちらも特に断熱処理はしていないので双方にドリフトがあり周波数もその差も変化していくのですが、意外と揺らぎが小さいことがわかります。ひいき目に見ると上のグラフより一桁小さいです。温度に敏感なことを考えると断熱処理をすればもっと揺らぎは小さくなるのかもしれません。
この二つの測定結果からするとu-bloxのTIMEPULSE出力には素人でも検出できるくらいの揺らぎはあるようだ。周波数の基準としてTIMEPULSE出力を使うのは注意した方がいいということになります。
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じゃあ二つのGPS受信モジュールの出力周波数を比較したらどうなるかというのがこれです(これは「GPS受信モジュールGE-612TとNEO6M-ANT-4PのTIMEPULSE出力周波数を比較する」のあと再度実験した結果によるものです。)
とうぜんのことながらドリフトらしきものは一切ありません。ただ揺らぎは大きくなります。両方とも同じくらいの揺らぎがあれば1.4倍くらいになるはずですからまあこんなものではないかと思います。
ただ二つのGPS受信モジュールu-blox6/NEO-6M(NEO6M-ANT-4P) とu-blox6/LEA-6(GE-612T)は周波数だけではなく位相もほぼ一致していました。さすがGPSです。
(二つのTIMEPULSE出力はまったく違う回路構成を通るので完全に一致しているかどうかは現時点では確認できていません)
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