(非公式)JJY(標準電波/電波時計)の呼び出し符号(コールサイン)送出方法
JJYでは毎時15分と45分にコールサインが送出されます。(私みたいにモールスを聞くと血が騒ぐというような古い人間を除けば)たいていの方にはどうでもいいことでしょうし、電波時計を作る方も毎15分/45分40秒から9秒間は無視するというようなプログラムを書いているような気がします。
でもJJYを周波数標準として使う場合ここにクリティカルな問題が存在します。
(あと余談ですが受信報告を送る場合はコールサインを確認するのが条件になっています)
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JJYの秒信号の送出方法(タイムコード)については
「情報通信研究機構
- 電磁波計測研究所
- 時空標準研究室
- 日本標準時グループ
- 標準電波(電波時計)の運用状況
- 標準電波の出し方について」
に説明があります。呼び出し符号についてもそこからリンクされた
「呼び出し符号送出時(毎時15分、45分)のタイムコード 」
に説明があります。そこからわかるのは
1.15分/45分40秒から10秒弱の間に送出される。
2. 呼び出し符号はモールスで2回以内
3. 呼び出し符号部分の変調度は0-100%
の三つです。もっと詳しいことを知りたいと思ってNICTに問い合わせたのですが「JJYの秒信号の送出方法についてNICTに聞いてみた」のときとは違ってこれ以上のことは教えてもらえませんでした (^^;;
だから以下に記すことは“非公式”です。
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何も資料・情報がないわけですが、とうぜん電波法令の縛りはあるはずです。
アマチュア無線とかやられている方には常識ですがモールス符号の構成方法にはルールがあります。法令でいうとこれは「無線局運用規則」 にあります。
一 符号の線及び間隔
1 一線の長さは、三点に等しい。
2 一符号を作る各線又は点の間隔は、一点に等しい。
3 二符号の間隔は、三点に等しい。
4 二語の間隔は、七点に等しい。
(ルールで決まっているからこうしているということでなく、電鍵をたたけば自然とこうなるということでしょうし、実際の通信では速度が遅くなると点の長さに対して線の長さが長くなるというようなことはあるのですが)JJYのコールサインは機械的にやっているわけですからこの運用規則にしたがって送出されているはずです。
以上をもとに実際のコールサイン送出の模様を見てみます。
通常の送信はマークの振幅100%(出力100%)、スペースの振幅10%(出力1%)です。実際コールサインの送出前後はスペースのレベルはAのところにあります。「3. 呼び出し符号部分の変調度は0-100%」からもしスペース部分が振幅0%のところ__レベルがB.のところ__が呼び出し符号部分であるとすれば40.0秒~49.0秒の9秒間がそれに該当します。
重箱の隅をつつくような話になりますが、NICTの「呼び出し符号送出時(毎時15分、45分)のタイムコード 」にある図は呼び出し符号送出部分が49秒前に終わっていますからちょっと違っているということになります (^^;;
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まず二つのJJYの間つまり“二語の間隔”に注目します。だいたい560ms~570msでした。
コールサインの送出部分の最初のJの前の余白部分と最後のYのあとの余白部分も560msくらいです。
そこで最初の余白、最後の余白、二語の間隔がそれぞれ“七点に等しい”と仮定します。
Jは点、線、線、線ですので各点・線の間隔の分を含め13点に相当します。
Yは線、点、線、線ですのでJと同じく13点です。
JJYは符号間の3点が二つあることを考えると45点ということになります。
二つのJJYの間に7点、JJY JJYの前後にそれぞれ7点と仮定しましたとの全部で111点に相当することになります。これらの送出時間は9秒ですので点の長さは81.1ms程度ということになります。これをもとにタイムチャート(?)を作ると以下のようになります。
あくまで目安です。実際の送信パターンを詳細に調べるとこれとあっているようにも見えるし違っているようにも見える、というレベルです。
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ここからが本題です。上の送信パターンからわかるようにコールサイン送出中は0%変調(0%出力)になることが何回もあるのですが、0.57秒電波が途絶えるところが3か所あります。
JJYから40kHzを取り出そうとするときはここをどう乗り越えるかを考えておく必要があります。特に最初のところは10%変調(1%出力)が0.8秒続いたあと電波が途絶えます。クリスタルフィルタのQの高さでどうにかしようというようなケースはここを確実にクリアできるように作っておく必要があります。
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「JJY受信機/電波時計の製作記事を集めてみた」
(ググッて集めたJJY受信機電波時計の製作記事集)
「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに」
時刻
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
標準電波JJYの仕様
「JJYの報時信号の送出方法」
「JJYの秒信号の送出方法についてNICTに聞いてみた」
「標準電波JJY - 変調波振幅の「最大100%、最小10%」の意味」
旧記事
「JJYの受信法」
「JJYを受信したい(要旨)」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
- 日本標準時グループ 」
JJYの運用
「標準電波・長波JJYが停波するとき」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ 標準電波運用状況」
長波JJYの性質(電界強度等)
「JJYの電界強度と受信機の必要利得(増幅率)」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化 - 電波時計をいつ合わせたらいいか」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化を測ってみた(1)」
「JJY搬送波の周波数をGPS/1PPSで測ってみた」
「JJYの40kHzの電波をボイスレコーダーに録音してみた」
「JJY受信機を作る - すでに40kHzのキャリア(連続波)を検出できてるっぽい」
「JJY受信機を作る - JJYの電波がつかめた!」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ - 標準電波に関するQ&A」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準電波の電界強度予測値」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ 」
「NICT - 日本標準時グループ - ライブラリー他 - Field Strength Pro Ver1.0」
アンテナ・プリアンプ
「JJY受信機を作る - バーアンテナとその特性」
「JJY受信機を作る - アンテナとプリアンプ」
参考
「RFワールド - ラジオで学ぶ電子回路
- 第1部 ラジオのための基礎 第1章 ラジオの電波 」
クリスタルフィルター
「クリスタルフィルターの効果を目と耳で確かめる - JJY受信機を作る」
「JJY受信機を作る - 40kHz/60kHzクリスタルフィルターの功罪」
「JJY受信機/電波時計用クリスタルフィルターの設計」
状態変数型フィルタ
「JJY受信機を作る - 状態変数型フィルタの周波数特性」
参考
「群馬大学 KobaLab@JP - 発振を利用したアナログフィルタの テスト・調整 」
PLL・周波数標準
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
「高精度発振器の作成に向けて - VCTCXO・VM39S5GをPLLでJJYにロックする」
「JJYに同期した高精度発振器用PLLの過渡特性」
プロダクト検波・シンクロダイン検波
「シンクロダイン検波によるJJY秒信号の取得 - GPSとの比較」
「JJY秒信号のシンクロダイン検波による取得の試み」
「平衡変調器で直流をボイスレコーダーに記録する - JJY・GPSの秒信号」
「GoldWaveとawk(gawk)でボイスレコーダーの記録・音声をExcelのグラフにする」
「音で聴くJJY - プロダクト検波による復調」
「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」 (アナログ乗算器)
参考
「JR7CWK - 長波JJY受信機の制作」
電波時計モジュール
「JJYを受信する(訂正あり)」
「電波時計モジュールを使ってみた(1)」
「電波時計モジュールを使ってみた(2)」
「電波時計モジュールが「使えない」理由」
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