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2016年1月 5日 (火)

難航するJJY電界強度時間変化の測定

JJYの電界強度の時間変化に見る電離層の秘密」ではシンクロダイン検波の出力を時定数50秒程度のLPFを通してからADコンバーターで電圧を測定するということをやっています。つまりあんまり短時間での変化を知ることができません。

そこで時間分解能を上げようとしたのですが悪戦苦闘しています。もう記事にしたら10個分くらいいろいろやったのですがなかなか納得できる結果が得られません。

測定結果の一例(2016年1月4日、20秒ごとの測定)
20160104_0030

今回はPIC18F26K22とADコンバータMCP3425を使った次のような測定方法を採っています。

  1. GPS受信モジュールの1PPS出力で毎秒割り込みをかけます。
  2. 割り込み後40msウェイトします。
  3. 120ms間に30回電圧を測定します。
  4.電圧測定30回の測定結果を平均したものをその時刻(秒)の電圧(電界強度)とします。
  5. N秒ごとの測定のときはさらにN秒間の測定結果を平均します。

最初はJJYの秒信号で割り込みをかけようとしたのですが、確実に割り込みを掛けるのが意外と難しかったのでGPSを使うことにしました。この方法はJJYの信号が毎秒送出されない場合__つまりJJYコールサインの送出時__には正しく測定することができませんが、コールサイン送出は30分に1回10秒だけですし毎時15分40秒からと45分40秒からということはわかっているのでその部分のデータを削除すすればいいはずです。

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全体的な傾向はとらえられているとおもうのですが、かなり“荒れて”います。

比較的電界強度が安定していると思われる日中12時~13時の変化です。
20160104_1213

12.25(12時15分)過ぎと12.75(12時45分)過ぎに落ち込んでいるところがありますが、これは上に書いたようにJJYコールサインの送出が行われているところです。これは正しく測定できないことはじめからわかっているところです。

問題は12時20分から12時40分の間で1分周期の規則的な電圧の変動が見られます。気象現象に似た電離層での反射がこれほど規則的な変化をするとは思えないので人工的な雑音か測定に使っているプログラムの問題のように思えます。

早朝03時~04時の変化です。
20160104_0304

これもまた同じような現象が見られます。調べてみると毎時20分~40分に同じ変化が起きているようです。
こういうときは原因を追究するのが先だと思いますが、異常(?)と思われるデータは規則的に発生しているのでグラフを作るとき上で調べた発生条件に該当する時刻のデータを削除してみました。

20160104_0030a

少しまともな結果になったような気がします。

電界強度の変化が激しい朝の6時から9時までのグラフです。
20160104_0609a

7時から15分間くらい、8時30分から15分間くらいはちょっとおかしいような気がします。ただ現時点でこの変化が測定装置あるいは測定環境の問題なのか実際の電界強度の変化なのか判断するのは難しいと思います。

03時~06時のところにも“荒れた”ところがあります。
20160104_0306a

こちらは“自然現象”のように見えるのですが....

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JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに

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関連

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    (ググッて集めたJJY受信機電波時計の製作記事集)


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  標準電波JJY - 変調波振幅の「最大100%、最小10%」の意味
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    「
JJYの受信法
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JJYを受信したい(要旨)
    参考
      「
NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
            -
日本標準時グループ

  JJYの運用

  「標準電波・長波JJYが停波するとき
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NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ 標準電波運用状況

  長波JJYの性質(電界強度等)
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難航するJJY電界強度時間変化の測定
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NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ  -  標準電波に関するQ&A
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NICT - 日本標準時グループ - 長波標準電波の電界強度予測値
     
NICT - 日本標準時グループ - 長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ
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NICT - 日本標準時グループ  - ライブラリー他 - Field Strength Pro Ver1.0

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JJY受信機を作る - バーアンテナとその特性
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