« コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路 | トップページ | コルピッツ+バラクタをFMステレオトランスミッタの周波数変調に使ういちばん簡単そうな方法 »

2016年1月24日 (日)

続・LT1799で作るFMステレオトランスミッタ - 副搬送波による変調のテスト

一度はLT1799はあきらめコルピッツ発振回路+可変容量ダイオードに走ったわけですが、コルピッツでいろいろやっているうちにLT1799の使い方・回路構成とか実験方法に問題があることがわかってきました。特に実験方法は__恥ずかしくてここに書けないほど__決定的にまずいところがありました。

そこであらためてLT1799による搬送波、副搬送波の変調を試してみました。

念のために書いておくと“LT1799を使ってFMステレオの原理を確かめることができる”ということであって、これがFMステレオトランスミッタとして実用になるかどうかは疑問です。雑音・歪がけっこうあります。回路構成の問題があるところもあるのですが、それだけではないような気がします。

-------

FMステレオとなるとそれなりに複雑になるので手順を追って製作を進める必要があります。その手順についてはFMステレオトランスミッタ自作のチェックポイント - パイロット信号とか平衡変調とか に書きましたが、チェックポイント 3 パイロット信号チェックポイント 4 平衡変調器(L-R信号) のあいだにもう一つチェックを追加した方がよさそうなのでそれを追加しておきます。

------

チェックポイント 3.5 副搬送波による変調の模擬テスト
Cm60stereo40k

このチェックの目的は平衡変調によって作った副搬送波による変調を行う前に副搬送波と同じくらいの周波数の信号で搬送波を変調することができるかどうか確かめることです。

40kHzは2kHzの信号を平衡変調した結果を模擬しています(FMステレオの副搬送波はDSB(抑圧搬送波)でこのケースだと実際は36kHzの信号もあるわけですが、別にSSB(抑圧搬送波)でテストしてもかまわないと思います)だから40kHzでなくても23kHz~53kHz(ただし38kHzは除く)であれば何Hzでもいいです。

これをやっておくと副搬送波で変調してうまくいかないときは副搬送波の作り方に問題がある可能性が高くなります。

なお下側のパイロット信号(19kHz)はFMラジオのステレオインジケータがつけば十分なのであんまり強くしないようにします。パイロット信号は規格では10%変調とされています。

回路の構成、作り方によってはパイロット信号が強くなると混変調に悩まされます。
=======

上のテストをやって次のような左右で位相が逆転し同じ振幅の信号が得られればOKです。
出力される周波数は入力信号の周波数(40kHz)と38kHzの差(2kHz)になります。
160121_0198a
(波形は雑音・歪を除去した後のものです)

-------

LT1799を使ったステレオトランスミッタの再実験は次の構成で行いました。
Cm60stereo4

概念図とは書いていますが、今回はほぼこの回路でテストしています。信号加算用のオペアンプも使っていませんが平衡変調器の出力にはCRだけの簡単なハイパスフィルタを入れていたかも。

最初は余計なことはせず基本的な部分だけで回路が意図したとおり動いていることを確認するというのが大事みたいです。

------

LT1799による“チェックポイント 7 - L+RとL-R信号による変調”の実験結果

R6を絞り切った状態で出力信号が適当な大きさになるようにR7を調整します。
そのあとR6でL+Rの振幅を徐々に大きくしていきます。

まだかなり雑音があるため雑音(と歪)を除去した波形ですが、耳で聞いた感じはこの波形からイメージされるものに近いです (^^;;

全体図
160121_0197all

A点
L-Rの信号しかないためL、Rには同じ大きさで位相が逆の信号が現れます。
160121_0197a

B点L+RとL-Rが同じ大きさになりRの方は打ち消しあうため出力がなくなります。
160121_0197b

Rはほぼフラットになっています。

C点、L+Rがもっと大きくなりLとRは同位相になりますが振幅はLの方が大きくなります。
160121_0197c

今回は(振幅と位相に関してだけは)納得の行く結果です。

今後の予定

1. 雑音・歪の原因の調査しできるだけ雑音・歪を除去します。
2. LPF/BPFの必要性を確認し、必要そうであれば適当なものを入れます。
3. L+R、L-Rそれぞれに音楽などを入力してみて音質的に問題ないか確かめます。
4. プリエンファシス回路とマトリックス回路を作ってステレオトランスミッタの完成です。

なんでもいいからひとまず完成したい形にしたいということで4.から手をつけるかもしれません。

--------

前の記事 「コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路
次の記事 「
コルピッツ+バラクタをFMステレオトランスミッタの周波数変調に使ういちばん簡単そうな方法

関連

  「1kHz~30MHzオシレータ LTC1799で作る簡単FMトランスミッタ
  「
FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作る
  「
FMステレオトランスミッタ自作のチェックポイント - パイロット信号とか平衡変調とか
  コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路
  続・LT1799で作るFMステレオトランスミッタ - 副搬送波による変調のテスト
  コルピッツ+バラクタをFMステレオトランスミッタの周波数変調に使ういちばん簡単そうな方法

参考

  電子情報通信学会 知識の森
    -
5群(通信・放送) 8編(放送・CATV) 2章 変調方式と伝送
  三重大学 ナノエレクトロニクス研究室  - プリエンファシス回路
  CQ出版社 - RFワールド - 藤平 雄二 - ラジオで学ぶ電子回路  - 第4章 発振回路
  「Linear Technology Corporation  - 1kHz to 33MHz  Resistor Set SOT-23 Oscillator


  「記事一覧(測定): セッピーナの趣味の天文計算
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算): セッピーナの趣味の天文計算

« コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路 | トップページ | コルピッツ+バラクタをFMステレオトランスミッタの周波数変調に使ういちばん簡単そうな方法 »

趣味の電子工作」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路 | トップページ | コルピッツ+バラクタをFMステレオトランスミッタの周波数変調に使ういちばん簡単そうな方法 »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ