« 意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数 | トップページ | 1kHz~30MHzオシレータ LTC1799で作る簡単FMトランスミッタ »

2016年1月19日 (火)

PLLにはまる - VCTCXO・VM39S5GをGPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pにロックする

PLLというのは正確な基準周波数源にVCO(LC発振器とかVCXO)を同期させるためのものだと思うのですが、今基準周波数源に使おうと思っているGPS受信モジュールのタイムパルス出力が厳密には正確とは言い難いという問題があります(意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数

基準周波数源としてはもう一つJJY(標準電波=電波時計)があるのですが、これも(周波数が正確だとしても)別の問題があります。

ひとまずループフィルターの時定数を大きくするという対応をとってみることにしました。

100u20k01ucm
(0.1μFは1μFのつもりで間違って入れていたものです)

GPS受信モジュールu-blox6/NEO-6MNEO6M-ANT-4Pの80kHz出力を8分周したものを基準にVCTCXO・VM39S5Gの12.8MHzを1280分周したものを同期させます。周波数の測定は12.8MHz/320と80kHz/2の40kHzをGPS受信モジュールNEO-6MとVCTCXO・VM39S5Gの周波数比較・改良版に書いた方法で比較しています(実際に測定しているのは位相の差です)

Neo6m100u20k01udf

(周波数はカウンタでも測っているのですが、それでもゲートタイム4秒でも得られる分解能は0.0008Hzでしかないです。VCO・VM39S5Gは基板ごとポリウレタンのシートでぐるぐる巻きにしてあり、温度は室温を測っているので温度はVCOの温度を示すものではありません)

室温が少々変化していますが、少なくとも周波数の平均は安定しているようです。ドリフトらしきものは感じられません。

平均は安定しているとしてもこのグラフだけ見ると周波数の差に揺らぎがありちゃんとロックできていないようにも見えますが意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数に書いたようにもともと基準周波数源(GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力)に揺らぎがあるので、VCTCXOの周波数は安定していてTIMEPULSE出力の揺らぎを検出できたというようにも受け取れる結果です。

======

VCO(VCTCXO・VM39S5G)の入力電圧を見てみます。VCOの周波数は入力電圧の1Vの変化で100Hz前後変化します。

Neo6m100u20k01uvco

温度が上昇することによる周波数の変化をVCOの入力電圧の低下で補正していることがわかりますが、VCOの入力電圧自体かなり変動しています。このグラフはVCOの入力電圧の変化による周波数の変動が左側の目盛りとだいたいあうように作ってあります。VCOの出力周波数もかんり変動しているようにも見受けられます。

--------

ループフィルターの時定数をもっと大きくしてみました。

Neo6m1000u20k47udf

最初の例より大きな温度の変化がありますが、その影響はほとんどないように見えますが、やっぱり基準周波数源とVCOの出力の周波数の差が変動しています。

VCOの入力電圧を見てみます。

Neo6m1000u20k47uvco

温度によるドリフトに対する部分を除いて考えるとVCOの入力電圧は最初の例ほどには変化していません。ここにある周波数差の変動はほとんどGPS受信モジュールのTIMEPULSE出力の変動を示しているのかもしれません。A

ところでVCOの入力電圧をよく見ると周期的にヒゲみたいなのが発生しています。1分強くらいの周期のようです。ひょっとしたらPLLが発振しているのかも.... ?

もっともPLLが(どういう条件で不安定になるか理屈ではわかっていても)不安定になったときどのような挙動を示すのかよくわかっていません。まずR2を大きくし、C2 を小さくする方向で再度動作を確かめてみたいと思います。PFDは1V/2πrad.、VCOを100Hz/Vとしているのですが、どちらか間違っているのかもしれません。

------

前の記事 「意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数
次の記事 「
GPS受信モジュールNEO-6MのTIMEPULSE出力の周波数安定度

このテーマの最初の記事(関連記事の最新リスト付き)
  
高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに

参考

  小宮浩 「高周波PLL回路のしくみと設計法」 CQ出版社


関連

  「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに
  「
JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに

  「
GPS受信モジュールGE-612TとPLLで作る高精度発振器 - CD4046Bの回路定数
  「
PLL(CD4046BE)とGPS受信モジュール(GE-612T)で作る高精度発振器 - PLLのテスト
  PLLとGPS受信モジュールで作る高精度発振器 - PLLのテスト(2)
  「
PLL(フェイズロックループ)の特性 - ジッターを測定してみた
  「
PLL(CD4046BE)の使い方(2) - ジッターの低減
  「
GPS受信モジュールGE-612Tからの1kHz出力 - u-blox/u-centerを使う
  「
高精度10MHzの出力ができそうなGPS受信モジュール」 
  
2MHzが(10MHzも!)出力できたGPS受信モジュールGE-612T(u-blox6/LEA-6)
  GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、でももう在庫切れ (^^;;
  GPS受信モジュールu-blox6/NEO-6Mと温度補償型水晶発振器VM39S5Gの周波数(位相)を比較してみた
  GPS受信モジュールGE-612TとNEO6M-ANT-4PのTIMEPULSE出力周波数を比較する
  意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数
  PLLにはまる - VCTCXO・VM39S5GをGPS受信モジュール
  GPS受信モジュールNEO-6MのTIMEPULSE出力の周波数安定度

  「超高精度・温度補償型水晶発振器VM39S5GをPLLのVCOとして使う

  「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた

  「
時刻標準について
  「GPS受信モジュールあれこれ

  「
記事一覧(測定): セッピーナの趣味の天文計算
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算): セッピーナの趣味の天文計算

« 意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数 | トップページ | 1kHz~30MHzオシレータ LTC1799で作る簡単FMトランスミッタ »

趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« 意外と不安定かも?GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力周波数 | トップページ | 1kHz~30MHzオシレータ LTC1799で作る簡単FMトランスミッタ »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ