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2016年1月23日 (土)

コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路

FMステレオトランスミッタをLTC1799とNE555と74HC4066で作るはひとまず放棄することにしました。

  <=== あきらめきれずにまだやっています (^^;;
    続・LT1799で作るFMステレオトランスミッタ - 副搬送波による変調のテスト

なぜLTC1799を使おうとしたかというと機能的に周波数変調が容易にできるからです。実際モノラルのFMトランスミッタはあっけないほど簡単にできました。ところがモノラルだったら15kHzしかない変調周波数の帯域が、ステレオとなると53kHzにもなってしまいます。どうやらここまで高い周波数での変調波難しいようです(ちなみに文字多重放送まで考えると帯域は95kHzだそうです。やる気はありませんが)

よくよく考えてみるとトランジスタで発振回路を作ってもたいしたことはないはずですし、可変容量ダイオードを使えば周波数変調もそう難しくないはずです。

そこでこんどはコルピッツ発振回路で周波数変調をやってみることにしました。発振回路を変えてもこれまで考えてきたステレオトランスミッタ用の機能はそのまま使えます。

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ディスクリートで回路を作るのは久しぶりなのでこんなところからウォーミングアップを始めます。

Osc1

例によって

  CQ出版社 - RFワールド - 藤平 雄二 - ラジオで学ぶ電子回路  - 第4章 発振回路

を参考にさせていただきました。

ベース接地になっています。トランジスタのピン配列と部品の配置を考えてこうしたのですが、2SC1815で考えて2SC3355で作ったのでムダなことをしていたことになります。

左側のバイアスは適当です。右側も適当と言えば適当ですが、出力端子を周波数カウンタ(3.3Vで動作しているPIC)のピンに直接接続して確実に動作するようにしました。


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まず低い周波数で発振するを確認し、じょじょに周波数を上げて行くという方針だったのですが、低い周波数での動きがヘンでした(C5が小さすぎて周波数をちゃんと測れなかっただけかもしれません)

L1 C1 C2 発振周波数 実測値
4.7mH 0.1uF 0.1uF 10kHz 5kHz台、7kHz台,14kHz台
100uH 0.1uF 0.1uF 71kHz C3を0.033uFに交換  3.78kHz
100uH 0.0047uF 0.0047uF 0.33MHz 0.34MHz
100uH 470pF 470pF 1.04MHz 1.07MHz
100uH 22pF 22pF 4.8MHz 3.5MHz
10uH 22pF 22pF 15.2MHz 10.5MHz
1uH 22pF 22pF 48MHz 33MHz
1uH 22pF 1T33 - C2は可変容量ダイオード 33MHz

少なくとも1MHz以上はまともそうなので(今回の用途に限れば)問題ないでしょう。周波数が高くなるほど実際の周波数が低めになっていくのはしようがありません。

もうひと頑張りしたいところですが、コイルもコンデンサも(手持ちのものでは)最小値のものを使ってしまっています。あとはコイルを並列にするか、コンデンサを直列にするか、あるいはコイルを自分で巻くか、そういう面倒くさい対応しか残っていません。周波数を上げた場合どこまで周波数カウンタで測れるかという問題もあります。

じつは私の使っているラジオは(仕様には書いてないのですが)どういうわけか76MHz以下64MHzまではWFMの受信ができます。だから33MHzが発振できれば2倍高調波が受信できるのです。

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現時点ではこんな回路になっています。

問題点

パスコン(C4、C6)が電解コンデンサのままになってました (^^;;
動いているからと言ってそのままはまずいでしょう。
周波数が高くなると発振しなくなってバイアスだとか周りの回路定数を調整しなければならないと思っていたのですが、何もせずにするすると30MHzを越えてしまったので電解コンデンサのまま取り残されてしまいました。

バラクタへの電圧の与え方が稚拙です。エミッタに入っている抵抗の電圧降下をそのままバラクタのバイアス電圧にしようとしたのですが、このままだと信号電圧の1/30しかバラクタにかかりません。RFCを使ってもいいと思いますが、コンデンサを直列に入れて直流的に分離してしまった方がよさそうです。このままでもR6は大きすぎ、C2は小さすぎます。

  <===  じつはこれはこれで都合がいいのかも....
    「コルピッツ+バラクタをFMステレオトランスミッタの周波数変調に使ういちばん簡単そうな方法

Osc2

左側の発振回路の方はコレクタ電流が1mAも流れていないのでけっこう余裕を持って動いているのだと思います(fTが最大になるのはたぶんコレクタ電流20mA)
この分ではFMの周波数帯(76MHz~90MHz)もすぐに発振しそうな感じです。

右側のバッファはカウンタをドライブする必要があるのでコレクタ電流を多めにしました。意味があるかよくわかりません....
少なくとも出力インピーダンスを下げる意味はあると思いますし、外部に接続する回路を変えても周波数が変動しないという意味では必要です。

1T33は確か秋月の“在庫限り”に負けて買ったものです。データシートを見ると安定性・性能を考えるともっと高い電圧で使った方がよさそうです。ただこれでもちゃんと動作しますのでしばらくこのまま使ってみるつもりです。

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モノラルでの周波数変調はもうやってみました。

感想

  思ったより周波数は安定しています。
  (ドリフトしないわけではありません。あくまで想像していたより、です)

  ノイズがほとんどありません。LTC17799と比較するとSN比がはるかにいいようです。

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関連

  「1kHz~30MHzオシレータ LTC1799で作る簡単FMトランスミッタ
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  コルピッツ発振回路と可変容量ダイオードで作る周波数変調回路」 (この記事)
  続・LT1799で作るFMステレオトランスミッタ - 副搬送波による変調のテスト

  コルピッツ発振回路の発振条件 - LCだけでは決まらない発振周波数

参考

  電子情報通信学会 知識の森
    -
5群(通信・放送) 8編(放送・CATV) 2章 変調方式と伝送
  三重大学 ナノエレクトロニクス研究室  - プリエンファシス回路
  CQ出版社 - RFワールド - 藤平 雄二 - ラジオで学ぶ電子回路  - 第4章 発振回路
  「Linear Technology Corporation  - 1kHz to 33MHz  Resistor Set SOT-23 Oscillator


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コメント

バラクタ1T33というものを初めて見たのと、在庫限りにつられてしまい、私も年末に購入してました(笑)
FMトランスミッター関連を調べていて知り、つい買ってしまうパターンです^^。

今調べてみたらまだ在庫ありますね。
「通販在庫数:52」とあったので残り少なくなっているのは確かなようです。
釣られて買ったのは正解だったんじゃないでしょうか (^^)

私は容量の変化範囲が大きそうでこれにしたのですが、2V~5Vの範囲では30pF~20pFのようで別にこれじゃなくてもよかったような.... (^^;;

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